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神怪だって、人間です!!  作者: サツマイモ
少数派・革命編
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いちげオーバーターン 斬新な解決法

「ただいま、お父さん」

「おお、お帰り。今日はどうだった?…おや、友達かい?」

「うん。まあ」

「そうかそうか、友達を呼ぶだなんて旱ちゃん以来じゃないか?友達少ないんじゃないかと思って心配していたけれど、うまくやってるみたいじゃないか」


「どうも、エラニア・マギアと申します」

「どうも。海外の方なんですか、この島の生活には慣れましたか?」

「ええ、おかげさまで」

「そうですか、なら島長冥利に尽きます。もっといろいろ貿易を盛んにさせたいんですけどね…なんて、ここでする話でもないけど…」

「ども、涼風羽天と言います」

「こんにちは、こちらはずいぶん綺麗なお方ですね」

「いえいえ、ありがとうございます」


「ねえ、お父さ」

「そうだ、皆に食べさせたいものがあるんだ。ちょっと、そこのソファに座ってくれるかい?」

「ええ、分かりました」

「この前本都訪問の際に、おいしそうなものを見つけたんです。うちの家内は、こういうのが大好きでね」


「…これは?」

「本都焼きって言って、もちもちのパンの中に色々果物が入ってるんだ」

「イチジク入ってたりしますか?俺様好きなんすよ」

「ああ、もちろん。この島の特産品はイチジクだからね。僕もよく食べるんだ」

「よっしゃ」

「では、頂きますね」

「どうぞ、食べて」

「おお!外がふわふわしてて、柔らくて、蕩けそうなんですけど、そこを我慢して噛むと、中から果汁がじゅわあって流れてそれがまた少し酸っぱくてとても美味しいですね!」

「そんなに食レポしてくれるんだね、羽天さんは。そう言ってもらえて買ってきた甲斐があったよ」

「ほんとだ、めちゃくちゃうまい!!」


「あれ、そういえばいちげ、何か話したそうにしてたよな?なんか、遭ったのか?」

「あ、あのね」

「うん」

「僕、というか私は、女の子でありたいんだ」

「…やっぱりか」

「ん?やっぱり?」

「あれあれ、やっぱりってどいうこと?俺様の頭が追いつかねえぜ」


「ご存知でしたか」

「ええ、羽天さんはやはり頭が良いんですね」

「まあ、私の脳は世界そのものですから」

「なるほど…それは、面白いね」


「たぶん、幼少期から何かしらの前兆はあったんじゃないですか?可愛いものが好きだとか」

「すごい、ご名答だよ。うちの家内は可愛い物とか、とにかく可愛いものが好きでね。小さいころによくドレスのようなものとか着せてたんだよ。嫌がるだろうから止めなよと言っても、聞いてくれなかったな。

 でも、この子は嫌がらなかったんだ。自ら率先して着るとかそういうことはなかったんだけど、でも嫌がったりはしなかったんだ。

 そのころからは、心の隅の方でそうなんじゃないかと思ったから、なるべくスポーツとか、勉強とかを中心に日々をこなさせて、可愛い物からなるべく離そうと思った。

 男として生まれたからには、可愛くなりたいというものは少しいけないと思うしね。

 まあ、でも分かっていたことだし、いつかは告白されることだと思っていたから、そこまで驚きはしないかな」


「じゃ、じゃあ」

「それとこれとは話が別。こんなものは認められない、認められるはずがない、認めて良いわけがない。

 いちげは、確かに一人の人間だ。そこは認めるべきだし、よくやっていると思う。

 でも、それではダメなんだ。この島に、君は必要な存在だ。それは父さんが一番わかっている。

 だからこそ、そういう少数派であることは、隠さなければならないことなんだ。

 どれだけの人が、この島そしてその近隣の島で、少数派として忌み嫌われ、自由に暮らせなくなるどころか、生きることさえ難しくなっているのか。

 他の大国はそういう差別をなくそうとしているが、それも難しい。ましてや、この本都はそれを許さない」

「そんな」


「俺様には、少し難しいぜ」

「じゃあ、自らが多数派になればいいんじゃないですか?」

「ああ、だからそう言っている」

「そうじゃなくて。変えるのは、自分達じゃなくて社会ですよ」

「…どういうこと?」


「お、俺様ピンときちゃったよ!!わかっちゃったもんね~」

「え、教えてください、エラニアさん」

「いちげちゃん、多数派と少数派に分かれてるのは分かるよね?」

「ええ」

「多数派を排除すれば、あるいは少数派がこの区別から独立してしまえば?」

「少数派だけの街が出来上がる」

「そういうことだよ!!」

「なるほど…これが作戦なんですね」

「だと思うぜ!」


「どうですか、お父様。ここで一度、独立を考えませんか?結構貿易も苦しくなってきたんでしょ。噂に振り回されるのも嫌でしょう?私たちと手を組んで、一緒に独立しませんか?」

「…でも、それは」

「幸いにも、他の大国はそういう差別をなくそうとしています。少なからずは手助けしてくださいます。それは、多分それぞれの大国の利益の為でしょうけど」

「…勝算は、あるかい?」

「考える価値は、あると思います」

「…一度、考えてみるよ」


「あと、一ついいですか?」

「なんだい?」

「さすがに、大事なものの複製は作れませんか?」

「…おっと、これは参ったな。降参だよ。いや、こういうべきかな。降参よ、よく分かったわね」

「さっき言ったでしょ、私の脳は世界そのものですよ。半分運でしたけどね」

「なるほど、涼風羽天は、面白いな」

「そう言っていただけて光栄です」

「話がさっぱり見えないんだけど…」

「いちげちゃんは、遺伝だったってことだよ」


 島長は、男のふりをした女。

 その妻は、女のふりをした男。

 その子供は、女になりたい男ってことだよ。

 これで、私の仕事も終わりだ。後は任せたよ、皆。


 早く帰りたい。


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