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幼馴染は激怒した。

彼女視点。

 コウが全力エキサイトして、私は気が遠くなり、そのあとの記憶はない。


 安達春と弟ハルとのダブルハルが安達夫妻とそれぞれ帰宅して、夕飯。


 なのに、私は唖然としたまま箸が止まったままらしく、怒りが冷めやらないコウが大声で暴露してしまう。


 安達夫妻は、遺言が出てきたことにビックリしつつ、何か納得したようだ。何故?

 

 弟といえば、こっちもそんなに騒ぎ立てることなく、ご飯をもくもく食べている。何故?!



「いいなずけ、ねェ、なかなか今時珍しいけど、雪華ちゃんのことが心配だったんだろうねぇ」



 コウ父が頷いて、ビールを傾ける。


 私は自分の食事を諦めて、おかわり部隊のサポートに専念した。


 だが、他称番犬・自称兄が、そんな親にイエスマンになるわけがない。



「冗談じゃねェよ!!!いままでな、雪華に近づく虫どもを追い払って、厳密にみつもってだな、雪華に見合うだけの価値のある男かどうか、俺が苦心してきたってのに、勝手に決められるんじゃ、話になんねぇよ!!」


「そーんなこといって、おまえさぁ、雪華ちゃんのことなんだと思ってんのぉ?」


「大事な妹だ!!!可愛い妹!!他になにがあるってんだよ、クソオヤジ」


「へぇぇぇぇーーー、そう」



 ニヤニヤするコウ父に、私がそっと晩酌した。


 そうなのだ。別にモテはしないとは思うけど、人並みに声をかけられたりモテ期のようなものがあったけど。


 コウが相手を追い払ったり、ケンカしたりして私に今まで彼氏というものはいない。


 別に、私も好きな人がいたわけじゃないから、いいんだけど。



 そういうことがあるたびに、安達家の食卓ではこの会話がコウとコウ父とで繰り返される。


 夕飯は、おかずを半分ずつ持ち寄って。


 というのが何年も続いているので、今日は私はお味噌汁とサラダしか作ってない。


 明日は、私がご飯をたいて、メインのおかずを作る日だ。



「でも、ねえちゃんにそんなの決まってたら、俺にもそんな日がくんのかなー」


「う……もしやあるかも……」



 何年か後に、またあの弁護士さんがコウに怯えつつハルの許嫁とやらを持って再登場したりして。


 それにしても、なんでハルはそう能天気なの!?


 私は未だ混乱して、何を食べてるのかも分からないというのに、おかわり何度目なの?!



「それで、ねえちゃんの相手って誰?」


「……まだ復元途中」



 激怒したコウがやぶいてしまい、お茶がこぼれた机に叩きつけたせいで、母の手紙以外の弁護士さんが持ってきた書類は跡形もない。


 あとでセロハンでもはって、とりあえず連絡しないことにはなーー。


 相手にも断る権利があると思うし……。


 どういう経緯でこんなことになったのかわからないけど。


 もしかしてお金持ちの大人の御曹司とか……?ないない。


 さすがにそれはマンガだけの世界はなず。


 お母さんにそんな知り合いはいなかった、と思う。



「どーせ義兄ちゃんできるなら、俺はコウにいでもいいけどなー」


「えー、兄ちゃんと雪華ねえさんがー?そういうの、美女と野獣ってお母さんが……」


「春、てめえ、いい度胸してるじゃねえか」



 コウ、どっちもハルです。紛らわしいことにも。


 音だけだとどっちだか分からない。



 でも、拍子抜けはしたけど、なにしろ遺言……。


 簡単に反故にはできないと思う。


 なにしろ、お母さんがのぞんだ相手っていうのは誰なのか、興味がある。


 でも、すごい年上の人とかだったら嫌だなー。


 そもそも、恋愛らしい恋愛なんて、番犬コウのおかげで記憶にないのです。



「そういえば、卒業生の最後の試合はどうだった?」


「うちは負けちゃった」



 安達家の春が、しょんぼりして、私に似ない弟のハルが反り返った。



「うちは当然勝ったけどね!うちは関東最強!なにしろ4番は小櫻さんだもん!」


「へえ、ああ、ゆうちゃんか」



 小櫻悠希こざくらゆうきというのは、また弟ハル(桐月家)がらみで付き合いが長い。


 定期的に会っているので、あの人も幼馴染といえなくもない。


 学校は違っても、休みの日になればたいてい顔はあわせていたし。


 お母さんのお葬式にも、チームで噂でも流れたのか、彼は母親と共にお悔やみにきてくれて、コウがうちのハルを慰めている間、私のことを泣きながら抱きしめてくれた。


 ーー実は、コウには言っていないけど、あれが密かに初恋かも?という唯一の記憶の相手でもある。



「雪華、四番の小櫻、知ってんのか?」


「そりゃあ、ハルの先輩だし、ボーイズ入る前のリトルでも一緒だったもん。コウとは違う幼馴染みたいな……あれ?なんでコウ知らないの?何回か話したはずなのに」


「おまえの『幼馴染のゆうちゃん』と関東古豪ボーイズの『小櫻』が同一人物とはしらねえよ、早く言え!あー、小櫻悠希か、この辺じゃあすっげ有名人じゃん。どっか強豪にスカウトされてんだろなー、学費免除とか」


「そんなに凄いんだ?」


「関東一のボーイズの四番だぞ、ねえちゃんウチをなめてんな」



 なめてるわけじゃないし、試合も見に行ってたけど、肝心のゆうちゃんがなー。


 4番っていうと、背が高くていかつくて、ってイメージだけど。


 彼は小柄ですばしこい1番とかのイメージ。


 高校、スカウトがくるくらい凄いのか……。


 知らなかったなー、私と話す時は元気で笑顔で、明るくて。



 それこそ今年の優勝した学校なんかにいくのかなー。


 高校入ったら部活だけだろうし、もう会えなくなるのか……。


.

次回も彼女視点です、すいません。コウのせいでどんどん長くなったw

のんきなハルとコウ親ですが、番犬が余計怒るのをみたかったのかもしれない(おい


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