きぼうウェディング 後編
帰り支度を早々に済ませて帰路に立っていた私たちの空気は、自然に気まずい物へと変わっていった。
「…あ、あのさ」
「え⁈は、はい」
「良かったら、なんだけど」
「…はい?」
「あ、明日さ。喫茶店に残ってくれないかな?」
「…つまりは、プロポーズと」
「…は?!なんでわかったの?!」
「それくらい、推理と推測で何となく」
「…マジかよ」
「もしかして、私にサプライズをしようとでも?」
「お見通しってわけか」
「御御御付ってことですね」
「お味噌汁の話はしてないよ?!」
「じゃあ、こちらから、ご提案があります」
「…提案?」
「こちらで、プロポーズの言葉をご用意させていただきます」
「…それって?」
「私としても、こういう時の為に、10種類ほど用意しているんですよ?」
「どういう時の為だよ!」
「じゃあ、紹介していきますね」
「天才のやることは、本当に意味不明だよ」
「概ね、羽天さんからのご提案なんですけどね」
「あいつ、人のプロポーズを何だと思っているんだ!」
「兄貴には、それくらいのプレゼントをしたいとかなんとか」
「…兄貴?」
「心中御察ししてあげてください」
「…まあ、いいや。で、その10種類って?」
「まずは、①フリー。つまりは、自由ってことです」
「なるほど」
「続いて、②政治家風。君を幸せにするには、君の聖なる一票が欲しい。もしくれるのであれば、俺は必ず君を幸せにする。これが、俺のマニフェストだ」
「さすがに、それはきつくないか?あと、聖なるじゃなくて清きだしね」
「だと思います。続いて、③インタビュー風。そうですね、まあでも、相手のことをしっかりと考え、思いやることで、二人のこれからの幸せは、見えてくるんじゃないかと思いますね」
「誰に言うんだよ、その台詞!」
「続いて、④中二病風。未来永劫、我に忠誠を誓え。そして、我の名のもとに、生きることを誓え。そうすれば、恒久の幸福を、そなたに授けることを約束しよう」
「それって、中二病というより、中世の人っぽくない?」
「確かに。三波さんが好きそうです」
「よくもまあ、こんなに思いつくよな」
「その場で考えているそうですよ。だから、大体10分くらいですかね」
「すごいな、まったく」
「続いて⑤理系風。君が俺を愛してくれると言ってくれた時、俺もまた君を愛しているという確率は、1である」
「…俺、理系じゃないけれど、さすがに理系のやつもそんなこと言わないんじゃないか?」
「まだまだありますよ。⑥変態風。俺の子供を産んでくれ!」
「いきなり雑になったな!というか、そんなこと言われてはいって言えないだろ!」
「さすがに6番を選択した暁には、喫茶店から追い出し流浪の民となってもらいます」
「だろうね!」
「続いて、⑦ひと昔風。君の味噌汁が毎朝飲みたい」
「それで、味噌汁だったんだ」
「その真相は、神のみぞ知るってことです」
「深層心理はバレバレじゃないか!」
「さらに⑧広告風。今なら、俺と結婚すればこちら、掃除機まで付いてきちゃうんです!しかも、お値段そのまま!52000円!」
「金とるんかい!しかも、それって掃除機代じゃん!」
「そして、⑨訛り風。めっちゃ好きやねん、結婚しようや」
「それは、結構いいかも」
「最後に⑩ストレートに。心から愛している」
「なるほど…って、これからいう相手に提案されるとか、恥ずかしさの極みなんだけど」
「どれを選ぶか、楽しみです」
「やりづらえ…」
ともあれ、明日は11月22日。何かの歴史書に書いてあった、いい夫婦の日。




