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ルルイの魔導士  作者: カウイ
2/12

02 駆除る?

 こんにちは。こんばんは。

 

 この作品には、不適切。また、不快な言動が多数出てくると思いますので、ご容赦ください。


 最後までお楽しみいただければ、幸いです。

 現代社会は、魔女社会。

 そんな社会はいつごろからか?・・・っと、歴史学者が殴り合いを始めるほどには、定かではない世界の歴史ミステリー?


 その学者らでも意見が一致するのが六人の魔王と賢者の伝説。

 なんでも、世界はずーっと昔に6人の魔王が支配しており、第一国家から第六国家と呼ばれて世界六大国家と数えられていた時代があるらしいですね。

 ま、そんな事はどうでもいい。

 そんな世界の始まりを経て、なんやかんやあって今に至る。と、タツルが通っていた小学校の歴史授業でやっていたような気もします。

 で、ここ第六陸島・アメツは、賢者が最後に訪れた魔王の国であり、この地で六人目の勇者を選出し、魔王を倒すための力を授け、導いたことで世界は救われた。

 

 こうして、人類は魔王の脅威から解放され、世界は未来に向かって躍進したのである!


 だからなんだよ。って話しではありますが、こういう感じで世界中で停滞していたあらゆる分野の技術が爆発的に進歩・・・いや、進化を遂げていくのが延々と語られる世界史。

 その中で最も躍進したのが『魔法術』という技術。

 世界中の魔法術師が競うように研究を行い、その結果が『男よりも女の方が魔力量も優れており、魔法術の制御も繊細にこなすことが出来る』というものでした。

 結果、それまでは男性を中心として魔法術師が教育されてきたのも、徐々に女性が増え始め・・・百年としない内に女性が中心となっていったのです。

 

 こうなると、それまで偉そうにしていた男どもは『やべーッ! 女たちが調子に乗ってるーッ』と焦る男ども。一方で、特に男なんぞ気にもしていない女たち。

 するとどうでしょう?

 そういう野郎どものやる事は、いつの時代も単純明快・・・魔法術に長けた女性を悪魔呼ばわりして、殺すこと。嫌な時代が到来します。

 まぁ、女性を擁護したり守ったりする男も、同じく悪魔の使いとして殺されたわけですが。

 

 世に言う『魔女狩り』時代・・・だったかな?


 しかし、魔法術に長けた女たちが黙っているわけも無く・・・総力戦で男どもに復讐を果たしたわけですね。

 それが魔女社会の始まり。とするのが、現代社会の歴史となる。

 

 まぁ、現代が女性を筆頭にした社会を営んでいるのですから、細かいことは気にしないでいいでしょう。

 

≪近年、新たに発見された歴史的資料を基に、最新の映像技術と新解釈で送る歴史ファンタジー!『勇者戦隊ワイケンジャー!! ~倒せ! 六大魔王と魔王神獣~』全国ロードショー! 今、前売り券を購入すると、スペシャルホログラフィックワイズマンカードをプレゼント!≫


 街の道路を走っていると、大型電光掲示板に映画の告知が耳障りなほど宣伝されていました。


「・・・なんだ? 勇者戦隊って?」

 おや? 知らない様子?

『最近の研究で、魔王を倒した賢者は六人のチームで勇者ロボ?とかいう対魔王兵装で戦ったとかいう資料が出てきたと、ニュースでやってましたね』

「えぇ・・・」


 そう。

 この資料は絶対嘘っぱちだろ。という指摘が相次ぐ中で、資料の年代測定で数千年前のものであることは確認されているそうで・・・。

 六大魔王と賢者の話しは、これまでに幾度も映画を作り、リメイクも繰り返しているので新しいジャンルとして映画製作会社が飛びついた結果の異色作になったそうで。

 六人の賢者役は大手アイドル事務所所属の若手イケメン男子を起用し、六人の魔王は俳優でもベテランのイケオジで固めた幅広い層へアプローチしていると、ニュースで説明してました。


 ちなみに、最近のドラマには女優が出ません。

 というのも、アイドル男優と共演した女優は軒並みファンクラブによる集団に襲われて殺されてしまうので、女優の起用はほぼ無くなりました。

 せいぜい、主人公のお母さん役かお祖母ちゃん役ですね。

 悪役で男優と共演させても、次の日には用水路か海に死体が浮いている徹底ぶりですから。


 そういう意味では、女性も生きづらい世の中なのかもしれませんねぇ・・・。


 赤信号になったので、一時停止。

 人間が運転していたならば、赤信号を無視して渡っていくのが当たり前ですが、私は安全運転を順守します。なにせ、交通ルールですからね。

 

