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謎の許嫁

彼女視点。


「はー……それにしても、いいなずけねぇ……」



 コウ母が、ため息をついて春のご飯のお代わりをよそう。


 コウは、もう条件反射というか習慣で、無言でぐっと私にお代わりの茶碗をだすのがくせになっているので、私もそれにならうが、私もため息をつきたい。



「コウなんか彼女もいないしねー、野球バカで。雪華ちゃんにいいなずけでも彼氏でも出来たらコウも彼女くらいできるかしらねー」


「どういう意味だよ!!」


「おまえさ~、妹妹っていいなながら雪華ちゃんにかまいすぎるんだってェ」



 ガチャン、とコウが食卓を叩いて立ち上がる。


 ああ、もうまたいつもの……。



「うっせぇな!!可愛い妹で何が悪いんだよ!!俺は兄として、断固として守る権利がある!」


「やかましい、食卓叩くんじゃねえ!!マナーを守れ!!」



 はいはい、とコウ母と私でいつものこの騒ぎをいなして、食器を洗う。


 そして、勝手口から私とハルは、ほとんど寝て起きるだけのような自分の家に戻った。



 コウも、挑発のるから、ああやってコウ父は絡むんだろうに……。


 まあ、コウが過保護なのがしょうがないんだけどさ。



「あのな」



 ふわ、びっくりした……!


 背後からコウの声がして、見ると真剣な顔して私を覗きこんでくる。



「相手が誰だろうと、たとえ遺言でも、生きて決めんのはおまえだ。おまえが嫌な相手なら俺がまた蹴散らす。無理して、嫌でも受けようとか早まンじゃねーぞ」


「……うん」


「本当に約束しろ。許嫁だろーとなんだろうと、一生モンなんだぞ。妥協すんな。困ったらゼッタイ俺に話せよ」



 また私の頭をなでて、おやすみ、と言うとコウはサンダルをつっかけて戻っていった。



「コウにいって、ほんとねーちゃんに過保護。ガッコでもああだろ、噂聞こえてくるよ?」


「……まあねー。私とハルが双子でコウとは学年下ならせめていいんだけどね……」



 私も、おさななじみというよりは、いとことか兄妹という感覚だけど、周囲の目はね……。


 同い年で隣の家で幼馴染で、しかも目つきが悪いことを除けばカッコイイと女子に騒がれる人気捕手。

 

 おまけに本人は野球馬鹿で、女子には興味がないらしく、私の友達の名前さえきちんと覚えてもない。

 

 その代わり、野球が絡むことだと何でも記憶してて、生粋の野球男子。

  

 そのせいでコウにバレンタインで玉砕した他の女の子に、私がやや恨まれたこともあった。


 ドラマみたいな世界だと騒がれるけど、何度も事実を言っても皆の目には何か少女漫画的な想像が起きているみたい。


 また、コウときたら近づきにくい硬派すぎるキャラと知られてるから、私への甘やかしと周りへの塩対応で、温度差が目立つ。



 それにしてもーー。


 コウが勢いでやぶった挙句、お茶をひっくりかえしてしまったため、お母さんの遺言は無事だったけど。

 

 相手のプロフィールなんかは見事にインクがにじんでいたし、写真も見事にやぶけていた。


 捕手の力、あなどれない。



 うーーー、読めない。……わからない。


 目を凝らしたところで、ふやけてやぶけた文字は解読不能。


 住所は……かろうじて解読してみるけど、宇井野高校のすごい傍、のような感じだ。


 ということは、高校から30分の家うちからも結構近い?


 実はもうどこかですれ違ってたのかもしれない。



 だとしても、これはもう、相手方から何か言ってくるだろう。


 それも失礼な話だけど、ここまで見事にわからないとどうにもならない。


 写真だって、顔のアップとかじゃなくてスナップ写真のようで、唯一わかったのが、その人も野球をやっているだろうということ。


 だって、間違いなく野球のユニフォーム。


 ていうことは、もしかして年齢は近い……?


 想像していたお金持ちの大人ということは、なさそう?



 野球……してる人か。


 期せずして、共通点というか話題はありそうだけど。


 でも、あんまりうまくなかったりしたらコウが「こんなやつにやらせるか!」とかなりそう。


 でも、コウのおめがねにかなうレベルの人ってーーどれだけ実力ないと駄目なんだ……。


 コウ自身だってシニアで関東ベスト8とか平気でこなしてるというのに。




 大変だ……私の謎のいいなずけにされた人。


 なんだか、ひと波乱ありそうな気配がする。



 それにしても、許嫁……って。


 冗談ーーーーじゃないのね……。


 本当に、この時代にそんなことがあるなんて。



 ベッドに倒れ込むと、なんだかどっと疲れが出てきた。

 お父さんにはひとまずメールをしておく。


 それでも今夜は眠れそうにない。



.

次回、謎のお相手が判明。プロット段階で、ハルと雪華の仲がよすぎて変じゃね?と友人に言われましたが、母をなくして父も不在気味。団結してきたということで、性格の真逆もあって喧嘩はそれほどなかったということで。実際、友人たちの兄妹仲が聞いててびっくりするほど悪いwプロレスゴッコになったりエアガンで攻撃しあうとかは可愛いもので、この設定とうりの一個差兄妹は喧嘩ばっかだったようで。

だたうちの場合はリアル弟と、カラオケや映画や買い物いくわ、親の不在に6時間話し込むような感じで喧嘩らしいことは全然なかったので、いまいちピンときません。友人の話をいかした兄妹の喧嘩とラブコメ?は短編アドレに入っております。

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