07 魔女キュービック
こんにちは。こんばんは。
お話が第六話まで書いたところで方向性が定まってきたため、『あらすじ』などを変更しました。ですが、本編の内容などはまだ修正していないので、そのままとなります。
この作品は、不適切。また、不快な表現が多数出てくるものと思いますので、ご容赦ください。
最後までお楽しみいただけたら、幸いです。
なんやかんやで再びアメツ東京・警視庁に向けて高速道路に乗った所で、またも襲撃を受ける私たち。
上空からの不意打ちは、そして高速道路交通警察隊の隊員である一人を襲った。
「は? え?」
背中から胸元を貫通する槍のように太い一本の白い針。
キュービックから送られてきた段ボールのトラップと同様の針が刺さった様子は、しかし、血などが噴き出さない奇妙さを見せる。
「ちッ!」
タツルが舌打ちをしながらも隊員へと駆け寄って、念のためにと持ち出していた魔封じの五寸釘を白い針へと打ち込んだ。
・・・打ち込んだ。とは言いましたが、ハンマーが無いので手で持って思いっきり指すぐらいしかできませんが、魔封じの力があるために粘土にでも刺したように五寸釘は根元まで刺さります。
これで、白い針が痙攣を起こしたように震えると、五寸釘の元に収縮してサイコロ状のキューブになり沈黙。
一方で、白い針が貫通した隊員はというと・・・。
「あ、ああ、あ、あ・・・」
針の刺さった箇所から呪いの言霊が体の内外を浸透し、服をも貫通する呪いの光を発して全身を包み込んでいく。
涙目でありながら、自身を助けようと動いてくれるタツルに何を思うのか?
「大丈夫。助けます」
その顔が、恐怖で歪んでいた。
その歪みの中で、わずかに希望が見えたような、そんな目の光と口角の・・・。
しかし、一瞬の間に身体は白いサイコロのようなキューブへと変異して、持ち主となる上空の襲撃者の元へと飛び立とうとする。
「させるかッ!」
上空へ向けて動き出したのを見て、私がライダールを操作してキューブを叩き落とし、すかさずタツルが魔封じの五寸釘を挿してキューブを無力化。
これによって、敵に回収されることを防ぎます。
そうして、私たちは改めて上空を見るのです。
「アレが、キュービックか」
そう。
話に聞いた通り、パッと見は確かに全裸の痴女そのものと言える恰好をした魔女でした。
しかし、私の眼で解析をすると・・・妙な靄を全身に纏っているように見えますね。裸というよりは真っ白なタイツを頭のてっぺんから足の先まで装着した変態とも言える。
それでいて、白いロングヘア・・・どこまでも白い魔女ですね。
「・・・エメル。ライダールは俺が操縦する」
了解ですよ。
私はどうにも、戦闘形態になったライダールの操作は不得手なので、任せるのが良いでしょう。
それに、敵はこの足で蹴飛ばすに限ります。
そうして、運転手交代で私は道路へと飛び降り、魔封じの五寸釘で無力化したキューブはスマホの転送機能を使って自宅の保管庫へ収納し、安全を確保。
後程、キューブを調べて元の姿に戻す研究をしなければならないでしょう。
「ここまで不気味な襲撃を受けたのはいつ以来だろうな?」
さて・・・カスミが死亡した事になった頃は、これ幸いと言わんばかりに世界各国から魔女共が私を求めて殺到していましたからね。
生ごみ共の処理には・・・いや、今はそのような事を思い出している場合でもないですか。
相手が相手ですし・・・タツルに確認をしましょうか。
『武装使用の申請。『封魔・法具』の使用許可』
「許可する。使用する武装は『封魔・翔脚』と『封魔・双牙』だ。他は待機モードにしておけ」
了解です。
武装選択。倉庫解放。翔脚。双牙。エントリー。
私の左右掌と、私の左右足首に魔法術式の方程式が出現し、光り輝くと共に指定した武装を召喚。
『封魔・翔脚』は足首から靴状の機械兵装が装着され、『封魔・双牙』は短剣を手で握る。そんなシンプルな装備ですが、私を作ったカスミは過度な装飾を好まぬため、これでよし。
意外なことに、上空の魔女はこちらに一切の攻撃を仕掛けては来ませんでした。
何を考えているのやら・・・。
「さて、こちらの準備が終わるのを待っていた?とは、思えない余裕の様子だな」
そうなのです。
上空にてこちらを見下ろしている魔女は、どういうわけか上空から微動だにしない。
生命反応はあるので、人間だとは思うのですが・・・なぜだろう? まるで人間という印象を受けないですね。
「まぁ・・・睨み合っているだけでは埒が明かないからな」
仕方ありません。
まずは私から仕掛けてみるとしましょう。
上空に居る以上、地上戦しかできないライダールでは攻撃を先制するのはムリですからね。
両脚から足を覆う靴である機械兵装『封魔・翔脚』を用いて、まずは跳躍。
そこから、空気中の自然エネルギーを検出してレールを精製。靴底に装備されたブレードを展開し、精製したレールに乗せて空中を滑走します。
氷上を滑るスケート靴のごとく、私の身体を高速で運んでくれる優れもの。
一気に上空でふんぞり返る魔女まで接近を試みて、この二本の短剣で相手を切り付ければ、魔法術を封じることができるインチキ具合です。
高速移動によるすれ違いざまの引っかけ攻撃だけで、私の勝ちというわけです。
これぞ、一撃離脱の妙技!
