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ルルイの魔導士  作者: カウイ
13/14

13 毒を盛るのは止めておこう。

こんにちは。こんばんは。


この作品は、不適切。不快。な表現が多数出てくると思われるので、ご容赦ください。


最後まで、お楽しみいただけたら幸いです。

「わぁーッ! 山一つが成形家の所有で、麓に門! 中腹に家がある!って聞いていましたけど、結構小さいんですね?」


 なんだてめぇ? 喧嘩売ってんのか?


「九大霊家の『壱』を担う君の家は、その名にふさわしい格式というモノを必要とする。翻って、成形家は過去に功績を得て山を一つ貰った。っというだけで、平民だからね」


 そう。

 現代の魔女社会を築くために、当時の政府と真っ向から戦った現代の九大霊家。それらと共に戦った志士の一人に過ぎないのが『成形家』である。

 っと、前にカスミが語っていたような気がしますね。どうでもいいことです。



 結局、トウカを成形家で預かる話になりました。

 キュービックとの決戦に挑むためにも戦力は必要ですが、忍者の才が無い。っていうトウカを戦力に加えたところで何の意味があるのやら・・・。


 九大霊家・壱里家の分家現当主である『キョウカ』の秘術によって、タツルが目的としていた創作召喚獣『火達磨八郎』・・・いえ、改め『火達磨十三』は次代の当主が決まっている『トウカ』へ秘術を以て貸与された。

 そうして、後は特訓あるのみ!ってことで、宿泊費用をたくさん渡されてしまったことで、渋々と連れてくることに・・・。


 キリア以外の女とか要らないんですよマジでさぁ・・・タツルと私だけ居ればいいのにさぁ・・・キリアはギリで許してるだけでさぁ・・・つか、キリアは追い出そうにも追い出せないから許容しているだけでさぁ・・・あぁ・・・クソがー。


「あの~・・・エメルさんから呪いに近い憎悪の圧が出ているんですが?」

「いつもの事だ。俺に血縁以外の女性が近づくのを極端に嫌がるんだよ」

「あ! そういえば昔もお姉ちゃんとタツルさんが手を繋いでいると、無理矢理剥がしていましたね!」

「・・・覚えているのかい?」

「え? もちろん覚えていますよッ! あの頃は、みんなで仲良く遊んでいたので、一番楽しかったころですッ!」


 えぇ・・・。

 私はちっとも楽しくなかったぞ・・・オウカは、タツルを自分の所有物みたいに扱いやがるし、駆除したくてもカスミに『ダメ』と言われていたから毎日が我慢の日々だったわけだし。


「・・・え? あれ? タツルさんは覚えていないんですか?」

「いや・・・楽しい事もあったが、今は思い出したくない日々だな」

「え!!? そんなッ!!」

「・・・顔を焼かれたからね」


 何かを言おうとするトウカは、しかし、開いた口を閉じて俯く。

 コイツじゃないとはいえ、身内のやった事・・・何を言ったところで言い訳にしかならないですからね。


「ならッ! お姉ちゃんの顔は黒く塗りつぶして忘れてもらって、私との楽しい日々だけを思い出してくださいッ!」

「えぇ・・・」


 ・・・いや、おまえも思い出したくない記憶の付属品なんだよ?


「そういえば・・・君は昔から『そう』だったね」

「はいッ! お姉ちゃんは本家に嫁ぐわけですしッ! 私と結婚しましょうッ! 大丈夫! 今は太っていても、痩せればいいんですから! 結果良ければ全て良し!ですッ!」

『ぶっコロッと駆除るぞクソ虫がぁ』


 もうッ! ここでコロッと駆除るべきですッ! わたしぃ! イライラしてきましたよッ!!

『もうッ! ここでコロッと駆除るべきですッ! わたしぃ! イライラしてきましたよッ!!』


「早まるな・・・せめて今回の事件が解決するまでは待て」

「ちょッ!? それじゃあ事件解決したら私が駆除られちゃいますよッ!?」


 別にいいじゃん?

