やぶさかスクール 午前中
1時間目、理論科。医者を目指すわけでも、学者もちろん教師にもなる気がないので、この時間は勉強というよりも雑学を知るという気分で先生の話を聞く。
一方、泉希は獣医になりたいらしく、真面目に聞きながら、ノートにメモを取っている。先生の話を聞いている間は、いつも以上に目をキラキラと輝かせている。その姿はさながら学生のようであり、同じ学生として誇らしくもあり、感心させられてしまう。
その点、蒼葉はある程度話を聞いているようではあったが、力が入っておらず、ただ成績の為にしぶしぶ授業を受けているようだった。
まったく、クラスメイトでありながら、どうしてこんなにも差があるのか。否、クラスメイトだからこそそれぞれに違いがあるのだろうか。
それぞれが同じところにゴールがあった初等科とも違うのだ。
やりたいことを見つけた者は、この世で一番光り輝いている。
まあ、光り輝くということは、周りにとってみればまぶしくて邪魔な存在ということも起こりうるので(出る杭は打たれるというやつだ。)、それが絶対的に良いとも言い切れないのが、この世知辛い世の中である。
こうして観察しているうちに、時間は流れていき、気づいたらもう終わっていた。
授業の中で知った知識は、裏の逆は表じゃないってことぐらいだった。
2時間目、歴史科。これは公務員試験の為にも一応勉強しなければならない。ノートを開いて指定された教科書のページを開く。
さっきの視線はどこへやら。泉希は気付くとすでに睡眠に入っていた。一方、蒼葉は相変わらず、聞いているようで聞いてないと見せかけて指名されればきっちり答えるという、嘘みたいな離れ業をやってのける。
まあ、今日はすごくおもしろかったので、すらすらと鉛筆が流れていく。
先生の話もすごく乗ってきて、余りにも没頭しすぎたため、時計を見ることなく終了はチャイムで気づいた。
あれれ、もう終わったの?
「おーい、終わったぞお」
「ふわあ。面白かった?」
「まあ、結構面白かったよ」
「一人で笑ってたよなあ」
「え、気づいていたのか?」
「まあね、めちゃくちゃ盛り上がってんなあと思いながら聞いていたよ」
これは、すごく恥ずかしいな。
「感情移入できる人は、切り替えが早い人だからね」
「褒められてる気がしねえ」
次の授業は、2時間続きで情報工業科の授業だ。
「くぃず、行くぞー!」
「もっちょとだけー」
「おいおい、遅刻すんぞー」
「やぶっち、任せなさい」
「じゃあ、頼むわ、つつがな」
耳元に近づいて魔法の言葉をささやく。
「早く起きれば、クロワッサン食べ放題だよー」
「え、マジ!?」
「うんうん、大マジ。な、やぶっち」
「え、俺?」
「そりゃもちろん」
物欲しそうなキラキラした瞳でこちらを見つめられたら、仕方がないなと言わざるを得ない。
「やった!じゃあ、行こう!!」
まったくもう。じゃあ、さっさと行くぞ。




