事の顛末
師匠はあからさまに目を細めて不満顔をする。
「そ、その後はどうしたんでしょう…?」
「あの後…」
やけに勿体ぶる…。
もう一悶着あったのだろうか?
「儂が何往復もしてお前と!小娘2人と!あの筋肉ダルマと赤髪を!!この教会まで!!運ぶ羽目になったんじゃぞ!!!!この儂が!!!!!」
「……」
「ナギ!なんじゃその顔は!!お前のせいじゃからな!!!」
「す、すみません…」
あんだけ勿体ぶって…それかよ……。
確かに身長140cmもなさそうな師匠にとっては重労働…というか普通に大の大人でも重労働だが、ルーナとサリアちゃん2人を普通に担いでいたから、正直その辺は大丈夫なのかと思っていた節がある。
師匠は怒り心頭だが、どうやら俺が気を失ったあとも大事はなかったらしい。
師匠曰く、シスターは加護使用の反動で使い物にならないし、俺も起きない、アンク達を起こしても面倒なことになる(そもそもアンクは怪我人だ)。との事だったようで、自分で運ぶしか無かったそうだ。
「ナギ!今回は特別じゃからな!!今度は置いてくぞ!お前だけ置き去りするからな!!」
「は、はい。肝に銘じておきます…」
むくれる師匠は見た目年齢そのものだった…。
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師匠はなぜか俺の膝の上が気に入ったらしく、背を俺に預け、人間ソファー状態で座っている。
傷がめちゃくちゃ痛む…。
それにルーナとサリアちゃんの視線も刺さる刺さる…。
この世界に来てから視線に穴だらけにされてる気がする。
本音を言えば降りていただきたいのだが、迷惑をかけてしまったようなので、後ろめたくて言い出せずに、下に見える師匠の愛くるしいつむじと話すような、こんな状況になってしまった。
「えっ?ということはあの2人もこの教会にいるんですか?大丈夫なんです?」
「大丈夫じゃろ。ほれ、あっちじゃ」
「あっち…?」
師匠が指さした方向に目をやると、腹部に包帯が巻かれたアンクと全身包帯ぐるぐる巻きのミイラがベットに横たわっているのが見えた。
…あのミイラ、ルーナを追っていた―えっと名前は、レイブ…だっけ……?
俺が師匠にルーナとサリアちゃんのことを任せてから、師匠が2人を助けて戻ってくるまでそうかからなかったはずなのに…。
あ、あはは…自分の膝の上に居座る幼女が急に恐ろしくなってきたような…。
「ま、まぁ、あれなら心配ないですね」
「うむ!」
師匠の表情は見えないが自信満々といった具合で大きく頷いた。
「あ、あの…ナギさん」
「ん…?どうしたの?ルーナ」
「あの…」
耳もしっぽも元気なくふにゃっと垂れている。
どうしたのだろう?
「ナギさん、目が覚めたのですね!よかったですわ!」
扉が開かれシスターが入ってくる。
「あっ、シスター。おかげさまで」
「あらあら、ススギ様。すっかりナギさんと仲良しなんですね」
「ふん、弟子としてこき使ってやってるだけじゃ」
そう言うと師匠はより一層体重をかけてくる。
い、痛い…。
「うふふ、そうですか。今は程々にしてあげてくださいね。また後で診察させて頂きますので安静にしていてくださいね」
シスターは俺やアンク達の様子を確認し、すぐに部屋を出ていった。
昨夜はあんなことがあったが、シスターの仕事が休みになるわけではないようだ。
忙しい中で俺らの治療までこなすシスターは流石の一言に尽きる。
「あっ、ごめん、ルーナ。何だっけ?」
「い、いえ!何でもないです!!あ、あの、私!シスターのお手伝いしてきます!サリアちゃんもお手伝いお願いします!!」
「えっ!?ルーナお姉ちゃん!!?私ナギと……!」
サリアちゃんを無理やり引っ張ってルーナは慌てて走り去ってしまった。
「ナギ、お前はなんと言うか…」
「…?何ですか師匠?」
「はぁ、お前、夜道には背後に気をつけた方がいいかもしれんのぉ」
えっ、どういう……?
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