第三十八話
走る。走る。暗い暗い山道を、ただただ走る。
やっば、もうそこまでくる―
と思ったそのとき、どこからか矢が飛んできてライオンみたいなベルスティアを倒した。
「おー。」
感動した。凄いね。
「なんだよ!『おー。』って!他人事過ぎるだろ!お前、自分がどんな状況だったか忘れたのか!?」
???なんだその質問は。そんなの多分、きっと、決まっているだろう?
「ベルスティアの餌食にされかけた…?」
「何でそこで疑問形になるんだ!?危なかったぞ、お前!」
「だって弓なら私も持ってたし。あのくらいなら多分、私にも倒せた?はず?」
「自信ねーならちょっとは俺に感謝しとけ!それにお前、あそこであいつに弓使えるほどの距離はなかっただろーが。」
「そっか…うん、そうだね。ありがとう」
「どういたしまして。それで?お前はこんなとこで何してたんだよ?
最近この辺だと貴族の令息が平民の恋人と居るために家から逃げ出したとかって噂だが、そいつの髪の色と目はかなり特徴的だからお前は違うだろうし…」
そんなことになっていたのか。しかし、噂が広まるの早すぎないか?
…まあ、あの日は私を捕まえるために屋敷から結構な人が出てきていたし、そんなものか。
それよりどう答えたものか。腹をくくって真実を話すか?いや、それをするとのびのびした魔法の研究はできない。そうだな…
「実は…」
こうして私は
・父が作った借金に追われる平民で(嘘)
・たまたま通りが買った商人に知識を買われ(嘘)
・その商人のところで預けられるはずだったが(嘘)
・事故で全てを失った可哀想な少年(嘘)
というなんとも嘘まみれな経歴を持つ胡散臭い少年ドーテとなった。
…いや、名前増えすぎて覚えられんよ!




