3話 旅の始まり
始まりの国「テナント王国」
コールド大陸中央部に位置するこの国は、新米冒険者が最も多く訪れる町として発展してきた国だ。
近年の勇者来訪により、職を追われた冒険者たちの拠り所となっている。
元冒険者で回復術士の俺もその一人。
・・・だったのだが。
ザット
「たぁ~すけてくれぇ~!!!」
今俺は、罪を犯した訳でもないのに、国の衛兵から追われています☆
その原因は恐らく俺の横で並走するコイツだろう。
ザット
「お前いいかげんについてくるなよ!俺もお前の仲間だって思われるだろうが!」
???
「もう思われてるだろう・・・。それにお前じゃない、僕はヨミだ」
ザット
「おう!俺はザット!回復術士だ☆って自己紹介してる時じゃないでしょおおお!」
ヨミ
「とりあえず街を出て平原を超えた先にある森に駆け込むぞ」
こうして、銃弾の雨をかいくぐりながら、謎の少女ヨミとの冒険が幕を開けたのだった。
3話 旅の始まり
『エマの森』
テナント王国の南側ほぼ全域を占める大森林。
遥か昔、牧場の娘が植えた苗が精霊王の祝福を浴び大陸一の大森林となったと伝わっている。
ザット
「はぁ、なんで俺まで追われてるんだか・・・」
「僕の仲間だって思われたからだろ」
ザット
「やっぱそうじゃねぇか!お前何やらかしたんだよ!?」
ヨミ
「やらかしてない・・・。まだ何も、始まってないんだ・・・!っく」
ザット
「ん?お前怪我してんのか」
よく見るとヨミの足から血が流れていた。
ヨミ
「銃弾が掠っただけだ・・・支障ない」
支障はないというヨミだったが、傷は少し深そうだ。
ザット
「仕方ねぇな・・・。脚だせ」
ヨミ
「なっ!何をするつもりだ!?この変態!」
謎の勘違いをするヨミ。
ザット
「何もしねぇよ馬鹿!回復してやるから脚出せって意味!」
ヨミはなるほど。という表情で近くの岩に腰掛け、怪我をしている足を俺に向けた。
ザット
「じっとしてろよ・・・」
俺はズボンに刺していたロッドを手に取る。
ヨミ
「早くしてくれ!なんかキモいぞ!」
ザット
「大丈夫・・・痛くないから・・・」
俺はヒールの詠唱を始めた。そして
ザット
「ヒーリング!」
詠唱を完了する。ヨミの傷は消え去り、けがをしていない綺麗な脚に戻った。
ヨミ
「おぉ」
ザット
「久しぶりに使ったが、体は覚えてるもんだ」
2年程ブランクがあるとは思えないほど完ぺきな治癒。
その技術に我ながらほれぼれいていると、ヨミが近づいてきた。そして
ヨミ
「ありがと」
と、か細い声で呟いた。
その後歩いてきた道を後退。先ほどの岩に座った。
俺も同じように
ザット
「…どーいたしまして」
と言った。




