番犬と許嫁のタッグ
彼の視点
「だからさーーーうまくいえねーけど、とにかくマジなの」
かいつまんだ俺の説明を、安達は微妙な顔して聞いてた。
「嫌味な言い方するとアレか、『天才ゆえの孤独』みてーな」
うん、ここまで言ってハッキリそこまで言えるのはおまえだけだと思う。
ちょっとむしろ感心した。
べつにそんなカッコイイもんじゃねーけど。
一人で、何か見えない壁があった瞬間、それをぶち破ってくれたのはいつだって雪華だったから。
あの笑顔に、何度も救われたから。
だから、大好きになったんだ。
「じゃあさ、安達はマジでアニキって思うんなら、しばらく雪華のクラスくるな。何言われてもしばらくキョリおけ」
「って、雪華がいじめられてんのは俺のせいだったってことかよ!?」
「ちげーよ、わっかんねえけど、安達がブチキレたら駄目な気がする。でもさ、タブン安達は我慢できねえじゃん?出来るならいいけど」
安達は、なにか想像するような遠い目をした。
俺の中では、スタンド中からアウェイで試合してブーイングとんでもこの捕手は、顔色変えないだろう。
そう思えるけど、重度のシスコンの方面になると、雪華が一度でもヤジられたら息の根止めにいきそう。
既に何回かぶっ殺すってゆってるし。
しかも、マジにやりかねねー空気は付き合い浅い俺でも分かるレベルだし。
「もし雪華がいじめられたとしてーー俺がその場にいたらーーーーやったやつ、歯は残らねぇな。むしろ埋めて存在消すかもな」
「駄目じゃん」
歯は残してやれよ。
そんでサツジン事件おこすなよ。
そもそも、十代で総入れ歯人生遅らせるなよなー。
まして、多分相手は女子だ。
男子なら、きっと俺か安達がわかる。
それにこんなすぐダメージ残るやり方とってたらほかの女子が見てるだろ。
親しい女子の中か、そこでも見落とされる何か、だ。
「安達、俺を信じろ。分かったら必ず教えるから、俺に任せてくれねえ?」
そうじゃないと、駄目な気する。
”アニキ”って壁は、高いまんまだ。
「----わかったよ。あーぁ、おまえに嫁に出さなきゃいけねーのか……男親って切ないな……」
いや、おまえ父親も兼ねてたのかよ!?
さすがに今の俺は嫁にとれねーぞ。
あと数年待てよ、その複雑な心境とやら。
次回、ヒロインやっとこ。
少しずつ糖度あげていきます。多分!!