≪12月24日夜10時に、東京名物ホワイトクリスマスイベントのお知らせ≫


 電光掲示板に新たな情報が表示され、大音量で宣伝が始まります。

 今年もやるんですね・・・ホワイトクリスマスイベント。

 ここ第六陸島・アメツでは東と西で熾烈な首都争いをしているわけですが、これに勝利するための一手として東京が始めたのが『ホワイトクリスマス・イベント』です。

 ま、簡単に言えば『クリスマスイブに雪を降らせるお知らせ』ですね。

 このアメツ東京と、アメツ西京では雪が降ることはありません。特に12月ではね。

 そこで、東京は雪を人工的に降らせてホワイトクリスマスを演出し、ロマンチックな夜をお届けするという暴挙に出ました。

 

 天候を操作する魔法術というのは、相当な魔力を浪費するので魔法術師はもちろん、魔女でも一人ではムリな試みなのです。

 ということで、東京中の魔女免許を持つ女性たちを雇って強引に魔法術を行ったのが、このイベント。

 結果、雪を降らせることには成功し、イベントは大盛況で終えたものの・・・雇った魔女の大多数が半年近く意識不明となったのは、あまりにも有名です。

 で、もう二度とやらんだろ?って思っていたら、今度はアメツ全土から魔女を募集して決行するという暴挙に出て・・・まぁ、成功させたんですね。

 

「しかし、今年はどうするんだろうな?」

『何がです?』

「客だよ。去年は外国人観光客が押し寄せて、東京は大混乱になった・・・と、ニュースでやっていただろ?」

『あー、そうですねぇ・・・死傷者が500人越えの大パニックでしたか』

「どうやら、今年はさらに魔女を増やして、雪を降らす範囲を広げるらしいぞ」

『・・・バカなんですか? イベント運営委員会というのは』

「さぁ? それは結果次第だろうよ」


 どうしようも無いですね。

 これで死人がさらに増えるようなことになったら、果たしてどう責任を取るんでしょう?

 ・・・いや、これまでも『自己責任』と言って知らん顔していましたね。魔女を雇うことに予算を使い潰しているため、対策費用は無しっていうのが現状でしょう。

 


 東京の街は、魔法術の発展に伴って劇的に進化を遂げています。

 いずれは国の首都となる街であるとして、高層ビルが続々と建築され、インフラが最新技術に置き換えられていく今日この頃。

 車の交通量も増大し、それに合わせて道路の整備も日々進んでいく。

 それでも、人間の大まかな営みは変わらず・・・。


「ちょっと! 男のくせに私の前を横切ったな!」

「え? あ、す、すみません!」

「うるさい! 死ね!!」

 

 歩道で騒ぎが発生し、スーツ姿の男性が魔女の攻撃を受けて片腕を斬り飛ばされたようですね。

 道行く連中の悲鳴が響く中で、怒りを露わにする者が現れます。


「ちょっとあんた! 男の返り血が私の服にかかったじゃないの!」

「はぁ? だから何だって言うのよ!?」

「弁償しなさいよ! この服、高級シルクなのよ!」

「そんなもん着てくんなよババア!!」

「ぁあ!? 死ね!! クソガキ!」

「ぇ!?」

 

 肉が弾ける音がして、横断歩道を転がる女の頭。

 しかし、信号は青になったので一斉に発進する車たちは、女の頭を踏みつぶして知らぬ顔。

 私も信号が青になったので無視して発進する一人です。ただ、後部座席に乗っているタツルは不快そうな顔をしていますね。

 

「うわ、デブだ」

「嫌なもの見た・・・殺したい」

「やめなさいよ。ほら、運転しているのは・・・」

「あぁ・・・くそ・・・さいあくぅ」


 歩道でそんな会話をしている生ごみ共もいるのは、私としても不愉快極まりない。 

 なので、スケッチブックに『駆除る?』と書いてタツルに見せます。が、首を横に振られてしまいました。


「・・・しなくていい。こちらから仕掛けるのは無しだ」

『はーい』

 

 とても納得の行く措置ではありませんが、タツルがそのように判断するならば従うしかないでしょう。専守防衛というのでしょうか? 消極的な姿勢ですね。

 ま、今は警視庁に急ぐ理由もあるわけですし、横道逸れずに真っ直ぐ進むだけでしょう。

 などとやっている間に、また赤信号。

 都会というのは、どうしてこうも信号機を設置しまくるんでしょうねぇ・・・イライラする。

 こう・・・もっとスムーズに進むためにも、やはり道路はちょこっとスッキリさせた方がいいでしょう。つーか、私のために道を開けろよクソ共が。

 なんでこう、道路ていうのは私の邪魔をするヤツばかりなんでしょうねぇ・・・マジで邪魔な車は退けてもいいって法律を追加するべきですよ。

 早く青信号にならないかなー。


―――後方、上空より飛来物反応。急速接近―――

 

 赤信号ではありますが、アクセルを全開にして急速発進。

 私の発進により、青信号の道路より走ってきた車が続々とハンドルを切って回避行動に出ますが、私は直進しつつブレーキ操作を行ってスクーターの後輪を振り回すように道路を流しつつ、後方へと向き直ります。

 と、上空から飛来してきた幾多のレンガ?と思われるブロックが私たちが居た周辺の車を巻き込んで道路に突き刺さったのです。

 そうして、あからさまにブロックが積み上がっていくと・・・一人の魔女が、こちらを見下ろすようにしつつ、ブロックの塔に降り立ちます。


「hzmmst,mhnnngy-emeru,sn」

 ・・・うん? 何語でしょうか?

