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神怪だって、人間です!!  作者: サツマイモ
神怪・新章突入篇
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かのとみデーティング 朝3時の訪問者

喫茶店勤務の朝は早い。


本都所属の公務員にも拘らず、本都に楯突いた手前、のこのこと本都勤務に戻るわけにもいかず(十六夜さんは用意してくれたけれども)、こうして神那ちゃんと共に喫茶店を経営するに至ったわけなのだが、何しろ己卯家は総じて喫茶店経験者の為、結構本格的なのだ。


「私は、サンドウィッチとかモーニングをよく作っていたからねえ。そのおかげで料理がうまくなったのよ」

「僕は母さんがモーニングを作る傍ら、コーヒーを淹れていたよ。なるべく美味しく淹れられるよう苦労したものさ」

という、頑張りやな皆さんのおかげで、今日も3時起きです。


「あの、さすがに早いと思うんですけど…開店8時ですよね?」

「まあね、でも色々準備しないといけないから」

「さいですか」


こんな時間に起きたところで業者もまだ仕事をしていないだろうから、掃除する以外に仕事はない。


「足助さん、床掃き速くなりましたね」

「まあね、これだけ仕事を重ねればうまくなっちゃうよ。片手間でもできちゃうよ」

「片手間でやらないでください」

「はい、すみません」


机や窓をきれいに拭けば、今日もまたピカピカなお店の出来上がりだ。


ガラン


「はあ、はあ、はあ、はあ」

突如空いた店の入り口は、いつもの平和になった毎日とは全く異なる光景が広がっていた。

未だ太陽が昇っていないがために薄暗い街が、なお一層この人の凄惨さを物語った。


「ああ、いやすみませんまだ開店前なんですけれど…」

「お前に用はない」

「…と言われましても」

己卯戊辰(きぼう いぬたつ)はいないか」

「僕だけど?」

「お前か、うちの娘に手を出したってやつは」

「…え?」

「そうなのかい、父さん?」

「い、いやいや違うよ!」

「お父さんはそんなことできないですよね」

「そ、そうだよ!」


「いったん落ち着きましょう、ね。戌辰さんも戊子いぬこさんも座って」

「じゃあ、私はコーヒー出しますね」

「ありがとう、神那ちゃん」

テーブル席の一角に皆を座らせて、微妙な空気の中に、淹れたてのコーヒーを置いて話をする。…怖えよ、この状況。


「あ、あの…じゃあお名前の方を」

「俺の名前は辛巳壬午かのとみ じんご

「何があってここに来たんですか?」

「なんだ、小僧。探偵気取りか?」

怖い怖い。ただでさえガタイが良いのに顔を近づけられたら何も言えなくなるよ!


「いえ、そんなつもりじゃ」

「まあいい。うちの娘が昨日友人と遊んでくると言ったっきり帰ってこなくてな。今さっき帰ってきたんだ」

…それは、朝帰りと呼ばれるやつですかね?


「それで問いただしたら、ここのオーナーと遊んでいたっていうからここに来たんだ」

「…ほええ、なるほど」

「でも、僕は昨日の閉店後から外に出てないからねえ」

「確かに、それは私も見ていました」

「となると、お宅の勘違いってことではないですか?」

「…娘は、お金をもらっていた。」

…それは、かの有名な援助なんちゃらという奴ですかね。


「父さん、まさか」

「いやいや、してないしてない!」

「今、娘さんは何をしていますか?」

「家内と喧嘩の最中だ」

「…大変なこっちゃ」

「戌辰さん、本当にやっていないんですよね」

「やってないよ!」


すると、神那ちゃんは何か発見したかのように立ち上がって上擦りながら質問をした。

「もしかして、なんですけれど…今までにも朝帰りってありましたか?」

「…ああ」


「足助さん、ちょっといいですか?」

「え、ああ、うん」

呼び出されてついていった先は、神那ちゃんの部屋だった。

「どうしたの?」

「ついこの前、羽天さんから聞いたんですけれど」

「うん?」

「もしかすると、神怪かもしれません」


「おお、ついに神怪もそんな感じで見つかる時代が来たのか」

「そんなこと言っている場合では…って、特に害もないですし別にいいんですけれどね」

「ちなみに、どんな神怪なんだい?」

「たぶん、多種多様な、ありとあらゆる男の人と繋がりを持つことを悪いこととしていないというタイプの神怪でしょうか」

「…つまりは」

「それは、言わないでください」

「…はい」


「まだお子さんなのでしょうし、早めの教育で何とかなるとは思いますが」

「よし、じゃあそれを伝えよう」

先ほどの気まずい空気に戻ろうとするも、その空気はとっくになくなっていた。


「そうそうそう!だから言ってやったんだよ、僕は童貞だって!」

「ハハハッそりゃあ、辛えな!」

「そうでしょ!」

ほぼ同世代の彼らなので、話が合うらしい。


「それにしても、やんちゃ盛りなんだね、お子さん。今いくつなんだっけ?」

「14だよ」

「まじっすか」

「だからやめさせたいんだよ。こんなことは、悪いことだって」

「でも、何度言ってもわかってくれないんだよ。誰が言っても何を伝えても」


「あの、すみません。少しいいですか」

「ああ、なんだ小娘」

「落ち着いて聞いてください」

「うん?」

「あなたの娘さんは、完全なる少数派です」

「…少数派?」


「簡単に言うなら、神怪です」


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