すずかぜコミッション 7人の精鋭たち
「これより、第1回出陽国環境問題対策委員会を始めます」
こんな風にして、大々的に環境について考えているのかと思いきや、その委員会招集を受けた人たちが、私含め一学校の生徒だというのだから、この国の本当のトップは何をしているのかと苦言を呈したくなるよね。
しかしながら、生徒たちが一般人よりも、さらには国のトップよりも頭が良いというのは事実だから、しょうがないんだろうけど、それにしてもなぁ。
「では、手っ取り早く始めよう」
「それでは、先に出席を確認させていただきたいと思います」
「まず、赤根三咲さん」
「よろしっく!」
中学校3年生である赤根三咲は、自然科の女王である。いつも、肩に飼いリスを乗せて授業に出る彼女は、どうやら地球上の生物とコミュニケーションがとれるらしく、授業を聞く意味がほぼないとさえ言われている。コミュニケーションさえ取れれば、そもそも勉強する意味がないからだ。
でも、一応卒業の資格を取らなければ大学校には進めないため、しぶしぶ私のクラスへとやってきたのだ。
ちなみに、年五回行われる定期テストで、自然科は毎度100点だ。
「青村彩智さん」
「…お手柔らかにお願いします」
物静かな中学4年生、青村彩智は、言語の使者と言ってもいい。それくらいに彼女の語彙力は長けており、ありとあらゆる現象を言葉で表現することができる。
一般に言葉では、分かる人にしか分からないが、芸術では、全ての人に伝わると言われているが、彼女を前にして、そんなことを言える人はいない。彼女の手にかかれば言葉さえ芸術なのだ。言語科では、一度も失点したことがない。
「萌黄千歳さん」
「ロジカルシンキングで生きましょう」
同じく中学4年生の萌黄千歳は、理論の司者である。言葉が芸術の一つな青村とは正反対に、芸術さえ彼女の中では論理的に証明できるという。
いつか、青村さんと共に共同研究をしてみたいものだと呟いていたが、そんなことをされてしまうと、空前絶後の大天才こと私でさえ止められない世界滅亡の方程式が証明されそうで、しかも論破なんか誰もできずに遂行されそうで、背筋が凍った。やめとけよ、と冗談めかしておいたが、心ではびくびくだった。
「蝉垳翠さん」
「こにゃんちは!」
唯一の小学生である蝉垳翠は、クラスの仲間に享受することで快感を覚える、いわば第二の教師なのだ。9歳にもかかわらず彼女の経済的な思考は冴え渡っており、一農家だった八百屋を1年で大規模ショッピングモールへとのし上げて実績もある。
その甲斐あってかいつも誰かの会社の経営を手伝っており、まともに学校に行けてないのが最近の悩みらしい。ちなみに、本都の経済は彼女の機嫌で変わると言われているのは、秘密だ。
「羽黒結さん」
「うっす」
普段の態度を除けばだいぶモテるだろう容姿を持つのが、中学3年生羽黒結である。彼女の脳はあまりにも数に侵されており、異例のドクターストップがかかっているのだとか。
そのスピードも異次元で、見ているといつの間にか終わっていて、体が頭に追いつかないというのがひしひしと伝わってくる。数学界では、彼女の脳を称えて、「God Notes」と呼ぶそうだ。
「宮聖優奈さん」
「宜しくお願い致します」
中学5年生優雅に紅茶を嗜みつつ、挨拶するのは、1200年続く名家宮聖家のご令嬢、宮聖優奈様であられます。
なぜこんなかしこまっているのかというと、本能的に逆らっちゃいけないと思っているからなんだよね。私のクラスの人も大体は自分の脳みそで這い上がってくるのに対し、彼女の周りには歴史的書物がたくさん残っており、教科書を読むより確実なんだそう。
『歴史は誰かの物語ですわ』と言ってのけるあたり、さすがとしか言えない。
「最後に、茶畑いろはさん」
「は、はい!よ、よろしくおねがいしましゅっ!」
この中で一番緊張しているであろう彼女が、かの有名なシルバーコレクターこと茶畑いろはである。
すべての教科で2位を取る彼女は、クラスで最年長であり、小学校の最初のテストから、かれこれ57回一度も教科1位を取らずに総合1位を成し遂げた、所謂オールラウンダーなのである。
その57回でも、総合1位を逃したことは1度だってないのだという。