 せめてもの温情だ・・・痛みを感じることが無いように終わらせてあげましょう。


「壱里家の次期当主になるらしい私は、お祖母ちゃんに期待されているんですよッ!? それに、やりたい事はいっぱいあるんですからねッ!」


 キョウカが期待しているのは、タツルですよ。

 上手い事、トウカに箔をつけてくれ。っていうのがババアの思惑ですし、そのために必要なモノがあれば連絡しろ。とも言っていましたからね。

 つか、やりたい事? ヤラセルカヨ・・・。


「大丈夫だ。今の君なら、エメルに殺されることはないだろう」

「え?」

 

 え? 今のトウカなら、私に殺されないだと・・・。


「さて、コミュニケーションもいい感じに取れたところで、本題に移ろう。まずは火達磨十三の召喚訓練を始めたいところだが、その前に紹介しておく物がある」

「・・・紹介しておく、物?ですか?」

「そう・・・こっちだ。ついて来てくれ」


 こうして、トウカを我らが自宅へと招き入れることとなりました・・・はぁ・・・。





≪おーッ!? トウカじゃないのー♪ 久しぶり~ッ≫


 タツルが作った魔導人形『G11T』一号機を使うキリアが、下顎をスライドさせて右手を振り上げながら挨拶をする。

 その姿を見たトウカが、恐ろしいモノを見る目でタツルの後ろへ隠れてしまった。


「た、たたたたたた、タツルさん!? エメルさんの色違い人形がッ! なんか下顎だけ開いて無表情なのに声が明るくて気持ち悪いんですけど!!?」

≪あんだコラァア!? 久しぶりだってのに失礼なやっちゃなーッ!≫


 ・・・まぁ、キリアが怒るのも止む無しでしょう。

 私の場合、暗がりで首を回すだけで、相手がビクッと怯えますからね。


 室内で、灯りもある中で、唐突に無表情の人形が「ひさしぶり~」と明るい声を出しながら寄ってきたら怖くて逃げるのも当然か。

 

≪まぁまぁキリアッ! 今のあなたはエメル二号みたいなものなんですから!≫

「はぁ!? さらにエメルさんの色違い人形がッ!!? タツルさん!! もしかしてこういう女の子が好きなんですかッ!?」


 私に似た人形がさらに増えれば、タツルの趣味とか嗜好とかを疑いたくもなるか?

 

「・・・はぁ、紹介する。この二人は、エメルの性能を機械技術で再現するために開発した魔導術人形の『G11T』だ。黒い髪に白い肌をしているのが『一号機』で、白い髪に茶褐色の肌をしているのが『二号機』になる」

「エメルさんを機械で再現した人形ですかッ!?」


 途端に目を輝かせると、タツルの後ろから飛び出してキリアが中に入っている『G11T 一号機』に詰め寄ると、ベタベタと触りながら嘗め回すように顔を近づけて見回していく。


「あ! 手触りがエメルさんと違って金属質ですね!! エメルさんは木製なのに!!」


 機械技術の基本は金属。

 そして、私のような魔法術人形は木材が基本ですからね。

 手触りが違うのは当然でしょう。私の方が生命の温もりに満ち満ちているわけですね。


「サラサラと冷たい木の手触りなエメルさんと違って、カチカチだけどほのかに温かいです! 金属なのになんでですか!?」

「ああ。それは動力炉を含め、身体を動かすための各部モーターなどが熱を・・・いや、今は説明するのは止めておこうか」


 ・・・ふんふん? なんかタツルがため息を吐いてしまった。

 って、聞いた本人が目を点にして「ふんふん。なるほどそうなんですねー」と棒読みになっている。あ、だからか。


≪ところでマスター? コレはここで殺していいんでしょうか?≫

「ふぁ!!?」


 ウルシが唐突に駆除実行の確認をしてきたので、トウカが不意の言葉に驚き慌てます。

 その様子を見るキリアは、しかしトウカを庇うようにウルシの前に・・・。

 ついでに、私はいつでも蹴りかかれるように・・・そう、密かに身構えていたりします。


「ウルシ・・・トウカちゃんを指差して『コレ』と言うのは止めろ」


 やはり許可は下りず・・・まぁ、そうなるでしょうけれど。


≪失礼しました・・・しかし、マスターの顔を焼いた我らが大敵の妹です。人間扱いするのはいかがなものかと・・・≫

「俺の顔を焼いたのはオウカお嬢さんであって、トウカちゃんではない。もちろん、ご当主、モウカさん、ヨウスケさんでもない。俺の大敵ならば、オウカお嬢さん一人だけにしておけ」

