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ルルイの魔導士  作者: カウイ
4/13

04 あなたほどではありません

 こんにちは。こんばんは。


 この作品には、不適切。また、不快な表現が多数出てくると思いますので、ご容赦ください。


 最後までお楽しみいただければ、幸いです。

 世界魔女ランキング。

 よくある話しで、世界で一番強い魔女は誰だ?って話しになると「私だ!」と自己主張する者は一定数いるため、国連が発足した『国際連盟魔女協会』とかいう組織が世界各国にて魔女を調査して回り、偏見と賄賂と権力で順位づけが行われたモノ。

 つまり、信憑性が特に無いものとなります。


 どうもこんにちは。もしくは、こんばんは。

 成形タツルによって開発された人造知能の『ウルシ』です。

 ウルシと言う名前は『漆』と書きますが、完成時のコアが漆黒だったために『ウルシ』と名付けられたようです。

 さて、なぜ私の視点で語りが行われているのか?というと、エメルは現在・・・アメツ東京警視庁の鑑識課に呼ばれてなんかやってます。

 とりあえず、殴ったり蹴ったりした証拠?を採集するためとかなんとかですね。


 さて、我がマスターである『成形タツル』はと言えば、取調室にて事情聴取の只中です。


「つまり、カッとなって攻撃したんだな?」

「いいえ。攻撃を受けたので、規定に則り応戦したまでです」

「つまり、カッとなって攻撃をしたんだろう?」

「いいえ。攻撃されたので、応戦しただけです」

「だからさ? カッとなって攻撃したんだろ?って聞いてんだろ?」

「いいえ。相手から攻撃を受けたので、自己防衛のために応戦しただけです」

「なるほど、カッとなって攻撃をしたわけだ」

「いいえ。あくまでも自己防衛を目的とした行動になります」


 先ほどから、このやり取りが繰り返されている現状です。

 どうやら、刑事はマスターから攻撃を仕掛けた事にしたいがために、言葉を都合のいい解釈ができるようにしている様子。

 対して、あくまでも防衛に徹した。と主張するマスター。


「・・・あのさ? 男ってさ? アメツ語が分かんないの?」

「あなたほどではありません」

 返答した直後に、マスターは内心で「しまった。反射的に言ってしまった」と焦ります。

 そして、人差し指を立てた刑事は、指の先端をマスターの顔に向けるとただ一言を告げます。


「ばん」

 瞬間、指先から魔力の塊が発射され、これがマスターの顔に命中すると爆発したのです。

 その衝撃で椅子ごと後ろへ倒れ込むマスター。


「男ごときが、なに生意気な口を利いてんだよ」


 刑事が汚物に触って不快な思いをしているような表情をしていると・・・。

 取調室の天井が蹴破られて穴を開け、室内に置かれた机にエメルが着地する・・・と同時に刑事の顔へ拳を叩き込み・・・。


「エメル」

 拳を叩きこんで、力のままに振り抜こうとしますが・・・マスターの一言を受けて途中で停止。

 そして、刑事は顔が凹ッと潰れると、首の骨が粉砕する音を鳴らしながら部屋の出入り口側の壁を突き破って消えて行きました。

 刑事だけあって、頭だけ飛んでいくという情けない死に方はしなかったようですね。


「エメル。いつも言っているだろう?」

 マスターのため息交じりな声を聞き、殺意の波動を全身から放っている魔法術人形はスケッチブックを召喚して文字を書く。


『アレが放ったのは、常人なら頭が消し飛ぶ威力の魔力弾です』

「俺は無傷だが?」

『デブってスゲーですね』

「・・・キリアさんの出世にも影響が出る。これ以上は止めろ」

『分かりました』

 しぶしぶ。と言ったところですか?

 ですが・・・まぁ、警視庁内にいる敵性ゴミ物質は残さず焼却処分するプランを用意しておくとしましょう。私とエメルなら半日も必要とせずにミンチ肉のゴミ溜め場にできますからね。


