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序章
初作品です。よろしくお願いします。
「うぉぉぉぉおおおおあああぁぁぁあ!!!!」
呼吸もままならないほどの風が吹き荒れ、きりもみしながら宵闇の中を少年は落下する。
ジェットコースターで急降下している時のような浮遊感で胃をもちあげられ、その中身を吐き出しそうになるのを必死でこらえる。
もはや上下左右も定かではない。
わかるのはただ自身が確実に死に近づいていることだけだった。
行く末には硬い地面が待っているだろう。たとえ水だったとしてもこの高度から落ちては、地に落ちるも同義だ。
酸欠と恐怖により、意識も朦朧とする。
これまで無駄だとわかっていても逆らおうと試みていた重力に対してもとうとう従順な態度をとる。
毎秒約9.8メートルで加速しながら
青年は空から落下する。
この先に待っているのが地面なら、少年はまだ幸運だったかもしれない。
しかし、そこに待ち受けているものは死よりも重く辛い使命―。
これから始まるのはとある少年の冒険物語。
それは決して特別ではなく、ありふれた物語かもしれない。
けれど、懸命で、希望と絶望に満ちた
1人の少女と
そして世界を
「救う」物語だ。