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ルルイの魔導士  作者: カウイ
3/12

03 いつもそうですよね

 こんにちは。こんばんは。

 

 この作品には、不適切。また、不快な表現が多数出てくると思いますので、ご容赦ください。


 最後までお楽しみいただけたら、幸いです。

 創作召喚獣。

 魔法術がなんやかんやで発展していったものの、勢い余って天井に頭をぶつけてしまったように進歩も進化も止まってしまった時代を迎えると、これを打破するべく編み出された新術になります。

 そもそもが、異世界より勇者を召喚する。という御伽噺から着想を得たとかなんとか。

 そうして、今や全世界の魔女が『私の考えた最強の召喚獣』を創るべく日々研究に打ち込んでいるそうで。

 

 では、改めてテンテルテの創作召喚獣『ブロックス』を見てみよう。

 うん。

 レンガを人型に積み上げただけのゴーレムです。

 創作召喚獣の創作が迷子になっている事がよく分かる。そのデザインは掃いて捨てるほど溢れかえっているありきたりデザインなのです。

 もう、魔女を止めてしまえ。


「さぁ! 魔法術人形の所有者を殺せば、人形の所有権は空欄となる! ブロックスよ! そこのデブ男をミンチにしてあげなさい!」

《ぐぉおおおおおおおぅ》


 そんな事はさせないんだなー。

 私は、ライダールの左右ハンドルを手首のスナップで一気にフルスロットルにして、ハンドルグリップを引っこ抜きます。

 これがライダールに実装された『ある機能』を起動させる手順となります。

 

 ハンドルグリップが外れた穴から魔法術の法術式が飛び出して、球場に大型スクーターを包み込んでいくのです。

 すると、かつてはカスミが使っていた研究室・・・今はタツルが魔改造しまくった研究・開発室にて保管されている追加装備一式が大型スクーター『ライダール』に装着されていくのです。

 創作召喚獣に対抗するための戦闘兵装として、タツルが開発した物になりますが・・・どうにも私はこれの運転が慣れないので、ここでタツルにパスです。

 操縦桿となるハンドルグリップをタツルに渡して、私は運転席から飛び降ります。


『では、私たちは生で殴り合いをしましょうか』

 スケッチブックに言いたいことを書いて、六代目テンテルテに見せます。


「え? え? あ、あなた、彼を守らなくていいの!?」

『大丈夫です。そのための『ライダール』ですから』

「・・・」

 うん? 何か言い返してくると思ったのですが、呆然?としているようなので、その顔に蹴りを叩きこんでやります。

「あ」とか言っていましたが、ちょっと戦闘経験無さ過ぎでは?

 ま。頭だけ吹っ飛んで行かなかったことは褒めてあげましょうか。ここ最近の魔女はどれもこれも簡単に頭だけ飛んでいくヤツばかりでしたしね。

 

 道路で停車していた都営バスに激突したテンテルテは、そのまま気絶したように動かなくなります。

 死んだふりの可能性があるので、追撃も入れておきましょう。

 あ、そーれ。

 踵落としを脳天に叩きこんで、ジ・エーンド!


「危ない! まさか追撃してくるとか!?」


 ・・・ち。

 死んだふりしたまま死ねばいいものを・・・なかなかいい反応しますね。

 魔女の世界ランキングで587位に入る実力者・・・の六代目だけはあるということですか。


『そのまま死んで構いませんのに』

「あなた! 魔法術人形三原則ってご存じないの!?」

『イエス! 未実装デス!』

「国際法違反じゃないですか!」


 あーあー・・・なんかそういうのがありましたねー。

 そんなものを実装していたら、タツルを守れないではないですか。

 私の存在意義はタツルに迫る女を駆除し、ハニートラップで寄ってくる虫を駆除し、殺そうとする生ごみを処分することですからね。

 人間を守るとかいう存在そのものが無意味な三原則なぞ実装するわけがない。

 

 そもそも、国際法とかいうのが矛盾だらけなのですよ。


 おっと、タツルの方はどうなっているでしょうか?

 首を回して様子を見てみると、人型機械鎧となったライダールがブロックスのパンチを華麗に回避していました。

 スクーターを覆う丼のような装甲体から、人間っぽい四肢が生えている不格好な機械鎧。

 足には大型トラックに使うタイヤが備えられており、先ほどからコレを活用して道路を滑るように走ってみせることで、華麗な身体捌きで攻撃を回避しているのです。

 そして、手長猿?のように長い腕にもホイールとタイヤが装着されており、これの回転で攻撃を受けることでパンチの軌道を逸らして見せます。

 パワー型のゴーレム系は、これで十分に捌けるから楽ですね。


「よそ見して!」

 怒りを感じられる声を聞きますが、この程度の魔女なら見てなくても髪の毛だけで対応可能なのですよ。


「な! 私のブロックを!?」

 え?

 すぐに首を回転させて向き直り、髪の毛で受け止めた打撃を確認すると・・・まさかのレンガが絡まっているではありませんか。

 あー!

 私の髪が砂利っぽくなるぅ・・・お手入れが面倒になるじゃないですか。


『ちょっと! 攻撃するなら拳にしてください! 髪の毛にレンガとか、あとでお手入れが大変なんですよ!』

「怒るところが意味不明なのですが!?」

 どこが意味不明ですか!


『あなたは魔女でしょう!? 魔法術なんて使わずに拳か蹴りでかかってきなさい!』

「魔女の意味がなくなってしまうでしょうが!!」

 そういえば、そうですね。

 どうにも私の身近にいる・・・一人はもういませんが・・・魔女は、殴る蹴るで無双するのが常なので、失念しがちです。

 魔法術を使ってこその魔女でしたね。

 

『だったら魔女らしく魔法術で攻撃してきなさいよ!』

「さっきからしているでしょう!?」

 ・・・あ。レンガを投げるだけの魔法術ですか?


