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救世の巫女  作者: うみ。
第1章 別れ、転移、そして出会い
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終わり始まり

突然だが、卒業式当日に学校一の美少女に呼び出されたことはあるだろうか?


慣れ親しんだ廊下をのんびりと歩きながらスマホの画面をぼんやりと見つめる。


普段は妹と連絡を取るかアプリで暇を潰すくらいにしか使うことない俺のスマホだが、そこには1件のSNSの通知が表示されていた。


そして冒頭の質問でお察しかもしれないが、内容は今日の卒業式終了後に屋上へと来て欲しいというものだった。



差出人は鳴神詞(なるかみことは)



ここ公立第一区東京高校でその名前を知らない人がいないくらいの有名人。


品行方正、容姿端麗、運動神経抜群、果てにはテストはいつも学年5位以内に入っている、まるで小説や漫画の登場人物のようなやつで、凡庸の極みみたいな俺からすれば、同じ学校に通っている。否、通っていたとはいえ、まさに月とすっぽん。雲の上の存在だった。


接点といえば彼女と俺はクラスメイトであるってことぐらい。この学校は3年間クラス替えがないので、1年生の頃に親睦を深めようと言い出したやつがいた。そのため一応俺もクラス全員で連絡先を持ってはいた。



まぁ、実際に連絡したことあるのは片手に収まるくらいしかいないんだけど。



そんな俺にあの鳴神詞直々のお呼び出しって…。



俺も健全な男子高校生なわけで、正直このタイミングで学校一の有名人に呼び出されたとあっては、ほいほいそれに従う以外の選択肢が思い浮かばない。



まぁ、普通に考えれば要件はひとつなわけで…。



ついぞ丈のピッタリ合うことのなかったスラックスのポケットにスマホを持った手をそのまま突っ込み、廊下の窓から、3年間通った母校の校門を見つめる。


正門の傍に植えられた大きなソメイヨシノはまだ蕾をまばらに付け始めたくらいで、お世辞にも華やかとは言えなかったが、それを補うかのように胸元に造花を飾った卒業生たちが別れを惜しんで他愛もない会話をしているようだった。


そこには、いつも会話の中心に立っている鳴神の姿は認められず、俺がからかわれている訳ではなさそうで少し安心した。


申し訳ないが未だに鳴神からの呼び出しは半信半疑だ。


鳴神とは会話したことすらないので、疑って当然だと思う。()()()()()()()いたずらの類だと思っておいた方がダメージは少ない。


だが、もし本当に俺が思い描いているような要件だった場合どうしたらいいか全く分からないので、正直逃げ出したい気持ちもある。


それでも尚、重たい足取りながらも屋上へ向かっているのは、単なる好奇心と期待が半分。もう半分は何故かは分からないが、今日もしここで鳴神のことを無視した場合、何かとても良くないことが起きるという漠然とした予感を感じてしまっていたからだった。


本当に何故だかは分からないが、俺の人生においてとても大事なターニングポイントになる予感がする。



とうとう全部で6つある教室を横切り、屋上へと上がることの出来る階段にたどり着く。



何だかんだとごちゃごちゃ考えはしたが、結局特別な日であることと状況に浮き足立っているだけなのかもしれない。




そう、俺は期待しちゃってるんだ。




鳴神からの―

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