≪かしこまりました≫


 ・・・頭を下げていますが、見開いた瞳には憎悪が満ち満ちている。

 どういうことだ?

 当時は存在していないはずのウルシが、なんでここまで憎悪を溜めこんでいるんだろうか?


「ウルシ。壱里家を推薦したのは、このためか?」

≪我らが大敵が不在であったこと・・・残念でなりません≫


 え?

 ウルシってば、まさかオウカを殺すために壱里家から連れ出すのを狙っていたわけですか!?


「え? あの、私は殺されないですよね?」

「大丈夫だ。今はまだ殺す対象じゃないよ」

「いずれは殺されるってことじゃないですか!?」

「君を殺せるとは、まったく思っていないよ」

「え?」

「忍者の才能は無いようだけど、忍術は使えるだろう?」

 


「・・・・・・・・・なななななななんんののののんここおなおなおでおあぱど」



 動揺し過ぎーッ!?

 つか、忍術が使えるって? 変装とかその辺までなのでは?


「なぜ、動揺しているんだ?」

「なぜもなにもッ! なんで私が忍術を使えるって分かったんですかッ!?」


「・・・子供の頃、俺とオウカお嬢さんが遊んでいると忍術の披露をしながら乱入してきた。という思い出話もあるんだけど・・・ついさっき、ご当主との謁見中に『忍術くらいしか使えない』って言っていたじゃないか」

「あ・・・」


 えぇ・・・自分で言っていたのかよ。


「オウカお嬢さんに顔だけ変化へんげさせる技量は見事だったよ。エメルを騙すほどだからね」

『待ってください? 騙されたとはどういうことですか?』


 確かに、オウカだと思って攻撃しようとはしましたけれど・・・。


「エメルの人物照合機能を誤認させる。それほどに精巧ということだ」

『??????』


 どういうことです?


「・・・はぁ。エメルがトウカちゃんを見て、オウカお嬢さんと誤認したのは『変化の術』でオウカお嬢さんの顔をほぼ完璧に再現されていたからだ」

『化粧をすれば、似せられるのでは?』

「化粧でエメルの眼・・・人物照合機能は誤魔化せない。トウカちゃんがやったのは『変装』ではなく『変化』なんだ。間違いなく、あの時は顔がオウカお嬢さんに変化していたんだよ」


 ・・・???

 何が違うのか分かりませんが、タツルが言うならそういうものなのでしょう・・・ね?


「そもそも『忍術』とは、この国に居たとされる第六魔王・・・と呼ばれる存在を討伐するために、異世界より召喚されたという『勇者』によって口伝された創作物が始まりだと言われている。それを当時の霊術師たちが独自研究で再現したモノが、現在の『忍術』の始まりだったらしい――――」


 あ、あ、あ、これは長くなるヤツだー。

 い、い、い、誰か? タツルを止めてくださいー。


「すやー」


 トウカッ! テメェ!! なに寝てんだクソがぁぁぁあああ!!


≪マスター。そろそろ夕食の支度をしますので、私はコレで失礼します!≫


 ウルシぃぃぃぃぃ!!!

 それは私の仕事だろうがッ!!


「待て、ウルシ。それならエメルにやらせるので、君は残れ」

≪え・・・≫


 た、タツル~♪


「さて、続きを教えるので、それが終わったら夕食の支度に行ってくれ」


 ぎゃはーッ!

 お勉強とか、大嫌いなのにぃぃぃぃぃぃ!!!