しかし、それまで生物っぽくなかった魔女キュービックの体内温度が上昇すると、私の接近に反応してようやく顔をこちらに向けました。
これと同時に、姿勢を変更して私と戦う構えを取る。
ぎこちない動きではありますが、やる気になった。ということでいいのですよね?
と、その左手が私に向けられると、五本の指・・・その指先が一斉に私を向いたのです。
次の瞬間。
五つの指先から高圧縮された熱線が、私を狙って照射されるのです。
もちろん、高圧縮された熱攻撃ですので正面から受ければ、さすがに体が耐えられずに穴を空けてしまう事でしょう。
手に持っていた短剣の『封魔・双牙』を交差させて正面に構え、五つの熱線を受けます。
この武器の特徴は、魔法術の封印にあるため、熱線は命中と同時に霧散していきました。高圧縮するために魔力が使用されており、封魔の効果で魔力が失われたために熱を圧縮しておけなくなったのでしょう。
正直、私は詳しい原理とか理屈も屁理屈も分かりません。
あ、こういう風になるんだー。って感想しか持たない側の存在ですからね。
タツルはそういうのを考える側なので、今の私が言った事は受け売りと言っても過言ではないです。
ええい。
こんな子供だましな攻撃方法で私の足を止められると思うなッ!
熱線を防ぎつつ、私の突進は止まる事をせずに間合いを詰め、魔女は攻撃を中断して私との距離を開けるために移動を開始。
一方で、私はブースターを吹かして加速を行い、短剣にて魔女へと切りかかる。
この刃が、魔女の腕を裂こうかというところで、一個のキューブが短剣による攻撃の軌道に割り込んできました。
それが、半球状のシールドに一瞬で姿を変えて、私の攻撃を受け止めるのです。
が、『封魔・法具』の効果によってキューブは魔力が封じられ、魔法術の行使が出来なくなったことで地表へと落ちていく。
同時に、キュービックは右手の指を全て私に向けていました。
五つの熱線が私を襲いますが、寸でで回避した私は髪の毛を多少なりと焦がしつつも、キュービックの背後へと回り込むかなり無茶苦茶な加速で移動します。
人間なら、遠心力でどこかしらの骨が折れているだろう圧が掛かりましたが、人形たる私に意味はない。
そして、この間合いは私の攻撃が十分に届く距離!
