2話 窓際の美少女?
前回までのあらすじ
職を失った39歳もと回復術士のザットは、窓から現れた人影に驚愕するのであった。
???
「今、勇者と言ったか」
突然窓に現れた美少女?
少年だか少女だか分からないが、とても綺麗な顔立ちをしていた。
金色の長髪は月明りに照らされて、御伽噺の姫様のようだった。背が低かったので歳はかなり低いのだろう。…って俺ロリコンじゃねえし!?
ましてやショタ好きでもねぇし!?
ザット
「お前…今何時か分かってんのか?あぁん!?更に言うと俺の家の玄関あっちなんですケドー」
そう言って玄関をチョンチョンと指差すザット。
美少女は俺を見定めるように凝視してから
???
「そうか、失礼した」
そう言って窓から飛び出して行った。
ザット
「2度と来んなよ〜」
俺は窓を閉めて、ベッドに入り今日はもう寝ることにした。その後、窓が開くことは1度も無かった。
…翌朝。
ザット、起床ー。
ザット
「あぁー今日もいい天気!何か変な夢見た気がするけど俺、今日も頑張っちゃうゾ⭐︎」
???
「何を頑張ると言うのですか」
ザット
「ぎゃああああ!!!!??」
驚きのあまり、変な声が出てしまった。
ザット
「お前…いつからそこに…」
???
「先程です」
ザット
「さきほどって…いつ…」
???
「だから先程です」
両者沈黙。朝の暖かい風が2人の間を通り抜けた。
俺はベッドから腰を上げて、机の近くで椅子に座る。
その間、謎の美少女はドアの近くで動かなかった。
ザット
「でぇ…俺になんか様があるのか?」
???
「屋根を走っていたら勇者という言葉がお前の部屋から聞こえた。だからお前に話を聞くために今まで外で待っていた」
ザット
「外でぇ…?昨日の夜からぁ?」
???
「そうだ」
ザット
「外で待つくらいなら部屋に来ればよかったのに」
???
「お前が入れてくれなかったんだろう…」
ザット
「まぁちょっと待て。お茶入れるから」
???
「それはどうも」
ザットはそう言って部屋の奥に入っていった。
そして10分ほど経っただろうか。
???
「…遅いな」
お茶ってこんなに時間かかるものだったのか。
流石に不思議に思った美少女。
???
「おーい」
返事が返ってこない。
???
「おーい。お茶はまだかー」
またしても返事が返ってこない。
???
「………まさか!?」
慌ててザットが入った場所へ向かうと、そこには書きなぐられたメモ用紙が雑に挟まれていた。
ザット
『勇者の情報なんて知るかバーカ!!!今から国の警備隊に不審者が出たー!って連絡してきまーす⭐︎」
???
「っく!!!」
ザット
『p.s.床にホーリートラップ仕掛けてあるから…気をつけてね」
???
「っはぁ!?」
慌てて床を見る美少女。
美少女の足は、しっかりトラップを踏んじゃってました⭐︎
???
「にゃあああああああああ!!!!!??」
ザット
「よし、トラップ起動確認完了…」
「さっさと衛兵さん探そ…」
ザットはそう呟いて大通りをとぼとぼと歩き始めた。