街へ行こう
ルーナから話を聞く感じだと、街まではそう遠くなく、歩いて半日ほどで着くらしい。
俺からすれば半日歩くというのは十分遠いように感じるのだが、この世界に自動車や電車があるようには思えないし、道も整備されているとは思えない。
だがやはり歩く以外の選択肢はないようだし、江戸時代の日本人はろくに整備されてない道を1日で40キロくらい歩いてたなんて話を聞いたことがある。
まぁ、その健脚ぶりは現代の日本人である俺にはあんまり関係ないことだが。
交通方法は多少難があるが、実はそこまで重大な問題ではない。
最悪気合でなんとか歩くこともできるだろうし、何も1日で無理矢理歩くこともない。
それよりもっと重大な問題は、そもそも元からこの世界の住民であるルーナはともかく、俺が街に入ることが許されるかということである。
入市税がかかるとか身分証明がいるとなるとまずい事になる。
「ルーナ、俺は街に入れるのかな?」
「基本的に街には誰でも入ることができますよ。でも私とナギさんの場合は顔を隠したほうがいいかもしれません」
確かに、忘れていたが俺と彼女は逃走中の立場だった。
顔を見られるのはまずいかもしれない。
「あと実は俺、お金も持ってなくて」
「あっ!それなら私少しだけ持ってます!」
「そっか、ルーナがいてくれてよかった。ほんとに助かるよ」
「あ、あぅ…。ナ、ナギさんは命の恩人です!これくらい当然です!」
お礼を言っただけでルーナの顔はみるみる真っ赤になった。相当恥ずかしがりのようで、そうなると今の彼女の格好により申し訳なさを感じてくる。
「そ、それじゃあ、朝になったら街に行こうかと思うんだけど、いいかな?」
「はい!」
「あっ、服はどうしようか?さっきルーナが言ってた通り、そのままで街に入るわけにはいかないもんね」
「そうですね…」
実は1つだけ方法は思いついているのだが、あんまり提案したくない方法なので、ルーナがいい案を出してくれることに期待する。
しばらく耳をぴこぴこ動かしながらうーんと唸り、考え込んでいたが…
「あぅ…。すみません…。どうしましょう…」
ダメだったようだ…。
仕方ない。俺の案を使う事にしよう。
ごろんと何の気なしに横になって空を見上げる。
色々あって、、あり過ぎて気づかなかったが、いざ横になると、さすがにどっと疲れが押し寄せてきて、俺は一瞬で意識を手放してしまった。
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ナギさんは横になったかと思うと、すぐに寝息をたて始めました。
ナギさんを疑うわけではなかったのですが、本当に何もしないで寝てしまいました。
やっぱり私には魅力がないのでしょうか…。
いえ、きっと(それもあるかもしれませんが)そうではなく、ナギさんはおそらく自分でが思っているよりもずっと優しくて強いお方なのでしょう。
「ルーナがいてくれてよかった。本当にありがとう」
ナギさんの言葉を思い出して顔が熱くなります。
そんなこと生まれてこの方、言われたことありませんでした。
「やっぱりナギさんは私の……ひゃうっ!!?」
あぅ…びっくりして、ついはしたない声をあげてしまいました。
見ると、ナギさんが私の尻尾をギュッと握っています。
どうしましょう…。
尻尾はとても敏感でこそばゆいので、引き剥がしたいところではありますが、なんだかそれも憚られます。
ナギさんもなんだか満足そうですし…。
あぅ…。とっても疲れていますが、今夜は眠れなそうです…。
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