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神怪だって、人間です!!  作者: サツマイモ
教師・涼風羽天編
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すずかぜクラス 面談の6月

7人のそれぞれの事情を知れた4月があっという間に過ぎ去り、7人の性格がうかがい知れた5月にも終わりをつげ、気づけば6月に入っていた。


太陽の日差しが日に日に強くなり、出始めた蝉がうるさく鳴き始めている。

「うるせぇ~熱え~」

学校では、面談期間に入った。うちのクラスも、御多分に漏れず開催される。

相も変わらず、うちのクラスは能力を発揮している。しかしながら、意外なことにそのほかの教科は不得意なものもあるようだ。


「ええと、宮聖は数科が苦手みたいだな」

「…数字にはトラウマがありまして」

「…トラウマ?」

「あんまり、お話ししたくはないのですけれど」

「そうですか。まあでも、そこまで気にするような成績でもないから、この調子で頑張って」

「分かりましたわ」


テストでの成績は良くとも、その分態度がいささかおかしい奴がいるのは、やはり神怪予備軍の性なのだろうか。

「羽黒は、成績は良いから、その態度を改めようか」

「…うっす」

「聞いてる?いっつも寝てるけど」

「しょうがないじゃないですか。頭が疲れているんですから」

「それにしては、この前茶畑と結構楽しそうに手紙回していたじゃないか」

「それは、彼女が先にやってきたんです!」

「ああ、そう。まあいいけど、授業はちゃんと聞いてね?」

「はいはい」

「ますます学生時代の私に似てきている…」


天才が集うこのクラスには珍しく、順位が上がった人がいるという事実にというか意外さに、少しクスッとしてしまった。

「赤根、よくやったな」

「ほんとっすか!やったね!」

「それにしても、前回10位だったんだ」

「他の教科はあんまり興味がないんすよね!」

「断言されると、何も言えなくなるな!」

「だから、今回みたいに、色々興味持ちたいと思います!ということで、先生!」

「お、なんだ?」

「おっぱい何カップですか!」

「帰れ!」


天才が天才ゆえに、天才同士でも話が通じ合わないことを悟らざるを得なかったのも、このクラスの担任になって学んだことの一つである。

「ええと、今回は5位でした」

「なるほど、ボキャブラリーでしたか」

「…それは、語彙かな?」

「ライブラリーでの勉強が、功を奏したというわけですか」

「英語混ぜなきゃ話せないのか?」

「これからの時代は、グローバル化が進みますから」

「なるほど…」


その点、しっかりとした分析をしたうえで話してくれる人も中にいることも知った。

「萌黄は、今回調子悪かったな」

「まあ、しっかりと勉強できなかったのが5日ありましたから。その分は、落ちてしまったと危惧しておりましたよ」

「ちなみに、どうしてそんなに勉強できなかったのかい?」

「イベントだったからです」

「ゲームかな?」

「ゲームです」

「ゲームか」

「ゲームですね」


彼女は、勉強こそ申し分ないが、それよりも家族との関係の方が気にかかった。

「どうだ、家族とは」

「うまくいってにゃいのだにゃ~」

「それでも、やっぱり家族は大事にした方が」

「先生。私は、蝉垳翠は、神怪になりたい」

「…はあ?」

「あんな家族嫌だ。勉強しても、褒められない。どれだけ真面目にやっても、励ましすら与えられない。勉強できても、当たり前のことが出来なきゃ意味がないとほざきやがる。お前らよりも、大きい才能を持って生まれた私に向かって、普通を求めやがる」

「お、おう」

「だーから、私はこのまま、先生のように、神怪になりたいのだにゃ~」

「そ、そうか」

「その時は、お願いしますにゃ~、先生」

「ちゃんと考えたその先に、その答えがあるなら、私は応援するよ」


シルバーコレクターも、同じようなことを話した。

「私、勉強はできても、皆が出来ることが出来なきゃ意味がないって、家族みんなに言われているんです。だから、こうやって、嫌がらせのように、がむしゃらに好成績を狙っているんです」

「すごいよな、いつでも絶対、必ず2位だもんな」

「私は、翠ちゃんほど強くは考えていなかったですけど、それでもやっぱり頭が良いという自負はありますから、それに関して称賛の一つや二つないと、やっていけませんよね」

「そうか、そんなもんなのか」

「子どもなんて特にそうですよ」

「大人びてるな」

「大人しいだけです」


大抵の人間は、普通を求める。平均的で普遍的で平凡な毎日を、目指している。それは、自分を特別視しないことの裏返しであり、いわば客観的に見て、周りの人に迷惑をかけない生き方をするうえで大切なことの一つである。


しかしながら、彼女たちのような、産まれてからずっと1番を取り続けてきたような人からすれば、そんなことは甘えであり、怠慢であるように思えるのは必然だと思う。


以前私もそう思っていたし、この職に就いてからも、つくづく思うようになった。


何千人何万人という才能の持ち主がいるからこそ、平均値というのが生まれるわけで、平均的であろうとするのは、サボりでしかない。

自身の能力に自信を持ち、過信せずとも邁進するべきである。


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