ゲーム
本日2話投稿です!ちょっと長くなっちゃいましたが、どうぞ!!
「ゲーム…?ですか?」
「そうそう、簡単なね」
「えっと、よくわかりませんが、ナギさんがそれでいいなら…」
「よし、じゃあ決まりね!あとで文句言われても受け付けないよ」
「は、はい…!」
ふふふ、かかったなルーナ。
俺はこのゲーム、得意中の得意なんだ!!
「ルールは至って簡単。今から俺がこのオラを投げるから、ルーナはその表と裏を当てる。ただそれだけ。全部で4回勝負で、1回ごとに勝った方が5オラ貰える。わかった?」
「はい!」
「じゃあこっちのなんかよくわかんない絵が書いてある方が表ね」
そういってオラを右手の親指で弾き、左手の手の甲でキャッチする。
「はい、ルーナ。表か裏か?」
「……裏!です!!」
「正解は……裏!あちゃあ、ルーナの勝ちだね」
「お、おぉー!勝っちゃいました!!」
その後も同じ要領でゲームを行い、結果、俺の1勝3敗。
俺の手にした報酬は5オラとなった。
「あ、あの…ナギさん…やっぱり…」
「だーめ、言ったでしょ?文句は受け付けないって」
「あ、あぅ…」
そう、本当になんてことは無い。
ただ俺はコイントスして、キャッチする時に手の甲ではなく指の間でキャッチし、見せる時にルーナの宣言した方が上になるようにずらして見せただけだ。
この時コインの上下を必ず毎回同じにするのがコツである。
ちなみに俺は毎回表が右側に来るように取った。
この程度であれば練習さえすれば誰だって出来る。
イカサマなんて呼ぶのもおこがましいくらいの子供だましの手品だが、これが案外気づかれない。
この形を取れば、俺は宿代ギリギリの5オラを手にし、残りは勝負に負けたという名目でルーナに渡すことが出来る。
騙して申し訳ないが、こうでもしない限りルーナは素直に受け取ってくれないだろう。
よってこのゲームは俺の完全勝利である。
ルーナは釈然としない顔でむくれているが一応勝負の結果なので納得して欲しい。
無事に(?)報酬の分配も済んだところで、ルーナの提案で出店のある通りに行くことにした。
買い物兼夕飯との事だ。
「この辺は他のとこより人がいっぱいいるんだね」
「そうですね、この街で1番活気がある通りだと思いますよ」
すれ違う人の数は多く、時折肩がぶつかりそうになる。
またフードが脱げて大騒ぎになっても困るので細心の注意が必要だ。
それでなくとも油断したらルーナとはぐれてしまいそうになる。
連絡手段がないので、もしはぐれたら大変なことなってしまう。
「ナギさん、あれ…」
「ん?何かあったの?」
ルーナが指さす先には、1人の女の子がいた。
7.8歳くらいの金髪の女の子だ。
綺麗な青い瞳にいっぱいの涙を浮かべている。
…これは恐らくあれだな。
「君、大丈夫?」
女の子はびくっと肩を震わせ恐る恐るこちらを見る。
「*****、**?」
あ…。つい声掛けちゃったけど、言葉通じないんだった。
言葉が通じるのが当たり前の人生を送ってきたのでついつい忘れがちになってしまう。
声をかけたのは俺なのだが会話はルーナに丸投げしてしまおう。
女の子同士の方が話しやすいだろうし。
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「大丈夫ですか?」
「うぐっ…ひっく……お姉さんたちだあれ?」
「私たちは旅の冒険者です。私はルーナと言います。こちらはナギさんです。あなたのお名前はなんですか?」
「サリアは……サリア…うぐっ…うぇぇえん」
不安からかサリアちゃんはまた泣き出してしまいました。
あ、あぅ…どうしましょう…。
私が泣き止まないサリアちゃんにあたふたしていると、ナギさんが腰を落として優しくサリアちゃんの頭を撫でて、ハンカチで涙を拭ってあげていました。
すると最初は怯えていたサリアちゃんも段々落ち着いたらしく、泣き止みます。
ナギさんはさすがです!
