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救世の巫女  作者: うみ。
第1章 別れ、転移、そして出会い
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ススギ様

遅くなってしまい申し訳ないです。本日2話目になります

「お待たせ致しました」



シスターが俺の出てきた扉の隣の扉から出てきた。


どうやらそっちは小窓の向こう側の部屋に繋がる扉らしい。


廊下は窓から差し込む月明かりに照らされているだけだが、意外と明るく、シスターの表情も伺える。



「いえ、大丈夫です」


「長い前置きをしても仕方ありません。早速ですが、お見せしますわ。私の加護を」



そう言うとシスターはおもむろに俺の手を取りそのまま自分の胸に押し付けた。



「なっ!?あ、あの!シスター!?!?」



突然手のひらに柔らかい感触が伝わり激しく動揺する。



「すみませんが、少し我慢してください。こうしないと私の加護は使えませんの」



シスターはその状態のまま静かに目を閉じる。


シスター的にこういうのは大丈夫なのか甚だ疑問だが、なるべく意識しないようにしながらじっと待つ。


大体10数秒程そうしていると、シスターの全身がぼうっと淡く輝き出した。


包み込むような柔らかい光に、思わず見とれてしまう。


しばらく発光は続いていたが、次第に光が弱くなりついには消えてしまった。


それと同時にシスターがふらっと後ろに倒れそうになり、慌てて支える。



「シスター!!大丈夫ですか!?」


「は…はい。それよりも……ナギさん。非常にまずい…ですわ…」


シスターは息も絶え絶えになりながらも、言葉を紡ぐ。


とりあえずシスターをそっと座らせて、壁に背をつかせる。


しばらく肩で息をしていたが、すぐに回復したようで、ばっと顔を上げ俺の肩に掴みかかる。


「ナギさん!!大変ですわ!!!」


「ちょっ、落ち着いてください!シスター!大変ってどういうことですか?」


「あっ…。す、すみません…。私の加護は簡単に言うと未来を視ることの出来る加護です。それで今、ナギさんの未来を視たのですが…」


「未来を…ですか…。その様子からするとあんまり良くないことが視えたみたいですね」


「ナギさん、赤髪の冒険者に見覚えはありませんか…?」


「赤髪……ある。あります!冒険者ギルドで俺に絡んできた冒険者がそうでした!!」


「未来を視たとき、断片的にですが、その男と、もう1人巨漢の男が見えました…」


「は、はい」


「そしてどうやらその男たちに、ルーナとサリアは攫われてしまったようです……」


「なっ!!?ルーナとサリアちゃんが!?!?」



思わず、深夜なのに大声をあげてしまった。


嫌な汗が背中を伝うのがわかる…。



「そ、それって未来の話なんですよね!?それならまだ間に合うかもしれない!!」



脇目も振らずルーナがいるはずの部屋へ駆け出した。




_______________________





「はぁっ…はぁっ…!ルーナ!!サリアちゃん!!」



肺が痛い…。


焦りも相まって呼吸が上手くいかないが、気にしていられない。


足がもつれて転びそうになるのを何とか踏ん張り、ようやくルーナの部屋にたどり着いた。


ノックもせずに扉を開ける



「ルーナ!!!」



名前を叫ぶが返事はない。


部屋を見渡すと窓ガラスが割られているのを見つけた。


どうやら間に合わなかったようだ…。



「くそっ!くそっ!!どうする!?」


「うるさいのぉ、夜中にそう騒ぐでないわ」



後ろから突然声がしてばっと振り返る。




そこに立っていたのは、女の子―



孤児院に初めて来た時、唯一俺とルーナに興味を示さなかった―



夜に紛れ、溶けて混ざってしまいそうなくらい真っ黒な、黒い髪と、瞳を持った女の子だ。



「き、君は…?」


「君じゃと?お前もイチノミヤの人間なら歳上には敬意を払うべきじゃないのかの?」


「へ…?歳上?何を…」



どこからどう見てもおかっぱ頭で可愛らしい10歳くらいの女の子だ。


黒髪黒目の身体的特徴からして、確かにイチノミヤ人なのだろうが…。



「ナギさん!ルーナさんは!?…ってあら?ススギ様?こんな時間にどうなされたのですか?」


「シャーロット、お前まで何を騒いでおるのじゃ。いい歳してはしゃぎおって」


「は、はしゃいでいる訳じゃありませんわ!」



……シスターを呼び捨て…対するシスターは様付け…。



「あ、あの、シスター?この方は…?」


「あら?ご存知なかったのですか?同郷の仲ですのに。こちらの方はススギ様。私が幼い頃からずっとお世話になっている……お子様ですわ」


「シスターが幼い頃からずっとお世話になってるお子様……。全く意味がわかりません」


「お子様とは何じゃ!シャーロット!!」


「は、はひっ!すみません!!で、でもススギ様おいくつか教えてくださらないですか…」


「ふん!女性に歳を聞くな」



な、なんだこの不思議な空間は…。


妙齢の女性が子供と話しているのに、見た目と立場があべこべだ。


面白い光景ではあるのだが今はそんな場合じゃない。



「あの…シスター、ススギさ…ま?今はそんな場合じゃないですよ!ルーナとサリアちゃんが!!」


「そ、そうですわ!2人はもう既に攫われてしまったのですか?」


「そうみたいです。窓が割られていました。ルーナはそこから攫われたかと思われます。あれ、でもサリアちゃんはみんなと一緒に寝てるはずじゃ…」


「サリアならルーナとやらの部屋に行くと言って出てったぞ」


「くっ!じゃあやっぱサリアちゃんもか!!」


「さっきから騒いでおるのはそういう事か。ふむ…」


「ど、どうしましょう…。助けに行くにも、どこに連れ去られたのか……」



焦りが増してくる。


こんな時こそ冷静に考えなければいけないのに、全く頭が働かない…!



くそっ!!どうしたらいいっ!?



「なぁ、お前、ナギとか言ったかのぉ」


「えっ?…は、はい」


「2人を助けたいか?」


「もちろんです!!」



見た目子供のこの子であっても、俺は頼らざるを得ない。


彼女の瞳を真っ直ぐ見つめる。



「そうか…。ならナギよ。お前儂の弟子になれ」

読んでいただきありがとうございました!

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誤字報告してくださった方。ありがとうございます!気をつけてはいるのですが、どうしてもミスしてしまうのでとても助かります!

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