はじめてのおつかい
今日は17時にもう1本上がる予定です。
このイルスの街はレイブ様のお店があるカラの街のお隣に位置する街です。
メリカ国ロラ領の小さな街のひとつで、これと言った名産などはありませんが、街の中心に世界教であるリスティア教の大きな教会があります。
小さな街ではありますが、人々の往来はそれなりに激しく、私は元々着ていたボロボロの衣服で作った頭巾を目深く被り直します。
な、何としてもナギさんのおつかいを果たさなくてはなりません!
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「お、お願い…ですか?」
またナギさんの真剣な顔したお願いです。
こうして頼ってくれるのは信頼してくださってる証なのでしょう。
前は私の勘違いで少し恥ずかしい思いをしてしまいましたが、今度こそお役に立ちたいです。
「確か、街に入るのは自由なんだけど、俺らは立場上正体を隠してないといけないんだよね」
「はい、でもすみません、私何にも思いつかなくて…」
「あぁ、それに関しては大丈夫。一応俺がある方法を思いついてはいるから」
「さすがです!」
「さすがって程じゃないんだけど…。まぁ、いいや」
ナギさんはそう言うと、おもむろに上に着ている不思議な形の服を脱ぎ始めました!!
あ、あぅあぅ…。ど、どうしたのでしょう!?
や、やはり私の勘違いでは無かったのでしょうか!?
いえ!ルーナはいつでも覚悟は決めています!こんな街の近くではとてもとても恥ずかしくて死んでしまいそうですが、頑張ります!!!
私が覚悟を決めている間にナギさんが脱ぎ終わりました。
「はい、これと、ズボンも……。はい」
ナギさんは着ていたものを全て私に渡して下着姿になってしまいました。
あ、あぅ…。ナ、ナギさんはとても華奢に見えますが、こう見るとやはり男性なのですね…。
「……ーナ?…ルーナ?」
「ひゃ、ひゃい!!」
「俺の話聞いてた?」
「あぅ!!最初はやっぱりキ、キ、キスからでしょうか!!!」
「………全然聞いてないね」
「ご、ごめんなさい…」
「もう1回言うよ?ルーナは少しならお金持ってるんだよね?そんなら、俺の服を着て、それとルーナが着てたあのボロボロのやつを頭に被って、街に入って欲しいんだ。それでルーナの分の服、あと2人分の姿を隠せる外套的なのを買ってきてもらえるかな?あぁ、あと、もしお金足りなかったら、せめてルーナの服だけでも買ってきて」
か、勘違いでした…。とてもとても勘違いでした…。
顔から火が吹き出しそうです!!!
何か話すと恥ずかしすぎて泣いてしまいそうだったので黙ってこくこくと頷き、急いでナギさんの服を着て、服を頭巾にして被り、街に向かいました。
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ナギさんは少し説明不足なところがあります。
人と話すことがあまり得意ではないと仰っていましたが、酷いです。
イルスの商業区に向かいながらナギさんとの会話を思い出して少しむっとします。
幸い、私の手持ちでナギさんから頼まれたものは全て買えると思います。
買い物なんてとても久しぶりで、待っているナギさんには申し訳ないですが、少しワクワクします。
先程衛兵さんに服屋さんの場所を尋ねたので、場所はわかっています。
この角を右に…
「きゃっ…」
「あら、すみません、大丈夫ですか?」
「い、いえ、こちらこそ…」
曲がる時に人とぶつかってしまいました。
その人は転んでしまった私に手を差し出してくれます。
見ると、日が落ちかけていたのもあって、その人が女性だということはわかりますが、私と同じようにフードを目深に被っているため、顔はよく見えません。
「あなた、もしかしてイチノミヤの生まれかしら?」
「えっ!?あっ…!」
私の被っていた頭巾はぶつかった拍子に外れてしまっていたようです。
慌てて拾い、被り直します。
「ふふっ、大丈夫よ、私も似たようなのだから」
そう言って笑う彼女の瞳は私と同じ色で、それで彼女の言葉を察することが出来ました。
「それに…あなたのその格好……。もしかしたら、あなたと私はまた会うことになるかもしれないわね」
…?どういうことでしょう?
彼女はそれ以上何も言わずに去っていってしまいました。
こんな所でイチノミヤの人に会うなんてとても珍しいことなので、気になりますが、あまり気にしてばかりもいられません。
早くナギさんのおつかいをすませなくては…!
再び歩き出してすぐに目当ての服屋さんを見つけ、私用の簡素な服と草を編んで出来たサンダルを選び、その後2人分の外套を買いました。
お金はかなりギリギリでしたが、何とか足りました。
ただ下着やナギさんの分の服も本当は買いたかったのですが、仕方ありません。
もうすぐ夜になってしまいますし、今も下着姿のまま街の外で待っているナギさんの為にも急いで戻りましょう!
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