 ・・・・・・・・・・・めんどくさ。


 私は一歩、踏み込みます。

 その腹に蹴りを叩きこんで、背後にていつの間にか横転していたトラックに縫い付けるようにめり込ませてやります。

 それにしても、ここまで頑丈とは意外でした。

 いつもならこれで腹が破れて上半身と下半身が断たれているのですけども。

 

 ・・・ふむ。ブロック魔法術で鎖帷子のようにレンガを身体に纏わせているようですね。

 

 肌の色に同化しているために分かり辛いですが・・・なかなかの防御術です。

 いや、この生ゴミはすぐに処分しておかねば危険ですね。私の蹴りを防ぐ術があるというのは楽観視できることではありません。


「はい。そこまでー」

 反射で放つ我が蹴りを、特に見ることも無く片手で払い退ける。


「エメルさーぅん? タツルがいつも言っているでしょー? 殺すなッ」

 ええい、その鬱陶しい顔を私に近づけるな!

 追加で殴りかかりますが、足払いをされて転ばされてしまいました。

 くっそ! 私のセンサーでも反応しない速度で攻撃してくるとは! 無駄に強いから困る!! やっぱり昔のザコだった頃に駆除しておくべきでしたよ!!!


「・・・ま、まさか。現アメツ最強の魔女・・・『成形キリア』ですか!?」

 あら? 意識がまだあるとは、やはり頑丈な魔女だ。ここで仕留めておきたいですね。


「はいはい。アメツ東京警視庁捜査一課凶悪魔女犯罪対策係の『成形キリア』ですよー。じゃ、おやすみ」

 と、私の超高性能な目でさえ捉えられない速度の拳が、六代目テンテルテの額に「こつん」と当てられると、眼がグルッと回って涙と鼻水と涎を吐き出すように垂れ流し始めて気絶します。

 ・・・そして、テンテルテの背後にて横転していたトラックが粉々にぶっ壊れて道路に散乱していく。


 いったい、どんな速度のパンチを生身で放ってんだ?って話しですよ。マジで。


「ほらー? そっちはどうよ?」

「ええ。助かりました・・・キリアさん」

 見れば、ライダールの右腕がひん曲がって拉げているじゃありませんか。

 これはつまり、ブロックスの一撃が強力だったということでしょう。改良の余地ありですか。


 バラバラと、崩れるブロックスがレンガのゴミ山になっている傍らで、横倒しになっているライダール。ううむ。やはり足腰が貧弱なのでしょう。

 タツルのことですから、すぐにでも家に帰って改善点を徹底的に突き詰めるでしょう。

 これは、一週間はテコでも動かなくなる予感・・・。


「さて、あんたたちも事情聴取があるからね? 警視庁まで来てもらうわ」

「分かっていますよ」

 ライダールから脱出して、タツルが砂埃などを払いながらキリアへと歩み寄る。

 そして、たすき掛けのように提げていたスポーツバックの取っ手を掴んで持ち上げて見せます。


「三日分の着替えを持ってきました。洗濯する分を持ち帰りますから・・・ちゃんとまとめてありますよね?」

「・・・もちろん」

 あ、コレはまとめてないな?

 ズボラめ。いい加減に自立しろ。私のタツルに手間を取らせるな。

 ・・・しかし、こうして出かける口実になっているので、声を大にして非難もできませんね。


 遠くから聞こえてくる警察車両のサイレン。

 駆けつけるのが遅い。と思うところではありますが、通報を受けてから出てくるまでを考えれば妥当でしょう。

 他のザコと一緒に来てくれれば、テンテルテを確実に仕留められたのですけどね。

 


 成形キリア。

 

 私こと『魔法術人形エメル』を開発した『極東の魔女・成形カスミ』の妹にして、現在は姉に代わって日本最強の座を得た魔女・・・魔女?

 こいつは一般的な魔女とは異なり、火・水・風・土などの基本的な魔法術が使えない落第者・・・だったのですが、なんと己が肉体を鍛え上げて暴力で他を圧倒する異色の魔女になったのです。

 どうも、魔女の才能がないということで酷いイジメを受けていた時期があるそうですが、ある日突然ブチギレて、いじめっ子の同級生らをほぼ殺してしまったことから天井知らずで強くなったとか。

 

 ほぼ殺した。というのは、今も生きているわけですね。

 今は自力で歩けるぐらいには回復した。というハガキを見たことがあります。

 私でも怯むほどの憎らし気な顔で舌打ちしていたのは、人間であれば悪夢に出てきそうな表情でした。

 ・・・35歳の現在で、やっと歩ける程度に回復って・・・どんな状態だったのでしょうね?

 

「こら、エメル。大人しく付いてきなさい」

 ・・・癪ですが、ここは刑事であるキリアに従うのがいいでしょう。


「待ってください! ライダールを押収するとはどういうことですか?」

「どうもこうも、第二陸島・アバジレンダのアリタイから来た魔女と一戦交えた以上、いろいろあんのよ」

「ちゃんと返却されるんですよね?」

「さぁ? 私には何とも言えないわ」


 うーん。

 コレは返してもらえませんね。


「別に大丈夫でしょ? 予備機だってあるんだし」

「それはそうですが、コレだってタダじゃないんですよ」

「・・・こればっかりはねぇ」

「警察っていつもそうですよね・・・」

 

 ・・・いっつもそうですよねー。

 

 




 次回は、警視庁でひと騒動。になると思います。

 

 もうすこし過激な表現を入れてもいいものか・・・とても難しい問題なのだと改めて実感します。


 最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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