〇 



 さーて、夕食ということですが・・・何にしましょうかねー。

 うーん。

 忍者になるための修行をしていたとなると、おそらく毒物への耐性訓練を受けているはず。もしくは毒を無効化する術があるのかもしれない。


 うん。毒を盛るのは止めておこう。


 タツルだって食卓を囲むわけですし、なにかの拍子に毒物を口にしてはいけませんからね。

 そーなるとー・・・うーん。


 人間の女が好きな食べ物ってなんだ?


 私は、ちょっと料理の本を手に取る。

 昨今の都会で流行っている料理とは? 主に外国料理をアメツ風にアレンジしたモノが主流ではありますが・・・。

 いやしかし、流行の料理をアレに食わせてやるのも無駄というモノ。

 

――わぁーッ! エメル! おいしいよッ!!――


 ・・・そう。幼い日のタツルは、私が作る料理をいつも楽しそうに食べていた。

 オウカという害虫に顔を焼かれるまでは、食事を楽しみにしていた・・・やはり、毒を盛ってアレの妹を駆除するべきだろう。


 しかし、タツルの指示を無視することはできない。

 それに・・・どことなくタツルが楽しそうにしているし・・・。

 よし! ならば幼い日にタツルが大好きだったメニューで行くとしましょうかね!


 私は料理を始める。

 とりあえず、トウカは壱里家から招いた『客人』という扱いになるのが一般的ですので、夕食は平凡なものではなく、パーティ料理にするのがいいでしょう。

 トウカの様子から、幼い子供を歓迎する感じが望ましい・・・となれば、メニューは。


 スパゲティ。ハンバーグ。ポテトサラダ。唐揚げ。エビフライ。主食はオムライスですかね? ケチャップたっぷりチキンライスが中身です。

 デザートには茶碗蒸し・・・いや、プリンの方がいいか。


 くっくっく。


 エビフライは、エメル様特製のギガンティック・エビフライを用意してやりましょうかね! タツルも大はしゃぎで食べていたので、喜ぶこと間違いないッ!

 やるからには、タツルに恥をかかせるわけには行きませんよッ!!


 がんばれ! 私ッ!





「はわわわわわッ!! ハッピーランチのスペシャルお子様セット!!」


 なんかこー。

 夕飯ギリギリまで庭で遊んでいた子供みたいに、汚れた姿で居間にやって来たトウカが・・・それはもう目をキラキラに輝かせて大はしゃぎしている。


「これッ! この巨大なエビフライはなんですかッ!?」


『よくぞ聞いてくれましたね! これはエメル特製ギガンティック・エビフライ。と言いまして、数十本のエビを剥いて身を擂り潰し、捏ねて固めて一本のフライにした傑作です! エビの尻尾は剥いたエビの尻尾をもち米で接着しながらかんぴょう等を使って束ね、天ぷら風に揚げてから成形したエビの剥き身にくっ付けて、エビフライとして仕上げた一品ですッ!!!』


「―――では、お風呂行ってきます!」

「ああ、しっかりと汚れを落としてくるといい。キリアさんも一緒に入ってきてください」

≪おっけ~≫

「ウルシは、バスタオルと着替えを小細工無しで用意するように」

≪・・・かしこまりましたー≫


 聞けよーッ! いや、私が超高速で書いた説明分を読めよーッ!!


「エメル。ギガンティック・エビフライとは久しぶりに作ったな」


 ・・・そりゃあ、だってね?


『幼い頃に、タツルが喜んでくれた料理ですから・・・』

「・・・うん。ありがとう。エメル」


 あの頃と違って、デブでブサイクな姿になったタツルですが、私の頭を撫でてくれるその手は・・・今も昔も変わらない優しい手だった。


「ウルシは毒を盛るつもり満々だったから、やっぱり君にお願いして正解だったよ」


 ウルシ―ッ!

 時と場合を考えろーッ!? 私も考えたけどさーッ!!

 

 まぁ、ほらあれですよ。

 今はキュービックを打倒するって目的もありますしー・・・。



 今は・・・ね。




次は、アメツ東京・警視庁が壊滅する。を予定しています。


最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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