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救世の巫女  作者: うみ。
第1章 別れ、転移、そして出会い
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加護と過去Part2

本日2話投稿になります。

「イチノミヤはここから遥か東の果てにある島国です。そのため、東の果てを意味する、エスタンドと呼ばれることもあります」


「エスタンドですか。確かにギルドで俺に絡んできた冒険者がそう言ってた気がします」



あの頃は言葉がわからなかったが、思い返してみると、あの赤髪がそう言っていたのをなんとなく覚えていた。


というかやっぱり島国なのか…。


ということは国の大きさ的には日本の一部分と言うよりは、俺の思い描く日本そのものって可能性も大いにありそうだ。



「ただ、エスタンドというのは少し差別的な意味を含んでいるため、大抵の方は使いませんが。それでもその言葉を使う方が一定数いるのにはわけがあります。それはイチノミヤの成り立ちに深く関係しているのですが…」


「成り立ち…ですか?」


「はい。イチノミヤは元々、現在国のある辺りの地域を縄張りとしていた数十人ほどから成る、イチノミヤ一族が興した国です。戦闘民族とも言われる彼らの気性は荒く、それでいて冷酷で頭も切れました。そして今から大体800年ほど前、その民族の中に、ある1人の天才が誕生します。名前はリト。一説によると彼の加護はあまりにも強大で、他民族1000人を1人で相手取ることもできたと言われています」



出てきたな…加護。


やはり歴史に残るのような人物の加護…つまり能力は相当強力なようだ。


加護についても詳しく教えてもらいたいが、今はイチノミヤのことに集中しよう。



「1人で1000人ですか…文字通りの一騎当千ってわけですね…」


「そうですね。彼はその強力な加護と類まれなる求心力、そして統率力をもって、若くしてイチノミヤの長となりました。長になった後、リトは破竹の勢いで他民族を降伏させ、配下に加えていき、そして2年後には現在のイチノミヤとほぼ変わらない大きさの領土を手にしました」


「2年!?そんな!秀吉でも天下統一に30年以上かかったのに!?!?」


「ヒデヨシ?」


「あ、いえ…すみません。つい…。秀吉というのは僕の世界でリトと同じようなことをした人なんですけど…。その人は30年以上かかったんです。それなのに、2年って…」


「ふふっ、ナギさんが信じられないのも当然ですわ。何せ800年以上前の出来事ですので、必ずしも真実とは限りません。しかしリトが成し遂げた事を疑うものは少ないのですよ」


「何故ですか…?」


「イチノミヤを建国したリトはその後も他国への侵略を生涯にわたって続けました。そして、リトの死後も約750年間ずっと、イチノミヤはその侵略行為を続けていました。つまりイチノミヤは建国以来、そのほとんどが戦争状態で、つい最近になってやっと、名目上だけではありますが、終戦を迎えました。イチノミヤ人に恨みを持つ人が多いのはその為です。しかもその恨みは昨日今日のものではなく何100年と積み重ねられたとても根深く、複雑なものになっています。それと同時に、イチノミヤ人の強さを皆知っているのです。ですので、リトのその尋常ではない強さもあながち嘘ではないのではないか、ということですわね」


「なるほど…。俺やルーナが、街中でずっと姿を隠していなければいけない理由がやっとわかりました。それにしても750年間戦争し続けるって…いくら戦闘民族と言っても異常ですよね……。彼らの動機は何なのでしょうか?」


「さぁ?」


「さぁ?って……」


「わからないのですよ。ずっと謎のままですわ。それよりも私はイチノミヤが急に戦争をやめた方が不思議ですけどね」


「言われてみれば確かにそうですね…。そっちの理由も…?」


「わかりませんわね」


「そう…ですか。まぁ、なんとなくですが、イチノミヤについてはわかりました。ありがとうございます」


「お役に立てたのなら幸いですわ」


「シスター、すみませんがもう1つ、どうしても聞いておきたいがあるんです。それは…加護について。ものによっては1人で1000人を相手取ることも出来るような、そんな力について、俺は知らなくちゃいけないんです」


「加護…ですか。口ぶりから察するに、ナギさんの元いた世界にはリスティア様の加護はないのですね。…わかりました。それでは加護についてお教えしましょう」

読んでいただきありがとうございました!

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