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救世の巫女  作者: うみ。
第1章 別れ、転移、そして出会い
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宿屋論争

「本当に何事もなく街に入れてよかった」


「はい、この辺の街なら大体はこんな感じで入ることが出来ると思いますよ」


「それは助かるな」



怪しいてるてる坊主2人組だったが、門番には何も言われることなく普通にはいることが出来た。


街は思っていたよりも至る所に街灯が照らされていて明るい。


なんとなくだが時刻は大体8時から9時といったくらいだろうか。


顔の赤い上機嫌なおっさん達が大きな声で話しながら通り過ぎるのを何度か見かけた。


そういう風景はどの世界でも変わらないようだ。



「まずはやっぱ今夜泊まる場所を見つけないとかな?」


「そうですね、それならさっき良さそうなところ見つけておきました!」


「お、おぉ…。さすがルーナさん。でもお金は大丈夫そう?」


「はい、今日の分だけなら何とかなると思います。ただ、あまりいい所には泊まれませんけど…」


「十分だよ。ありがとう」



16歳という年齢から鑑みても、ルーナは基本的にとてもよくできる子だ。


たまに見せるちょっとした残念さも考えようによっては彼女の魅力のひとつのように思える。



それにそんな彼女を見ていると妹の時を思い出す。



まぁ、時はルーナとは逆で基本的な方が残念な感じではあるが。


俺がどこか彼女を放っておけない気持ちになるのは時の面影を彼女に見ることがあるからと言うのは多分にあるのだろう。


放っておけないなんて言い方をしたが、ルーナが居なくなってむしろ困るのは俺の方だ。


だがいつまでもおんぶにだっこという訳にはいかないだろう。


彼女には彼女の人生がある。


近いうちにその辺も話しておかないといけないかもしれない。



「ナギさん?ナギさん!!」


「ん?あぁ、ごめん、なに?」


「ここです!着きましたよ!」


「おぉ…」



いつの間にか今夜の宿に着いたらしい。


見た目は如何にもと言った感じの二階建ての木造建築で、ちょっと広い民家というのがしっくりくる。


看板が吊るされていて、おそらく店名が書かれているのだろうが、まぁ、読めるはずもない。


鳥の絵が描かれているのでそれに由来する名前だという推測はできるが。


店は表通りに面しており、思っていたよりも綺麗で驚いた。


この世界での金銭感覚は全くわからないが、ルーナは思っていたよりお金を持っていたのだろうか?



「ナギさん、早く中に入りましょう!」


「…そうだね」



ルーナはなんだか少し浮ついているようだ。


俺はここまで歩くのにとっくのとうに体力を使い切ってしまったがまだまだ元気そうである。



宿屋に入ると、人の良さそうな女将さんが出迎えてくれた。


相変わらずなんて言っているか俺にはさっぱりなので、何もかもルーナ頼みになってしまうのが、やっぱり申し訳ない。


ルーナが話をつけてくれている間、俺は手持ち無沙汰で、周りをキョロキョロ見るくらいしかやることが無い。


客室は2階にあるようで、1階部分は食堂のようになっていて、丸いテーブルが5つほど置かれている。


そのうち3つは現在客が座っており、シチューのような煮込み料理を美味しそうに食べていた。


そう言えば、お昼頃に食べたそこら辺に生えていた謎のキノコ以来何も食べてないのでお腹はすっかりペコペコだ。


でもルーナの持ち金はここに泊まるのでギリギリだと言っていたし、過度な期待はしないでおこう。


やるべき事は無数に存在しそうだが、いつまでも所持金なしというわけにはいかないので、お金を稼ぐ方法は最優先で見つけなきゃいけないだろう。


こんな状況とはいえ女の子にばかり払わせるのはさすがにどうかと思う。



俺が置物のように突っ立っている間にどうやら無事チェックイン出来たようだ。



しまった、この世界のお金がどんな感じなのか見るのを忘れた。


後でルーナに見せてもらおう。



予想通り客室は2階にあり、女将さんの案内に従って部屋に向かうが…。



あれ、これってもしかして…。



嫌な予感…いや、嫌という訳では無いのだが……予感は的中し、ルーナと俺は同室に通された。


もっと早く気づいて然るべきだったが、美味しそうな料理やらなんやら、他のことに気を取られていた…。



女将さんは案内が終わるとそそくさとカウンターへ戻っていき、簡素なシングルベッドとソファが置かれただけの部屋に2人ぽつんと残される。


とりあえず2人とも外套を脱ぐが、座らない。否、座れない。


恐らく2人とも同じことを思っているのだろう…。


…俺の方から沈黙を破る。



「あ、あの、ルーナさん?」


「な、な、なんでしょう!」


「いや、俺はルーナがいいならいいんだけどさ……。えっとー…なんて言うかー……嫌じゃないの?」


「あ、あぅ…!すみません!すみません!!!そこまで考えてなくて……。あの!も、もちろん!嫌じゃないです!!」


「い、いやいや!そんな謝らないでよ!俺なんかお金も出てないし、なんならほとんどのことルーナに任せっきりだったんだからさ!!俺はソファの方で十分だから、ルーナはベッド使ってよ!!むしろ屋根がある所で寝られるだけでもラッキーだと思ってるから!!!」



涙目であわあわするルーナを見ていると本気で申し訳なくなって、必死に言い繕う。情けなさすぎる。


…これでいいのか水彩凪よ。



「そ、そんな!私なんか床でも平気です!!」


「いやいやいや、それはおかしいでしょ…。さっきも言ったけど、お金を払ってくれたのも、この宿を見つけてくれたのも、全部ルーナなんだから、ルーナがベッドを使うべきでしょ?」


「あぅ…!で、でもでも…!」



とんでもないことを言い出したが、さすがにそこは譲れない。これでも多少は男としてのプライドがある。


しかしルーナも何故か頑として譲らず、どっちがベッドで寝るか論争は平行線をたどった。


しかし遂に…



「わ、分かりました…!じゃ、じゃあっ!ベッドで一緒にっ…!!一緒に寝ましょうっっ!!いえ、寝てもらいますっ!」


「えっ、えぇ…。でも…」


「でもじゃないですっ!!」


「はっ、はい!」



いつにない謎の気迫と、色々な後ろめたさに押し負け、何故か一緒のベッドで寝るという結論に至るのだった。



………これでいいのか水彩凪よ…。


男のプライドはどこ行ったんだ……。




_______________________




あぅ…。またやってしまいました…。


つい勢いで一緒にベットで寝ましょうだなんて言ってしまいました……。


あ、あぅあぅ…!考えただけでも恥ずかしくて死んでしまいそうなのに、自分で言い出した以上、後戻りも出来ません。


た、確かに、は、恥ずかしいです、恥ずかしいですが!よく頑張りました!私!!


自分でもびっくりするぐらい強引だったので、ナギさんに嫌がられていないか心配ですが…。


嫌じゃないと言ってくださってましたし、むしろこちらを気遣ってくださっていたので大丈夫でしょう!


…きっと。




女将さんには井戸のお水を自由に使っていいと言われています。


いつもより念入りに体を綺麗にしなくては…!

読んでいただきありがとうございました!

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