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神怪だって、人間です!!  作者: サツマイモ
神怪・新章突入篇
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いてくもポゼッション 調査の水。

 状況が分からないときは、まずは自分から進んで情報を収集しなければなりません。自ら行かなければ、何事も変わりませんし進みませんからね。

 他人任せ、他力本願はそれ以上の成果を挙げません。所詮は他人の力ですから。


 …あ、自ら行くって水から行くみたいで、なんだか温泉の入り方を強制しているみたいですね。ほら、水風呂からみたいな。


 さあ、そんなダジャレ的思考もそろそろ矯正して直さなければならないというところも分かったところで、いよいよ本題です。

 情報収集と言われれば、やはりフィールドワークでしょうね。


 彼女、つまりは凍雲氷結さんの問題は、学校で起きているわけですから、まず学校に足を運んで聞き取り調査をするのが手っ取り早いでしょう。


 聞くと彼女は、最近学校に行けてないそうなので(聞くまでにだいぶ心抉られました)、心おきなく積極的にお話が聞けそうです。

「ただねえ、問題が一つ」

 そうなんです。私、悩みを抱えている人間以外には見えないのです。


 まあ、調子がいい時とかって、神様に構っていられないですし、神頼みするときは、その事案がどちらに傾くか分からないという時ぐらいなので、存在を認識してもらえないんです。


「悩んでいるといいんだけれど」

 苛めには、必ずリーダー格の人がいるそうです。やはり、多数派工作を図るにはそれなりの上下関係が伴ってくるようで、それに関しては何も否定しません。


「トップさえ少しでも悩んでくれると嬉しいんだけどなあ」

 そんな独り言を、寂しい独り言を空高くに存在する太陽へと投げつけ、私は学校へと向かうことにしました。


「それにしても、最近はやけに仕事が多いなあ」

 桜の花が咲き、それが散るころと言えば何とかなく分かるかもしれませんが、本都では桜が咲かないので、こういう時期は何と言えばいいのかよく分からないのですが、とりあえずありったけの語彙力をつぎ込んで言うのであるならば、心も体も穏やかになる季節でしょうか。暦の上では、4月も中盤に差し掛かったころです。


「今日もまた、いい天気だ事」

 最近の本都の天気は、やけに穏やかでここ1週間ずっと雲一つない青空に満ちた天気なんです。ここまで気持ち良く快く爽快に晴れてしまうと、夏や秋、そして冬はどうなってしまうんだと、ツケが回ってくるのではないかと気が気でなりませんが。


「そんな不安も掻き消すほどに吹く、暖かい風が私の心を温かくしますねぇ」


 そんなこんなでひたすら歩くと、そろそろ校門が見えてきましたよ。


「朝早いからなあ、みんな元気に登校しているな」

 先生にでもなったような気分で、生徒たちの登校を見守ります。


「あ、あれってもしや」

 いかにもな大軍を引き連れて通学路を闊歩する、背の高い女子生徒が、我が物顔で学校へと入っていきましたね。


「まあ、彼女の学校なのですから、我が物顔って言うのは当たり前なのでしょうけれど」

 それにしても、彼女のその歩きっぷりは、さながら大統領や総長といったような威風堂々としたもので、主犯格はふさわしいオーラを身にまとわせているものなんだなと感心してしまいました。


「さあ、彼女にインタビューです」

 それでも、やっぱり授業前に聞くというのはさすがにまずいと思ったので、先生(羽天さん)に許可をもらって、放課後まで待つことにしました。


「そういや、彼女の部活ってか同好会は、今彼女しかいないから多分その時間に話した方が良いよ」

 羽天さんの助言をしっかりと聞いた私は、彼女の同好会、すなわち茶道同好会の部室へと足を運んだのです。


 部室を見る限り、ちゃんとした茶室でしたし、色々な賞状が飾られいるので、昔は結構繁盛していたようでした。


「…いやあ、畳の部屋というのも、なかなか乙なものですな」

 いい天気に、畳の部屋。静かな教室、暖かい部室。気づけば私は、夢の世界へと足を踏み込んでしまいました。



「…さてと、今日も点てますかって、きゃあ!」

「え、ああ、え?」

 寝ぼけまなこを擦って、上半身だけ起こして振り返ると、先ほどの闊歩女子がそこに立っていました。グットタイミング!挨拶はきちんとしなければ!


「ああ、こんにちは」

「こんにちはじゃない!なんで?だれ?」

「申し遅れました。私、水神泉咲というものでございます」

「…水神ってあの神社の?」

「はい、そうです。神様です。良かった、あなたも悩みを抱えているようで」

「…は、はあ?悩み?」

「ああ、別に気にしないでください」

「いやいや、気にするわよ!」

「あなた、お名前は何と言うのですか?」

啄蛇環(ついへび たまき)よ」

「おお、失礼ながら畏れ多き名前ですね」

「たぶん、あなた恐れ多いで使っているわよね?まあ、いいけれど」

「凍雲氷結さんは、ご存知ですよね?」

 知っていてください、お願い!


「ええ、まあ」

 …せーふ!


「あの子さ、最近めちゃくちゃ感じ悪いんだよね」

「あ、そう見たいなんですよね。彼女も、それは分かっているようなんですよね」

「へえ、そうなんだ。じゃあ、どうしてやめられないの?」

「それが分からないんですよ。何かありませんでしたか?そのきっかけさえ分かればなんとかなりそうですし」

「…特には、無かったと思うけどね」

「じゃあ!」

「な、なに?顔近い!」


「茶道部に入れてもらえませんか?」

「…あなたを?」

「いえいえ、氷結さんです」

「…入れてどうするの?」

「茶道って、心を清らかにしますよね?」

「…まあ、私もイライラしたときに点ててリラックスしようとしてるから」

「だったら、応急処置としてでも、役立つと思うんです!」

「…なるほど」

「どうですか?」


「…ふふっ。意外と神様って、人間臭いのね」

「神怪だって、人間ですから」

「…なるほどね。まあ、いいわ誘ってくる」

「ありがとうございます」

 とりあえずの応急措置は、できたかな?



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