「ルーナ、落ち着いたみたいだから、話聞いてあげて」
「はい!」
ナギさんがやっていたように、私もサリアちゃんと目線を合わせて話してみます。
「サリアちゃん、どうしたのですか?おかあさんとはぐれてしまいましたか?」
「ううん…」
「じゃあどうしたのかお姉さん達におしえてください」
「サリアはシスターに頼まれておつかいにきたの。でもお金落としちゃって……ぐずっ…」
「あ、あぅ…!泣かないでも大丈夫です!!私とナギさんが何とかしますから!」
「ほんと…?」
「はい!まかせてください!!それで、サリアちゃんは何を買いに来たのですか?」
「タット…」
「タットですか。ということはお夕飯の買い物ですね。サリアちゃんはえらいですね!」
「でもお金落としちゃったし…もうタット買えない……」
「大丈夫ですよ。お姉さん達が代わりに買いますから!」
お金は今日稼いだ分しか持っていませんが、タットを買うくらいなら問題ないでしょう。
子供にそんなに大きな買い物はさせないはずです。
「でも…」
「大丈夫です。お姉さん達に任せてください!!」
「うん…」
精一杯元気づけようとしたのですが、私では力不足のようです。
サリアちゃんはまだしょんぼりとしています。
「この子、なんだって?」
「はい、おつかいを頼まれたそうなのですが、そのお金を落としてしまったそうです。あっ、サリアちゃんというお名前だそうです!」
「ほうほう、迷子ではないのか」
「シスターさんに頼まれたと言っていたので、教会の子じゃないでしょうか」
「なるほどね。ルーナはなんて言ったの?」
「はい、タットを頼まれたそうなので、代わりに買ってあげると…」
「そっかそっか、よし、じゃあ買いに行こうか。それどの辺に売ってる?」
「は、はい!すぐ近くの屋台で見ました!」
ナギさんは勝手に約束してしまった私を責めることなく、すぐ買いに行くことを了承してくれました。
前までは何をするにもレイブ様の許可を頂かなくてはいけなかったので、勝手なことを言ってしまって少し怖かったのですが、心配ないようです。
「ルーナ。君と俺は対等な関係で、あの男と違って俺はルーナのご主人様ってわけじゃないんだよ」
ナギさんの言ったこと…本当でした。
ナギさんは本当に私と対等に接してくださいます。
わ、私はナギさんならご、御主人様になって頂いても……
「ルーナ?早く行こ?」
「あっ、は、はい!」
あぅ…
屋台へ向かう間、サリアちゃんはナギさんにとても懐いたようで、ナギさんの手をぎゅっと握って離しません。
ナギさんは少し困ったような顔をしながらも優しい笑みを浮かべています。
ちょっと羨ましいです…。
でもナギさんにあれをされてはサリアちゃんがああなるのも頷けます。
そうこうしているうちにタットの売っている屋台に到着しました。
「サリアちゃん、タットはどのくらい必要なのですか?」
「1オラ分買ってきてって言われた」
「じゃあ1オラ分貰いましょう」
屋台のおじ様に声をかけて1オラ分、だいたい10個程のタットを買います。
声をかけたのは自分なのだからと言って、お金はナギさんが払ってくださいました。
タットを受け取る時に、ナギさんがじゃがいも…?と呟いていましたが、じゃがいもとは何でしょうか?
「これでおつかい達成ですね!」
「ありがとう、ルーナお姉ちゃん。でもね…」
「どうしました?」
「お金無くしちゃったのはサリアだし…」
「このくらい、気にしなくていいんですよ?」
サリアちゃんはまた、でも…と呟くと俯いてしまいます。
「どうかした?」
「買ってもらうのは申し訳ない…という感じでしょうか。責任を感じているようです」
「なるほどねぇ…。えらいなぁ。俺がサリアちゃんくらいの歳だったら喜んで受け取っちゃうけど」
「そうですね…えらいです!」
私がどうしようかと悩んでいると、ナギさんがポケットから1オラコインのを取り出しました。
「ルーナ、サリアちゃんに伝えてくれる?このタットを賭けてゲームで勝負しようって」
「えっ?」
「ゲームだよ。さっきやったやつ。サリアちゃんが勝ったらタットはサリアちゃんの物。俺が勝ったらこのタットは俺たちの夕飯になり、サリアちゃんは素直にシスターさんに謝る。叱られたくなかったら俺から勝ち取って見せろってね。もちろん後から文句は受け付けない」
「は、はい…。伝えてみます」
ナギさんの言ったことをサリアちゃんに伝えます。
初めは不思議そうな顔をしていたサリアちゃんでしたが、意味を理解したらしく、やる気に満ち溢れた顔になりました。
やっぱり叱られるのは嫌なようです。
ナギさんのげーむ?というのはコインが裏と表どちらを向いているか当てるという簡単なものですが、どうしても運任せになってしまいます。
さっきやった時は、運が良かったのか、4回中3回も当ててしまいましたが、サリアちゃんはどうでしょうか…。
「ナギ!いつでもいいよ!!」
「ナギさん、いつでもいいそうです」
「よし!じゃあ投げるよ!!」
ナギさんが指でコインを天高く弾き、キャッチします。
「表!!!」
サリアちゃんは表を選択して、祈るように…実際に祈りながら、ナギさんの手の中にあるコインを見つめています。
ゲームに参加していない私もドキドキしてしまいます……!
「正解は…表!サリアちゃんの勝ち!!」
「やったぁ!!!!」
よかった…!表でした!
ナギさんはこの勝負、あまり強くないのでしょうか?
どちらにしろサリアちゃんの勝ちです!
「よかったですね!サリアちゃん!!」
「うんっ!!」
サリアちゃんの初めて見せる笑顔にこちらまで笑顔になってしまいます。
ナギさんも安心した様子で喜ぶサリアちゃんを見守っています。
「サリアちゃん、では教会へ帰りましょうか」
「ナギとルーナお姉ちゃんも一緒…?」
「えっと…ナギさんに聞いてみますね」
サリアちゃんはタットを大事そうに抱えながらも、またもやナギさんの外套を掴んで離しません。
「ルーナ、サリアちゃんを送ってあげよっか」
「……!はい!」
ナギさんにはサリアちゃんの言葉はわからないはずですが、私が聞く前にナギさんの方から提案してくださいました。
私とナギさんも一緒だということを伝えると、サリアちゃんはナギさんに抱きつき、とても嬉しそうにはしゃぎます。
ちょっと………いえ…とても羨ましいです…。
読んでいただきありがとうございました!
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