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神怪だって、人間です!!  作者: サツマイモ
前日譚・神怪たち篇
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すずかぜビジター 快適な早朝

 私が語り部だと言えば、もしかすると大層な崇高で高尚な語りが聞けると、聞くだけで気持ち良くなれると、本気で勘違いされそうで大変恐縮ですけども。って思ってもない恐縮なんて言葉を使って皆さんと同じですよと膝を摺り寄せました。胡麻を摺りました。でも、だからと言って別に後悔も反省もしていませんけどね。


 確かに、できなくはないです、高尚な語りってやつは。むしろ、私としてはそっちの方が楽ですよ。でも、そういうわけにもいかないですよ。レベルは合わせないと、同じ土俵に上がらないと、ちゃんとした話って聞こえてこないですからね。自分だけわかっていたとしても、相手が分からなければ意味がないし。いたでしょ、生徒にすり寄らないで授業する先生とか。全然伝わってねえよ、お前の話って言いたくなったね。


 ともあれ、私がその崇高で高尚な話をするにあたって、皆さんの教養もある程度必要なんですよ。独自の言語をつかうことになるだろうし、数学的思考も必要だしね。化学的な知識や、生物の実態、物理的な考え方、地学的な常識、歴史的な背景、現代社会の情勢、倫理や地理なども考慮したうえで、全てを把握し理解したうえで聞いてもらうことになる。そうでないと話が分からないだろうし。というか、話にならない。門前払いもいいとこだ。いわゆる論外ってやつだな。


 それで、ムカつく、何言ってるんだ、馬鹿にしてるのか!と叫ばれたらこう答えるしかない。そうだよ、馬鹿にしてるんだよと。まあ、というか、進んで馬鹿になっているのはあなた方だよと言いたい。すべては皆さんが勉強に対する努力を見誤って誤判定して、勝手に失望して怠慢になっただけでしょ。怠慢で倦怠で怠惰だったんでしょ。


 だからって昔みたいに、というか今もその傾向が強いけど、突き放して自分の世界に浸るというのは、やっぱり子供っぽいし。ここは大人しく、皆さんのレベルに合わせようじゃないか。

 さあ、ここまで言えば反感を買うのは目に見えている。喧嘩を売るのはこれくらいにして、今日の天気で思い出したあの日の話をしよう。


 春ほど花粉がきつくなく。

 夏ほど暑さがしんどくなく。

 秋ほど銀杏の匂いが辛くなく。

 冬ほど寒さが強くなかったあの日。

 私は、薮坂足助(やぶさかたすけ)と出会った。


 目が覚めると、今日は過ごしやすい一日だと、窓も開けずにカーテンを開くことなく確信した。私の直感って意外と当たる。少し伸びをして、布団から出る。布団をたたんで押し入れに入れたらカーテンを開ける。思った通り、雲が一つ二つあるくらいの、気持ちいいくらいに鮮やかな青空が広がっていた。部屋を換気するために窓を開けると、強すぎず弱すぎない、まるで私が操作しているかのように心地よいそよ風が吹いてきた。


 そろそろお気づきかもしれないのでこの辺で小芝居をやめて、本当のことを言わないといけない。天使になった私は、風と天の使い手と言えば中二病っぽいがそんな感じの能力を備え持ったのである。そこから転じて、風邪や天体、天気までも操れたりする。といっても天気はある程度バランスを保たないと三波ちゃんに叱られてしまう。 


 身長こそ小さいゆえ、あまり覇気は感じられないが、あの子に叱られるというのはやはりそれなりに傷つくものがある。唯一の友達だからね。友達を失うのはすごく心が疲れると分かったのは人間時代だったかな。

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