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神怪だって、人間です!!  作者: サツマイモ
少数派・革命編
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いちげオーバーターン 未来の為に今決心の時

 羽天さんの言葉が、私の心臓を動かした。心とはどこにあるものなのか分からない、というかそもそも実在はないと言われるが、この瞬間の私は、その意見に対し、苦言を呈さなければと思った。


 確かに、胸のあたりに存在していて、私の感情をかき混ぜ、ぐちゃぐちゃにした。今の状況をカオスと表現したが、今の心情の方が渾沌としていた。


 心を落ち着かせるため、血流をなだめるため、脳を整理するために使う時間には、ある程度の長さが必要だった。ゆえにすぐに反応できなかったのは許してほしい。


「確かに。最初は俺様も追いやられてきたからな」

 エラニアさんの言葉で、ようやく他の人のことを見れるようになった。

「もしかしてだけど、だからじゃないかなって思う」

「と、言いますと?」


「皆が、追いやられるような状況は生み出したくない。そういう状況を生まないようにするためには、皆に合わせる必要がある。だからこそ、皆と同じような人にならなければならないってこと…だと思う」


 とっさに出てきた言葉の一つ一つは、決して私の本心なんかじゃなくて、きっと父親ならそういうんじゃないかなという、妄想にして想像の産物だった。


「ほほう。なるほどねぇ。確かに一理ある」

 俺様は、嫌いだけどね。

 そうつぶやくと、エラニアさんは飲み終えたコーヒーのグラスに入っていた氷をストローでくるくると回した。


「私も、作戦としては間違っていないと思う。でも、嫌いだな」

「で、でも他に、どうしろって言うんですか?これが、多分一番の最善策で、私みたいなはぐれ物は、普通に均していかなければならないでしょう」

「それで、君は良いのかい?男の子になれるのかい?」

 エラニアさんの質問は、さっき発見した心にぐっさりと刺さった。


「…父親の前では、いつもそうしてますし」

「そろそろ、きついんじゃないの?」

「…いえ、そんなことは」

「私たちに、考えがあるんだけど」

「俺様は、その考え知らないけどな」

「…考えって?」

「おい、無視かよ!」

「うーん、耳障りだなあ、あっち行って」

「俺は虫か!!」

「…それで、考えって?」

「君は、お父さんにそれを伝えれば良い。きっとそのお父さんも切羽詰まっているはずだからね」

「…どういうこと?」


「さっき街を見ていた時に、ふと思ったんだ。確かに景気は良いし、明るい街だけど、異様に貿易船が少ないなあって。この島は、結構本都との貿易に偏っているはずでしょ?でも、うちのっていうか前住んでいた島より、若干少ない気がしてね。もしかすると、習い事に無理やり行かせているのにも訳があるのかも」

 君という餌を垂らして、啜らせる。啜らせて、喰わせて、島民の夢を叶える。

 ぎりぎりの考え方だと思うし、すぐにこれは破綻するだろうね。


「…じゃあ、私が告白したら、この状況は改善されるって言うのですか?」


 この人は、もしかするとイチかバチかで言っているのではないかと思って質問というか、疑問を投げた。しかしこれは愚問に終わった。


「もちろんさ」

「信じていいんですか?」

「ああ。俺様はこの作戦知らなかったけど、羽天っていう奴は結構信頼でそうだ。大丈夫だよ」

 言われるがままに、従うことにした。


 どうなるの、私たちの島は。

 どうなっているの、我々の島は。


「じゃあ、さっそく行こうか」

 お会計はきれいに割り勘で、一円単位まで考えるとは思っていなかったけど、幸い小銭は大量にあったので、事足りた。


「計算速いね、羽天さん」

「まあ、私の脳は世界そのものだから」

「俺様もなかなか頭がおかしいと思っていたが、羽天の方が断然上だな」

「当然でしょ」

「平然とし過ぎです」

「二つの意味で、超然としてるな」

「子の3人で歩けば、町が騒然とすると思ったけど、やっぱり閑静な住宅街であることに関して、間違いではないんだな」

「完全に当たっていますね」

「正確さは、タンジェントみたいだな」

「ごめん、エラニアさんのそれはちょっと良く分からない」

「そこは、俺様的には直角分からないと言ってほしかったね」

「もしかして、数学出来ますよアピール?」

「おい、それは言わないでよ…」

「やっぱりそうか」

「そうなんですね」

 羽天さんと私は、笑みがこぼれた。

「おい、笑うなよ!!」


 こうやって笑えるのは、旱ちゃんとの会話以外ではありえなかった。

 皆私のことを知れば、知らず知らずのうちに話さなくなって離れていって、気づいたら、一人だった。

 孤独で、孤立してて、独立していて、独善的になりそうになっていた。それを助けてくれたのが、旱ちゃんだった。


 旱ちゃんは、お父さんに話すことを、賛成するのだろうか。

 きっと彼女なら、私のやりたいことなら全部賛成してくれそうだ。


「あ、旱さん呼ぼうか?番号なら教わったし」

「…え?」

「と言っても、私が携帯持っていないから、公衆電話だけど」

「…大丈夫ですよ」

「あら、そう?ならやめとこうか」

「それにしても、仲良くなるの速くないか?俺様には人間の友人なんていなかったからその辺よく分からないんだけど」

「私も、びっくりです」

「先手必勝。そういうわけさ」

「ほえ」

 意外とためになる話をしていたら、いよいよ私の家に着いた。


「緊張してる?」

「リラックスだよ」

「ありがとうございます。羽天さん、エラニアさん」

 よし、言うぞ!


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