みつはヘルプ 加担の水。
天才の羽天さんや、努力家の神那ちゃんとは違って、成績は中の中だった私にとって、人の容姿や風格を完璧に伝えるということは、難しさの極みでした。
身振り手振りを加えながら、身長や雰囲気を必死に伝えているつもりではいるのですが、本当に伝わっているかどうか定かではありませんでした。
「…要は、そのスカイブルーの髪の毛の、幼稚園児くらいの子を探せばいいんですね。」
「いえ、スカイブルーというよりは、シアンって感じです。」
「…シアン?」
「はい、拙い説明ですみません。」
「いえいえ、こちらこそ。あまり芸術や文化って馴染みがないものですから。」
頭を掻きながらすみませんというと、彼は、
「どのあたりを探せばいいですか?」
と問うてきた。まあ、人探しでは当たり前のことですね。
「では、私は本殿の方を探すので、川の方を探してください。」
この神社の敷地というのは、山を取り囲むようにしてあります。そのため、神怪と人間の境界になっているという風に言われています。
「あの…。僕、ここにきてまだ数日しかたってなくて…道とか土地とかよく分かっていなんですよ。」
「…そうですか。じゃあ、この島の土地の紹介もかねて、説明したいと思うので、一回だけで覚えてください。」
時間もないので。
「分かりました!」
「では、行きますよ。」
なるべく端的に話すべく、周りのお店とかは省きました。
スタートは、港から。港を真っ直ぐ出てゲートをくぐると真っ直ぐ目の前に神社があります。これが私たちの神社、水神神社です。そしてその鳥居をくぐってすぐ左に曲がっていくと、一本の川が見えます。川を渡ってすぐのところに羽天さんのお家があります。山を中心としたときの円の、鳥居から出て4分の一地点です。
「…なるほど。ちょっと待ってね。簡易的な地図を描いちゃうから。」
ささっと書いていただける辺り、今世紀最大に焦っているため汗が滝のように流れている私に配慮してくださっているように見受けられ、凄く嬉しかったです。
「では、続きお願いします。」
反対に、右に曲がるとこちらもまた川があります。この二つの川はてっぺんでつながっているものと思われます。というのも、頂上って立ち入り禁止なので。その川を超えて、数十メートル歩いた地点に砦があります。
「砦…。」
「茅野咲姫ってご存知ですか?多分本都なら知らない人はいないかと…」
「ああ!聞いたことがあるよ。そういえば、その人が原因で本都が大変だったとか言いてたな。まさか、同級生がその後を継ぐとは思わなかったけど。」
「その時はすみませんでした。」
「なんで、君が謝るのさ。どういうことがあったのかは知らないけれど、誰だって100%被害者ってことは難しいからね。」
「と、言いますと?」
「もちろん、無いわけではないけれど。普通の人同士でぶつかり合った場合、二人ともに非があるのさ。」
「被害者にも、問題があるということですか?」
「厳しいこと言っちゃうとね。だって、そのことに対して、対策はして来なかったんだろう?」
「対策のしようがなかったということも、ありそうですけど。」
「違う違う。それは言い訳に過ぎないって。だって、そうじゃなきゃ皆が同じ不幸を背負わなきゃいけない。自分だけ苛められているというのは、それだけ自分にも何かがあるということだよ。」
「…。」
「ああ、そんなこと言っている場合じゃなかったね。じゃあ、俺はとりあえず羽天さんだっけ?そっちの方に行ってみるよ。」
メモをポケットに突っ込んで、彼は走り出した。その入れ方は、力強く、否苛立ちがこもっていたようにも見えた。何か、後悔しているような、そんな風に。




