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神怪だって、人間です!!  作者: サツマイモ
学問に可能な限りの愛をこめて
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すずかぜクラス 憩いの12月

街はすっかり銀色になった。

まあ、世界が金色に煌くよりは数段マシではあるのだが、しかしながら寒さにはやはり抵抗がある。というか、抵抗したくなる。抗いたくて仕方がなくなるが、今自分の持てる能力を使ってしまうと、消滅させられるという枷がかけられているため、私にはどうすることもできない。


まったく、別にいいじゃん、それくらい。


「駄目だかんね。いくら涼風さんがうまくやっても、風当たりが強くなるのは、私達なんだから」

「分かってるよ、炎香ちゃん」


涼風さんと炎香ちゃんという呼び名で仲良くお茶するようになったのが、この時期で唯一の良い出来事だ。

学校近くにあるもんじゃ屋で、女の子二人がぐだぐだしゃべるのも、一興だ。


「どうなの、最近の若者は」

「そういう炎香ちゃんこそ、若者の街を治めているじゃないか」

「でもさ、こっちは働く者。そちらは、勉強する者。全然違うんだよ」

「そうか…あ!」

「うん?どした、涼風さん」

「講習会、炎香ちゃんに頼めばよかった!」

「何、講習会とかあったの⁈ていうか、働く人とかいるの?」

「ごくわずかだけどね」

「へえ。まあ、全員が全員、勉強しなくてもいいしね」

「炎香ちゃんも、そう思う?」


「うん。神怪でも、そうじゃない?皆が皆、育成を選ばなきゃいけないってわけじゃないし、それと同じくらい、抑制を選ばなきゃいけないわけじゃない」

「…抑制と、育成ねえ」

「涼風さん、教育の現場だと、特にそうじゃないの?」

「まあね、そうなんだよね」

「聞かせてよ」


「個人情報は控えさせてもらうけど、家族とうまくいかないから、神怪になる。つまりは、育成を選ぶっていう子がいてね」

「ふうん」

「もちろん、そいつ自身の意思も尊重したい気持ちもあるんだけど、その分だけ、家族の意見も尊重したいんだよ」

「なるほど」


「炎香ちゃんのところにはあんまりいないの?そういう子」

「まあ、こちらもいるよ。私今、(おさ)とは別にちゃんとした悪魔としての仕事もやってるから」

「悪魔としての、仕事があるの?」

「実はね。残念ながら、当然のように」

「そうなのか…」


「そういえば、涼風さん」

「うん?」

「最近、預言者的な発言、減ったよね」

「え、そう?」

「うん。なんか、普通の人間っぽくなったというか」

「…そう、かな?」

「まあ、街に溶け込むためには必要なことかもしれないけど、神怪としてはそうとうまずいと思うよ?」

「え、そうなの?」


「うん。何度か見たことあるけど、自分のアイデンティティ、というか神怪になった要因を見失うとね、消えちゃうんだよ。まあ、消えるというか、人間に戻るというか」

「…それって」

「うん。うちらには、記憶が残らないってこと。たぶん、薮坂とかも同じようにね」

「…それは、まずいな」


「でも、能力を発揮すれば、消滅させられてしまう」

「…もしかして、脅してる?」


「悪魔だからね。逆に助かってるよ。私には、お仕事がある。悪魔としてのね」

「…じゃあ、私も天使としての仕事があれば、いいのか」

「お、おや?天使としての仕事とは?」

「まあ、天使だからね。幸福をもたらすような仕事だろうな」


「天使か…意外と、仕事少ないよね。死者を届けるくらいしか」

「すごいな、偏見が」

「でも、実際どうなの?」


「そうだな…ひとまず、悪いことしているやつを見つけ、退治する」

「なるほど…」

「教師としてのメンツも保てるし、天使としての仕事もできる」

「おう!いいじゃん。じゃあ、さっそくあそこの小学生の道を正してきなよ」

「うん、まあ、でも、明日からね」

「やる気ねえな、おい」


とりあえず、それくらいの姑息な手段で逃げられるほど、緩くはないことが分かったからね。

窓の外の小学生の隣に、神那ちゃんが持っていたものと同じ教典らしきものがあったから。


「ねえ、あの教典ってさ」

「あ、喋らないで。気づかれる」

「涼風さん。頑張ってね」

「諦めが速いよ!」

「どうする、どうする?」


「ええと、とりあえず」.

3.14159 26535 89793 23846 26433 83279 50288 41971 69399 37510 58209 74944 59230 78164 06286 20899 86280 34825 34211 70679 82148 08651 32823 06647 09384 46095 50582 23172 53594 08128 48111 74502 84102 70193 85211 05559 64462 29489 54930 38196 44288 10975 66593 34461 28475 64823 37867 83165 27120 19091 45648 56692 34603 48610 45432 66482 13393 60726 02491 41273 72458 70066 06315 58817 48815 20920 96282 92540 91715 36436 78925 90360 01133 05305 48820 46652 13841 46951 94151 16094…


「マジか、涼風さん」

「こ、これでセーフ?」

「すごいけど…、一応あれ、ドッキリだよ」

「なんだ、どっきりさせないでよ」

「それをいうなら、びっくりさせないでよ、じゃないの?」

「そうだっけ、アハハっ」


雪の降る12月。彼氏のいない者同士の、クリスマス。


こんな平和な日が来ることも、昔では想像もできなかっただろう。


まあでも、私の中では、もう少し先も見えているんだけどね。


神怪も人間も差別も区別も選別も万別もない、そんな未来が。


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