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神怪だって、人間です!!  作者: サツマイモ
悪魔・燈火ヘスティア炎香編
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ともしびレカンシリエーション(in Dream)

 神怪はなりたくてなるものではない。

 なるべくしてなるもので、気づいたらそうなっているものだ。見方によって、視点によって変わる物。あるいは、ある日突然そう観られる物。一人で勝手にそうなる者。ある日突然そうなる者。


 化け物であり、異端者。


 ある日突然なるものは、もしかするとずっと根底にあるのかもしれないが。逆にとらえれば、神怪は全てもとは人間だったということになる。

 元を辿れば、本を正せば。

 質して、糺して、糾せば。皆同じ人間なのである。

 こんな風に難しく言うと、分かりづらいかもしれないが、これを小豆で考えれば少しは楽になるのではないだろうか。


 小豆だって別に食べられるために育っていくわけではない。

 ましてや餡にされるだなんて生まれた当初は、社会に出たころは思いもしないだろう。餡にされて、いろいろな食べ物にされるのだから、たまったものじゃないだろう。


 炎香からもらった最中も、その他羊羹なども、そう思うと少し食べるのに気が引ける。食べるのを憚られる。

「まあ、遠慮せずに。この島は、謝罪をするときこういう茶菓子って言うの?渡すんでしょ。まつりさんに聞いた。」

「分かってくれるといいな、神那ちゃんも。」

「うん。」

 今日は、台風一過で最近少ないからっからの晴天、9月29日。なぜこんなことになっているのか、話は今朝に遡る。

 ―――――――――

 現実は本当に役立たずで、理想がなければ生きられない。

 頭脳明晰に成っても。

 磊々落々で構えても。

 徳良寛大に徹しても。

 現実は、変えられない。人はそれぞれ道が決められていて、それをぶっ壊すことはできない。モテるやつは何をやってもモテるし、モテないやつは何をしてもモテない。だから俺は一夫多妻制に対し、賛成の声を上げたい。モテるやつが一人だけを選び、それに負けた人たちが他の人を選ぶわけがないのだ。だったら、いっそのこと一人の男に群がらせればいい。

 モテるやつは、モテる分だけ、責任を取れ。

 と、言いたい。


 そして、近代の少子化に一枚噛んでいるのは、やはり2次元の発展だろう。すべての理想がそこに詰まっている。これ以上のものは現実では作りようがない。ちなみに、アニメ規制派では全くない。時すでに遅しだと思う。一度、最高級の逸品を堪能してしまえば、もう元には戻れないだろう。

 だから、2次元は、最高であり、至高なのだ。

 そんな事だから、現実は役立たずなのだと腹を立てたくなる。

 まあ、結局のところ。


 妄想は、妄想に過ぎず。

 理想は、理想に過ぎず。

 幻想は、幻想にすぎない。


 現実を見て、こうなってほしいなと想像して、脳内で創造して、それ以上になったためしがない。むしろ、「あーあ。」と落胆させられるばかりである。

 やっぱり、俺の理想は2次元で完成しているから、3次元の良さが分からないんだろうな。言っておくが女性嫌いというわけではない。淑女は好きだ。真面目で、おしとやかで、元気で、純粋。どれか一つでもあれば、結構好きになる。あと、挨拶できるような礼儀正しい子も好きだ。

 そんな子は、俺に見向きもしないことぐらいは分かっている。

 だから、もう二度と夢を見ないように一夫多妻制にしてほしい。

 だから、もう好きでもないやつにまで挨拶するのはやめてくれませんか。好きでもないやつに手を振らないでくれませんか。好きでもないやつに、勉強を教わろうとしないでくれませんか。

 そんなことされたら、好きになりますよ。


 学生の頃によく転校した俺にとって、そういう優しさに、そういう甘えに、免疫はないのだ。

 甘えられたら、優しくしたくなるし。

 優しくされたら、テンションが上がる。

 もしかして、と考えたくもなる。

 そして、いやいやこれはよくある勘違いだと自分に言い聞かせなくちゃいけなくて。それでも、まだ優しさを提供してくる。

 奇跡が起きているとしか思えなくなる。

 自分がモテないことくらい、良いところなんて一つもなくて、見せかけの脳みそと、格好つけしいことくらい、己が十二分に知っている。

 じゃあ、どうしようか。どうすればいいのだろうか。このやり場のない気持ちを、吐き出せない辛さから、どうやったら解放されるのだろうか。

 俺は、彼女と何がしたいのか。

 彼女の笑う顔が見たい。彼女の怒る顔が見たい。彼女の悩みが聞きたい。彼女の話が聞きたい。社会で働く姿が見たい。勉強している姿が見たい。困っていたら、助けたい。困ったら、頼みを乞いたい。辛そうだったら、胸を貸して。辛かったら、胸を借りたい。甘えを許して、甘えを許されて。時には叱られて、励まされて。同じように叱って、励まして。そんな風に、なりたい。


 たぶんきっと、それは。

 家族になりたいのだ。

 そばにいたいのだ。そばで見ていたいのだ。

 結局これを伝えたところで、どうにもなるわけがなく。

 むしろ、気持ち悪がられて終わるだけだ。

 こちらには、一度だってチャンスはなく。

 大好きと伝えられない俺の心は、こんな風にして結論に至った。

 まったく。理想のくせに、本物で。現実のくせに、偽物だ。


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