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救世の巫女  作者: うみ。
第1章 別れ、転移、そして出会い
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ギルドマスター

今日2話目です。まだの方は1つ前からどうぞ!

「て、てめぇ!!!何しやがったっっ!!!!」



赤髪は再び大きく跳び上り―そのまま墜ちた。


当たり前だ。


物理法則に従えば、当然そうなるに決まっている。


しかし俺は先程、赤髪が跳び上がり、その後、俺の知っている物理法則では、到底ありえない動きをしたのをはっきりと見ている。


つまり、赤髪にとって、ジャンプし、そのまま落下するという、俺にとってごく当たり前の現象は、()()()()()出来事だということだ。


実際俺も見ているし、赤髪の顔にはっきりと驚きの色が見える。


当然、俺は何もしていない。


というか、この状況において俺が出来ることは殆ど何も無い。



赤髪はその後も何回も跳び上がり、空を蹴るが、文字通り゛空を蹴っている゛だけだ。



「か、加護が使えない…!?どうしてだ!!?」



赤髪の顔は驚きの表情からだんだん焦りに変わっていく。



「お、お前……!お前のせいなのか…!?」



違う。


全然違う。


さっきから変わらず、何もしていないし、出来ない。



……バッタのようにその場でぴょんぴょん跳ねる赤髪を見ていると、なんだか少し…なんとなくだが…申し訳ない気もしてくる。


また幾度となく赤髪が跳ね―



「うるせぇぇぇえええ!!!!!!」



…心臓が止まるかと思った。


赤髪が跳ねるのを見ていると、唐突に鼓膜が破れるかと思うくらいの怒声がギルド内に響き渡る。


そしてカウンターの奥から床の軋む音がし、1人の男が現れた。


男は大きな傷が走り、髭がたっぷりとたくわえられた顔、茶髪に碧眼、ゆうに2mはありそうな巨躯に、丸太のような四肢。


見た目だけで只者ではないオーラを放っている。



「おい、アンク…。さっきから何がしゃんがしゃんとバカみてぇに跳ねてやがる…?バッタにでもなりてぇってか!?あぁん!?!?」


「マ、マスター…。違うんです!!ここに*****がっ…!それに……」



どうやらアンクというのが赤髪の名前らしい。


マスターと呼ばれた男は額に青筋をうかべ、赤髪を射殺さんばかりに睨みつけている。


明らかに赤髪は怯えている様子だった。



いや、まぁ、あれに睨まれちゃ、誰でもそうなるか…。



俺に向いていた周りの視線がそちらにそれたので、さっと外套のフードを被り直す。


あわよくばこの隙にギルドから出てしまいたいところなのだが…。


そんなことを考えていると、マスターが突然こちらに振り返る。



「おい!そこの*****!!お前らは何しにきやがった?」


「あっ!?えっっ!?日本語…!!?」


「うるせぇ、いいから用件を言え!」


「あっ、はい!冒険者になりたくて来ました!!」



マスターは見た目的には日本人ではないが、なんと日本語を話せるようで、日本語で話しかけてきた。


それもルーナ以上に聞き取りやすく、流暢ともいえる日本語でだ。


マスターは俺が冒険者になりに来た旨を伝えると、一瞬眉をひそめたが、ふんっと鼻を鳴らし、何かをギルド内に全体に響く大きな声で言った後、赤髪をもう一睨みし、カウンターの奥へと戻って行った。



「ルーナ、マスターさん、なんて言ってた?」


「え、えっと、次騒いだら殺す。だそうです…」


「それって、俺らのこと見逃してくれる?って事でいいのかな?」


「た、多分…そう……ですかね…?」



マスターが居なくなり、赤髪がこちらを物凄い形相で睨んでいるのを視界の端に捉えるが、どうやら襲いかかっては来ないようで安心した。



「とりあえず、冒険者登録しましょうか」


「そう…だね」



非常に居心地は悪いが、マスターの鶴の一声で、先程のようなことにはならなそうだ。


どうあれ、今夜の宿のためにも稼がなきゃいけない。


俺とルーナはカウンターで冒険者登録を済ませ、俺でも出来そうな薬草集めの依頼を受けてから、そそくさと冒険者ギルドを立ち去った。

読んでいただきありがとうございました!

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