表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神怪だって、人間です!!  作者: サツマイモ
神様・水神三波編
37/140

みつはミラクル 決断の水。

「では、ここからが本題です。茉釣さん、私たちにどうしてほしいのか話してくださいな。」


 吉備団子を要求しているかのような手つきですが、彼女はいたって真面目です。ええ、真面目ですとも。こういうフォローされている時点で、惨めとも言えますが。


「こういうのって緊張するな。いつも頼る側じゃなくて、頼られる側だったから。」


 苦笑いを浮かべる茉釣さんの顔は、すぐに真剣そのものへと変化していった。

 ぎゅっと手に力を入れ、すっと力を抜く。


「もう、陸奥家は正気を保ててないんだ。それもそうだろう。自分の娘たちが、次々とこんな目に遭っている。何か悪いことをしたわけでもなく、何かを怠ったわけではない。にもかかわらず、ひどい目に遭う。そんなの、正気を保てるはずもないだろう。でも、」

 そう言うと、茉釣さんはこちらを鋭い眼差しで見つめました。


 磊々落々の茉釣さんから想像もできない目で、少し驚きましたが、事情が事情です。リラックスとも少し違いますが、落ち着いて聞かなければなりません。


「お父さんは、何とか私に、言ってくれたんだ。

『どちらか一方で構いません。私たちの娘を、助けてくれませんか』って。その時さあ、この家族には、この家族の幸せがあったろうに、どうして、二人を助けるっていう選択肢が与えられねえのかなって、理不尽だよちくしょうって思った。」

「じゃあ、お姉さんを助ける方向で」

「そうなんだけど、普通に考えたらそうなんだけど、だがなぁ。」


「優柔不断だな、意外と。」

「羽天さん!」


「自分の…娘じゃないんだよ。彼女たちの人生は、彼女たちの人生だし、他人が勝手にどうこう言うことじゃないだろう?」


「それ、本気で言ってるんですか?」

「だいたい、自分の娘もロクに育てられなかったやつが、決めてもいいのかなって。やっぱり、優柔不断なんだな。最低だよな。」

「それ、マジで言ってるのか?」

「じゃあ、見殺しにするんですか?」

「そういうわけじゃねえけど…」


「少なくとも、あなたは関係者です。いじめ問題でも言うじゃないですか、傍観者も加害者だって。」

「あれさすがにひどいよな、私関係ないっていう態度取ってると怒られるんだぜ。」


「少し話が逸れましたが、つまり茉釣さんは、決める権利があります。というか、義務があるのです。」

「つまりまつりって言ったか今?」

「少し黙ってください。」

「すんません。」


「では、あなたは茉釣さんはお医者さんの気持ちを踏みにじるんですか?お父さんの気持ちを無下にするんですか?そして何より」

 姉妹を、助けたいと思わないんですか?


 心の叫びを、いつも間にか声に出してしまったというのは初めてで、少し恥ずかしさがあるものの、だからと言って間違ったことは断じて言っていない。そう思っています。


「思っているなら、それでいいんですよ。誰も、あなたを責める人なんていません。助けたいって言ってくれればいいんですよ。」

「…そうだな。私は、あの子たちを、助けたい。」

「承知いたしました!やるからには、成功率100%ですよ。」

「あ、言っておくけど死人を生き返らせるとかはできないからな?」

「ああ、分かっているよ羽天。」

「では、向かいましょう。」


「…本当に、できるのか?」

「誰に聞いてるんですか?神様、ですよ。」

「天使だけどな。」

「では、羽天さんは柚希さんのケアを頼みます。」

「合点承知!」


 茉釣さんは、ポケットから何かを取り出します。

 ああ、携帯電話と呼ばれるやつですね。

「もしもし、茂雄か?」

「ええ、そうですけど。」

「まだ瑞希ちゃん死んでねえよな?」

「うん、まあそうですね。ここしばらくは大きな異変もありませんけど」

「よし、じゃあ、ぜってえ殺すなよ。」

「いや、そう言われましても…」

「医者だろ、お前!」

「ひいっ、わ、分かりました。」

「じゃあ、切るから。」


 思いっきり切る茉釣さんは、まさに今まで通りの茉釣さんです。


「あんたたちも、車乗んなさい。」

「え、でも車って…」

「今回は特別。詳しくは見ないこと、帰ったら、忘れなさい。」

「わ、分かったからナイフを突きつけないで、もらえるかな。」

「ロクなことしませんね。」

「ありがとう、一応プラチナリーフの元リーダーだからね。」

「…はは。」

「じゃあ、しっかり捕まりな。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