ちのさきハント ついに対決の時!
「それでさあ、咲姫さん。先輩がまた無理難題押し付けてきたんだよ」
「それは大変ですねぇ」
「ここだけの話、北方諸島は全て爆破するらしいよ」
「そうなんですか?それは、私達としても見過ごすわけにはいきませんね。いくら険悪な関係とはいえ、暴力行使は許されざる好意ですから」
「…やっぱり、そう思う?」
「そうですよ!私が総理のところまで行って一言言ってやりたいです。そうだ、それがいいです!大臣さん、本都まで連れて行ってください!」
「それは、なんというか、僕の仕事にもかかわるから、うんとは言いづらいんだよね」
「じゃあ、私だけでも行かせてください」
「そ、そんな悪いよ!」
「いえいえ、これは私達、神様の仕事でもありますから」
「…分かったよ。じゃあ、秘密だけど、抜け穴教えるから」
「ありがとうございます」
こうして、いとも簡単に大臣は私たちの計画の仲間入りを果たした。やはり、虜の能力はいまだ健在のようで、後輩ちゃんの方も、少し時間はかかりましたけれど、うまく行ったようです。
「いやあ、なかなか真面目な方で難しかったですけれど、ようやくここまで来ましたね」
「そうですね、後輩ちゃん」
というわけで、私達がいるのは、総理大臣がいつも駐在している建物の裏側にして、地下のお部屋でした。
ここは、明かりがあまりついておらず、その薄暗さが禁忌感を作り出すことで、私達が悪者のように感じられて、これから総理室に侵入するのを少し憚られてしまいますが、そういうわけにもいきません。中には味方をしてくれた大臣がいますし、何より私たちがうまく一般の人と付き合えるかどうかが懸かっていますから。
そうです、私達は、託されているのです。
「よし、行くよ」
「はい、先輩!」
埃っぽい階段を上りきると、ドアのような物が見えました。
ゆっくり、ゆっくりとその扉を開ければ、私達は総理と直接対決ができる。
そういう手はずだったはずなのですが…
「よく来たね、茅野咲姫君。そして、恙蒼葉君」
「…こんにちは、総理さん」
「今日は何の用かね?まさか、私達の方針に文句をつけようとか言うのかね?」
横には、少し前まで歓談をしていた大臣さんたちがいました。
「…すみません、捕まってしまって」
「住民の意見を、聞かないというのですか?」
「いやいや、そんな事、そんな野蛮な行為はしないさ。我々だって、信頼は大切だからね」
「それにしては、いささか傲慢なやり方をしているように思えるのですが。北方諸島の件は特に」
「確かに、その件に関してはつらい決断だったよ。少なくとも、住民には自慢できるようなものではなかったね。しかしながら、この島の住民は、約半数、それ以上が君たちのことを忌み嫌っているんだよ。誰が、批判するのかな?」
「どうして、そんなにフラグを立てるのがお好きなんですか?総理さん」
「フラグ?ああ、端から見れば旗を掲げるということはそんなに意味のないことなのかもしれないな。でも、自分の国の旗を掲げるというのは誇らしいことなんだよ」
「じゃあ、国旗の隣に、白旗でも掲げてくださいな」
「なんだと?」
「なんだと、とは私たちの台詞です。一応、ここでは神様なんですからね?」
「戯言を」
「では、そこのあなたの器より100倍は大きい窓のカーテンを開いて、ちゃんと住民の残り半数と向き合ったらどうですか?」
「ふん。飛んだ戯言を。もしそこにいなかったら、どう責任を取るのか、楽しみだわい」
「じゃあ、開けてみてくださいよ」
薮坂君、白金さん、神那さん、炎香さん、三波さん、羽天さん。誰でもいいからそこにいて!お願い、ここまで啖呵切っちゃったらもう引き下がれませんから…お願い。