「wtsh,tennterute. skmzyrnnknng587・・・brkkmhzytntktt,nwhstms」

 ・・・う、うん? なるほどー。なるほどー。


「それはオカシイな。テンテルテと言えば、現代は5代目で歳は45歳であるはずだが?」

 え? え?

 タツルには、この女が何を言っているのか分かると言うのですか!?

 私が首を回してタツルを凝視していると、彼は私を見て頭痛にでもなったように右手を額に添えました。

「エメル。国際共通語翻訳魔法術を使え・・・アレは世界共通語のハス語だ」

 第一陸島・ハースニングの言葉でしたか。

 そういえば、伊達に第一陸島などと言われているわけではない国でしたね。歴史上でもいつごろからなのかが、未だに不明な世界共通語が、かの第一陸島・ハースニングの言語なのでした。

 えーっと、カスミが入れてくれた言語翻訳アプリを起動して、第一陸島・ハースニングを適用っと。


「えーっと、自己紹介をやり直した方がいいですか?」

『そうですね』

 スケッチブックに書いて、相手の魔女に見せます。

 大変不愉快ですが、ため息を吐かれたので今すぐぶっ殺してやろうかと身を乗り出しますが、タツルに止められてしまいました。


「では、改めて名乗りましょう。私はテンテルテ! 世界魔女総合ランキング587位に名を連ねている『ブロック魔法術』の使い手です!」

『あっそ』

 なんだ。マジでしょうもない名乗りですね。くだらない。


「・・・さ、さっそくですが・・・こほん。そこのデブ男を捨てて、私の人形になっていただくために、第二陸島・アバジレンダのアリタイから参りました」

『そうですか。お帰りに必要な空港はたぶんアッチなので、どうぞ、まっすぐお帰りなさいな』

「エメル。そっちは動物園だ。空港はアッチな」

『だそうですよ』

「ふざけた真似を!! 穏便に交渉してあげているというのにッ!」

 ・・・不意打ちして来たくせによく言う。

 どうしてこう、人間というのは男も女も関係なく身勝手なんでしょうね? マジで鬱陶しい。私とタツルの警視庁デートを邪魔するとか・・・うん。ぶっころっとやっちまおう。


「ところで、テンテルテと言えば、現代は5代目で歳は45歳のはずなんだが? 君は15歳ぐらいに見えるのはどういうわけだ?」

 タツルが鋭い質問をしています。

 アレが45歳なら、相当な若作りですね。

 不老魔法術が使えるのは、それこそ一流の魔女ですし、二流でも辛うじて使えるものの、老化を遅らせる程度にしかならないから難しいのですが。

 世界でも、数千年を生きる魔女は確認されている魔女でも三人程度で、一人は幼女の姿をしているというから驚きです。

 ちなみに『おかしな魔女』という異名持ち。

 さて、この女を改めて見てみましょう。

 魔女としての能力値は・・・確かに優れていますね。

 私の解析能力でも15歳程度の娘っ子ですが・・・はてさて、どう見ても世界ランキングに名を連ねるような実力はありそうもないですね。


「・・・男の質問に答えるのは不愉快だけど、いいわ。私は6代目テンテルテ。先日、5代目より正式にテンテルテの名を継承したのです」

『ふーん』

「・・・もういい! ブロックス!!」


 突然、怒り出してどうしたというのか?

 昨今の若者はキレやすいなどと言われますが、テレビの誇張だと思って聞き流していたのですけど・・・ふむ。テレビも侮れませんね。

 あ、ちなみにコイツが叫んだ『ブロックス』というのは、どうやら私たちを襲ったレンガと思われるブロックのようですね。

 これらブロックが中空に浮き上がって積み上がっていくと、人型をしたゴーレムへと変じます。

 ほぉ・・・なかなか洗練された魔法術ですね。


「我が創作召喚獣! ブロックスよ! その生意気な魔法術人形に真の主が誰であるかを教えてやりなさい!」

《ぐぉおおおおおおおお!》

 うわー、なんかメッチャめんどくさーい。

 

「ブロックスか・・・ライダールの実戦テストにちょうどいいな」

 かかって来い! テンテルテ!

 お前は私が相手してやりますよ!!

 

 なので、あのゴーレムはタツルに任せます! おっけぃ!

  









 次回は、ブロックス対ライダール? と テンテルテ対エメル になる予定です。



 最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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