「はぁ・・・物騒なプランを考えるな」

 承知しました。


 すると、取調室の扉がノックされます。


「はい。どうぞ」

 タツルが答えると、一人のデブな女・・・いえ、恰幅の良い女性が入室してきました。


「はい。久しぶりね? 相変わらずエメルは暴走しているのかしら?」

「いいえ。私の母が組んでくれた防衛プログラムに従って、敵を排除したに過ぎません」

「・・・せめて、魔法術人形・三原則は追加してくれないかしら?」

「母はすでに亡くなっております。俺ではエメルの魔造知能に手を加えることはできません」

「・・・そうね。そうだったわね」

 特に悪びれる様子もないこのデブ・・・いえ、貫禄のある女性は『雪風万里』という女性です。歳は56歳でしたね。響きがいいので覚えていますよ。


 第六陸島アメツ・東京の警視庁捜査一課の課長で、マスターの叔母である『成形キリア』の上司でもある人物。

 魔女としては大した実力も無いですが、アメツでも最硬の防御力を持つ創作召喚獣を開発した守りの達人と言われている魔女です。

 

「さて、まずは捜査一課の課長として謝罪しましょう」

「どうも」

「では、本題よ」

 と言いつつ、一枚の写真を提示してきました。


「正体不明の魔女が、先日、第六陸島・アメツに侵入したわ。この写真は、海域境界線の結界が撮影した侵入者の姿よ」

「そうですか。取り調べが終わったのであれば、これで失礼しますよ」

「終わっていないわ。これは取り調べよ」

「・・・そのためにですか?」

「はて? なんのことかしら?」


 なるほど、バカな刑事を取り調べに寄越した理由は、こうして騒ぎを起こして人を遠ざけ、こっそり仕事を依頼するためですか。

 警視庁もエリートというのは騙し合いに化かし合いと聞きますからね。

 

「第二陸島・アバジレンダ。このアバジレンダユニオン軍が大規模な軍事演習を半年前に行ったのだけれど、参加した兵士たちが9割方失踪する事件があったの。生還者の目撃情報で、全裸の女が現れた。という証言を得ているわ」

「そうですか」

「それから次に第三陸島・ダクラティブ。第五陸島・ズイシュンでも現れて、合わせて数億人を誘拐した疑いがあるわ」

「・・・数億人ですか?」

「そうよ」

「・・・ふむ」

「そして、先日・・・ズイシュンを横断したのでしょう。この魔女は、海をまっすぐ渡って、ここ。第六陸島・アメツに侵入してきた。というわけよ」

「なるほど、それで警察にまで総動員令が出されて、捜索もしくは出現時に即時対応できるようにしているわけですか」

「その通り。海域に侵入後は行方不明でね。君の叔母であるキリアが、ここずっと警視庁で缶詰になっているのは、こういう理由よ」

「・・・狙いは?」

「不明。ただ、国連もコイツを追っているようでね。国連所属の魔女を送り込んできているわ」

「国連が?」

「そう。国連に所属してる多国籍魔女遊撃部隊。すでに日本に到着して、勝手に捜査を始めているわ」

「・・・もしかして、六代目テンテルテというのは」

「そう。五代目からの推薦状もあって、今回の派遣部隊に参加してきたの」

「・・・そうでしたか」

「と、こんなとこかしらね。では、取り調べもここまでにしておきましょうか」

「最後に、一つだけ教えて欲しい事があります」

「うん? 答えられることだと、いいのだけど?」

「俺たちが乗ってきたスクーターは返却されますか?」

「ムリね」



〇エメル視点に戻る〇



『飛脚丸は帰ってこないのですか?』

「ライダールだ・・・そして返してもらえないとさ」

 あのタヌキとのやり取りは見ていましたが、こうして我が道路の相棒が帰ってこないという事実を目の当たりにして、殺意がぶり返してきましたよ。

 とりあえず、警視庁職員を何人殺せば返してもらえますかね?

 

「とりあえず、地下駐車場に移動するぞ。ここでは余計に目立つからな」

 警視庁のロビー。

 捜査一課長の案内を受けてロビーまで送られると、そこでお別れとなりました。

 その首を刈り取ってやりたい気持ちですが、タツルに止められてしまったので見逃すしかない。これがまた悔しいのですが、仕方なし。

 我が道路の相棒を奪ったクソ組織には、今日で終末を迎えてもらいたいところです。

 まずは捜査一課長・・・とも思いましたが、課長って中間感・・・ちゅうかんかん・・・中間管理職・・・まずい。思考が乱れるほどに殺意が高まっている!?


「ほら、地下駐車場に移動するぞ」

 タツルに手を引かれ、私は頷き返して付いて行きます。

 殺戮というものは、昂る感情のままに行っては上手く行かないものです。

 必要なのは、冷静に実行する心。

 何事も、熱くなり過ぎては失敗の元ですからね。


「あ、タツル」

 む? キリアが追いかけて来た?