人間であれば「はぁぁああ!」とか「そこだぁあ!」とか叫びながら、必殺を叩きこむところでしょうが、私にはそんな声を発する機能がありませんので、無音の一撃になります。
でも、この一撃には必殺の念を込めていますので、私的には「うおおおおおッ!」な一撃なのですよ。
・・・だというのに。
この魔女は、私のように一切の声を発することなく、背後に回り込んでいる私へ向けて熱線を放ってくるのです。
緊急回避!からの攻撃方法を変更し、二本の短剣を大振りで振る事で斬撃をエネルギー化し、鉄骨を豆腐のように切り裂く威力で飛ばします。
が、身を捩りながら回避されてしまいました。
緊急回避で、私もヤツとの距離が離れているため、追撃は難しい。
加えて、熱線の照射が恐ろしいほど正確に私を狙い撃ちにしてくるので、捌くのに忙しいことこの上ない。
「エメル! その距離を維持しろ!」
タツルからの指示を受け、再び距離を詰めるために動こうとした私は行動を変更。
そして、彼の狙いを知るべく少しだけ覗き見します。
・・・なるほど。
機械鎧を装着して人型となったライダールは、背中のジョイント部に大砲ユニットを装着して砲身を展開している姿を確認。
タツルが用意していた遠距離支援攻撃セットですね。
と、状況を把握した直後に爆音が響き、ライダール砲戦装備が火を噴いたようです。
そして、魔女へと着弾するのに3秒とかからず、大爆発は激しい炎を噴き上げ、黒い煙が花火のように周囲へと飛び散っていく。
なによりも、対魔女必殺砲弾の特別製であるはずなので、大抵の魔女はこれで爆発四散していること間違いない。
ふ。
キリアみたいに「いったー。突き指したわ」で済ませてしまう魔女もいるんですけどね・・・。
噴き上がる炎と黒い煙を突き破って、いくつもの熱線がタツルへ向けて放たれました。
一直線に伸びる熱線は、タツルも軌道を読んでライダールを操作することで回避して見せます。
しかし、攻撃直後に加速する魔女は、まったくの無傷でタツルへと突撃しつつ熱線を追加で照射し始めたのです。
私も、遅れながら加速して追いかけますが、なんですか!? あいつ!? 左右の脚裏からとんでもない量の火炎を噴き出すことで私以上の加速を実現しているじゃないですか。
え? え? 足の裏に火炎放射器でも取り付けてあるんですか!?
「ちッ」
舌打ちをしつつ、ライダールを踊るように動かして熱線の照射攻撃を回避するタツル。
しかし、魔女は脅威度を私よりもタツルに変更した様子で、とにかく私を無視してタツルへと攻撃を集中します。
先ほどまで高度を取っていたというのに、高速道路まで一気に下降して接近戦を挑んでいることからも、相当な脅威として認識されてしまった様子。
そして何より、こいつ、私よりも強い可能性が出てきました。
私が追い付いた時には、魔女の熱線攻撃でライダールの脚が融解し、転んだ直後でした。
トドメと言わんばかりの攻撃を仕掛けるなか、タツルはライダールの大砲を道路に撃ち込んで爆発させ、その爆発で生じた衝撃と炎で魔女の視界を奪うのです。
そして、ライダールに備わっている跳躍時に着地を補助する小型の着地補助噴射装置をフルパワーで起動させてムリヤリに魔女へと突撃させます。
爆発エネルギーで動けなかったのか?
魔女は突撃してきたライダールを正面から受け止めるようにして激突し、ライダールは逃がさないように抱き着いて固定。
さすがの魔女も、人型機械鎧形態であるライダールの重量を支えられないようで、そのまま高速道路に落着すると、熱線攻撃と大砲による爆発で脆くなっていた道路の橋一つが崩壊して沈んでいきました。
ちなみに、タツルは私が回収済みです。
ライダールの着地補助噴射装置をフルパワーで起動させて飛ばした直後に、タツルは操縦席から飛び降りていたので、私がキャッチ。
そうして、無事な道路に降りて落下した橋の様子を覗き込むのです。
「・・・エメル。どうやら、アレは魔女であっても人間ではないようだ」
・・・。
タツルが何を言っているのか、ちょっと理解できなかったのですが・・・それもすぐに解決しました。
地面へと落下して大炎上する橋が砕けると、そこから人が離脱して垂直に飛び上がってくるのです。
それが、私たちを不意打ちした一見すると全裸の魔女なのだから、どんだけ頑丈なんだ?ってなるわけですが、その謎もすぐに解けました。
全身に魔力が巡る光を網の目状に迸らせ、幾重にもキューブが詰み上がってできている事が読み取れる様子を見れば、この魔女が人間では無いのだとバカでも分かります。
「・・・魔女、キュービック・・・か」
生命反応がある魔法術人形。それが魔女、キュービックというわけですね。
次回は、魔女キュービックが大暴れ。を予定しています。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。