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救世の巫女  作者: うみ。
第1章 別れ、転移、そして出会い
11/45

水浴びと朝食

「ナギさん、ナギさん。起きてください」


「う、うーん…」



ルーナが体を揺すり声をかけてくる。


木漏れ日が眩しく、朝になったことが目を開けなくてもわかった。



「おはよう、ルーナ。ごめん、いつの間にか寝ちゃってたみたい…って大丈夫?寝られなかった?」


「だ、大丈夫です!獣人は人間より丈夫なので、1日くらい寝なくても平気です!」


「へぇ、そうなんだ。でも疲れてるみたいだから、道中ちょくちょく休憩しながら街を目指そう」



まぁ、ルーナが万全でも俺がすぐへばると思うのでどちらにせよ逐一休憩は必要だっただろうが。


…?


確かにルーナは寝不足というわけでは無さそうだが、妙にのぼせたような顔でこちらをチラチラ見ている。



「ルーナ?どうかした?」


「い、いえ!それよりもナギさん。お腹空いてませんか?」


「あぁ、確かに言われればすごい空いてるかも」


「さっき向こうの川の辺りで山菜と魚を採ってきたので、少ないですけど、朝ごはん食べましょう」


「えっ、ほんと?それはありがたいな」


「簡単に調理するので、ちょっと待っててください!あっ!その間水浴びに行ってきてはいかがでしょう?川はあっちの方にあります」



…ルーナはもしかしたら、とてもできる子なのかもしれない。



なんかちょっとポンコツそうだなとか思っててごめんなさい。



「何から何まで悪いね。じゃあそうさせてもらおうかな」



ルーナに教えてもらった方へ少し歩くと本当に川が流れていた。


東京生まれ東京育ちの生粋のシティーボーイである俺には、見たことがないくらい綺麗な、まさに清流というにふさわしいもので、少し感動した。


適当に服を脱ぎ捨て、早速川に浸かる。


よく見ると昨日殴られたあたりに信じられないくらい大きな痣ができていた。


これで骨が折れていないだけ本当に幸運な気がする。


そういえば日本は春で、こうやって川に浸かるにはまだ寒すぎる気候だったが、こちらは比較的暖かく、日本で言えば、6、7月あたりの気候といった感じだ。


ルーナも俺もあまり1人でいるのは得策ではないので、水浴びも早々に切り上げて、河原である程度体を乾かしてから再び着ていた制服を着て、ルーナの元へと戻る。



元いた場所へ戻ると、魚の焼けるいい匂いがした。



「あっ!ナギさん、お帰りなさい。ちょうどもうできますよ!」


「おぉ、キャンプ場とかで売ってそう」


「きゃんぷ?」


「あぁ、いや、こっちの話」



木の枝に串刺しにされて焼かれている魚は、俺が見たことあるものと特に見た目は大きく変わらなくて、普通に美味しそうだったので少し安心した。



「はい、これナギさんの分です。どうぞ」


「ありが…………なにこれ…」


「…?**っていうお魚です。この辺では誰もが食べたことのある一般的なお魚ですよ?」


「あぁ、いや……うん…そっかぁ…」


「あ、あぅ…もしかしてお魚苦手でしたか…?」


「あっ!い、いや全然!?あんまり美味しそうだったからさ!特にこの上にかかってるやつ!」


「よかった…!そのソースはさっき採ってきた山菜を煮詰めて作りました!!ささっ!冷めないうちに食べてください!!」


自信満々そうなルーナの顔を見ると、もしかしたらと思うが…



さっきまで普通の焼き魚だったものが俺の手に渡った瞬間、何やら芋虫の体液のようなドロドロとした緑色の液体にまみれており、その液体はそういった草特有の青臭さが前面に押し出されていて、それが単体ではあまり気にならない魚の少し生臭い匂いと混ざりあって………。


い、いや!食事ができるだけでも、俺は絶対的に幸運だ!


せっかくルーナが作ってくれたものを食べないという選択肢は存在しない!!



さっきからキラキラした目でルーナが俺が食べるのを待っている。


察するに感想を求めているのだろう。



…意を決して一口食べる。




「…………………うっ…。……ごくっ…。お、おいしい!ありがとね!!」


「よかったです!!私も…。いただきます!」



ルーナは俺に渡したものと同じものをとても美味しそうに頬張っていく。



感謝はしている。感謝はしているが



…やっぱりルーナは少しポンコツかもしれない。




「ルーナ、お礼に今度は俺がご飯作るよ」


「…?ありがとうございます?」






それから、食事を無事(?)終えた俺とルーナは、とうとう街へと歩き出した。


森を抜けた先は俺とルーナが出会った草原のようで、またあいつに会わないかと不安になったが、ルーナ曰くこの時間は仕事をしているので大丈夫との事だった。


というかそもそもこの辺は人があまりいないそうで、確かに道すがらすれ違った人はほとんどいなかった。



道は比較的歩きやすかったのだが、情けない事に、ルーナの体力が尽きるよりもだいぶ早く俺の限界が来て、道中何回も休憩させてもらった。


結局街が見えた頃には、もう日も暮れようとしていた。



それでも俺は1日でここまできた自分を自分で褒めたいと思います。


ルーナはけろっとした顔をしてるけど。



街に着いたのはいいが、入るためにはまたもう一頑張りする必要がある。



「ルーナ、街に入るために手伝ってほしいんだけど…いいかな?」

よろしければ感想、評価等していただけると幸いです。

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