みつはミラクル 仕事前の水。
所変わって、茉釣さんの車の中です。
とんでもないスピードでメーターが上がって、縦横無尽に駆けていくところまでは覚えているのですが、景色が誰も体験したことがない勢いで移り変わっていくのを見て、気絶しちゃいました。
「さあ、着いたぞ!」
「ああ、着きましたか。」
頬を叩いて気を引き締めます。
「絶対助けますから。」
「じゃあ、ここで待ってるよ。」
「え、行かないの?」
「ああ、羽天。ヒーローはその場にいない方がかっこいいだろう?」
「さっきまで弱気だったやつが何言ってんだか。」
「そういうところが、嫌いだ。ノリに付き合えよ。」
「はいはい、そうですか。」
とても仲が良くなっていて、私的には嬉しいですね。
そんな悠長な時間はありませんから、急ぎますけど。
私に迷いはありません。自信の鬼で、確信の塊です。魂まで自意識に包まれてます。何故なら、私は神様になったのだから。妹たちに迷惑をかけていたあの頃とは、違うのです。
同じ3姉妹なら、助けないわけにはいかないじゃないですか。
死んでしまった子を生き返らせることはできないけれど、死にかけている子なら、助けることができます。いえ、助けなければなりません。Canではいけないのです。Mustじゃないと。
柚希さんは、内臓がなくなっても脳は生きているんです。本当は二人とも助けたいです。生きようと踏ん張っているのです。そんな人を見放す、見殺しにするなんてことしたくないのです。
たとえ死ぬことが、自然の摂理であっても。
当たり前で当然のことであっても。
助けられるのは、私だけ。
仕事をできるのは、私だけ。
託されているのは、私。
泉希さんの気持ち、茂雄さんの心情、茉釣さんの心、瑞希さんの体、柚希さんの脳。
全てを託されている私は、神様だ。
「三波ちゃん!」
「あ、薮坂さん!」
「あとは、頼んだよ。」
「はい!」
こうして私は、活躍する。暗躍する。脇役なんかじゃない。大切な人の為に走る私は、ヒロインそのものだ。自らの能力を活かし、人を生かす。
きっと大切な人というのは、自分を変えてくれた人なのだろう。人生に、最も影響した人をさすのだろう。
泉希さんにとっての瑞希さんや柚希さんのように。
茉釣さんにとっての泉希さんのように。
私にとっての足助さんのように。
大切な人がいなくなるという恐怖を、私は感じたことはないですけど、凄く寂しく悲しいことであるというのは、分かります。
だから私は、託された命のバトンを胸に、仕事を全うする。