「どうかされましたか?」

「まぁね。ライダールだけど、どうやら国の魔法術研究機関に回されて、構造解析やら技術研究されるって話しを聞いたわ」

 むむ! タツルが苦心しつつも開発したライダールの技術を盗もうというのか!?


「そうでしょうね。別に構いませんよ」

 え?


「あら? いいの?」

「ええ。既存の魔法術を組み合わせて機械で制御している程度ですから」

「・・・そう」

「むしろ。再現できなかったら研究機関が無能集団ってことになりますよ」

「言い方」

「間違ってはいないでしょう?」

 なるほどー。

 タツルは魔導術の天才ですからね。

 ライダール程度の魔導鎧であればパパっと造れてしまうから素晴らしい。身内として大変鼻が高いわけですね。

 ま、それだけ母親であるカスミの『祝福魔法術』が強力だったというだけの事でもありますが。



 地下駐車場に到着するとカード型の携帯念話器を取り出します。


「タツル。それ、姉さんが昔設計図を引いていた・・・」

「はい。スマートフォンとかいう携帯端末です」

 なんと!?

 カスミがなんか妙ちくりんな機械の絵を描いていると思っていましたが、タツルが再現してしまった!?


「え? え? それ、どういうモノなの?」

「まだ実験器なので出来ることは少ないですが・・・差し当たってタッチパネルという画面を指で触るだけで操作できますので、現行の携帯念話器に比べるとスッキリしています」

「む・・・む・・・私も欲しいんだけど?」

「残念ですが、まだ機能面も限定的なので渡せるものじゃないんです」

「えぇ・・・」

「まぁ、もう少し改良を重ねてからになります。特にバッテリーが弱いので、魔力をフル充填しても連続使用で2時間ほどしか動かないんですよ」

 と、スマートフォンという端末を操作して、家の格納庫に置かれているライダール2号機を召喚・・・いや、コレは転送ですね。


「マジか・・・え? 転送魔法術?」

「はい。あ、スマホのバッテリーが・・・エメル」

 私は、髪の毛をひと房ほどタツルに差し出します。あ、髪の毛を取り外したわけじゃないですよ?

 これを受け取ると、スマホの下部にある接続部に差し込み・・・魔力の充填が開始されるのです。


「エメルの髪が魔力伝導性に優れていて助かりましたよ」

「歩く充填機になってんぞ? それでいいの? あんた・・・」

『タツルの役にたってこその魔法術人形ですから』

 えっへん!


「・・・まぁ、あんたがそれでいいなら別にいいけどさ」

 当然です。

 私の存在意義とは・・・まぁ、このためだけというわけではないですが、これもその一環なので何も問題は無いのです。

 

「では、俺たちはこれで帰りますので」

「気を付けて帰りなさい」

 そうして、警視庁を発つ私たち。

 キリアも仕事で忙しそうですし、長居は無用という奴ですね。

 

 そんな帰路を進んでいると、タツルはどこかに念話をし始めます。


「もしもし。お久しぶりです。ミスカ・アイフォニー」

 あー、彼女に掛けているのですか。


「はい。そうですね。さっそくですが、半年ほど前に第二陸島・アバジレンダで行われたという合同軍事演習での事件なのですが・・・」

 前回、日本へ来たのは二年ぐらい前でしたっけね。

 第一陸島・ハースニングで、惚れた男と結婚し去年には二人目の子供を出産した。と手紙が送られて来ていましたっけ。

 うんうん。小さい頃のタツルに似た可愛らしい女の子でしたねぇ。


「え? それが犯人の名前なのですか?」

 おや? どのような話をしているのか分かりませんが、正体不明の魔女だと雪風万里捜査一課長は言っていましたけれど・・・。

 名前が判明したということでしょうか?

 それともコードネームのように国連が当面の名づけを行った?


「キュービック。それが正体不明の魔女の名ですか・・・」

 ほほぅ・・・なるほどー。

 その名前なら私も知っていますよ。

 

 ずばり『立体パズル』ですね!

 

――それは『ルービックキューブ』です――

 ・・・う、うるさいなーッ!

 ちょっとボケてみただけですよーッ!


――そういう事にしておきましょうか――

 ぐぬぬぬ。

 おまえ、帰ったら絶対にスクラップしてやりますからねッ!!




 次回は、主人公の自宅。を予定しています。


 サクッと作れて、サクッと読める作品を心掛けておりますが、果たしてちゃんとできているのかどうか・・・不安です。


 最後まで読んでくださり、ありがとうございまいした。

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