第伍話 ヴェール脱ぐ、人類最終絶対防衛兵器
「説明しよう! この三機のユニットこそ地球防衛機構、通称エデンが開発した人類最終絶対防衛兵器、スーパータイヘーンスリー!」
「兵器にスーパーとか付けちゃう小学生レベルのネーミングセンスには骨折するほど首を傾げざるを得ないけど、まあ、そこら辺は大目に見てやるよ」
ヤスオのツッコミも意に介さず、ハカセは中央の機体に手をかざす。
「この炎のような真っ赤なペイントの機体が破天君、君が搭乗することになるタイヘーン一号機。天駆ける騎士、フレイムライダー! 起動実験のたびに謎の出火事故が相次ぎ、仕方がないので赤いペイントでごまかした情熱の機体!」
「ふざけんな! 文法的になんかおかしい気がするけど、完全な欠陥品じゃねえか! こんなモンに俺を乗せるつもりなのか! しかも不具合の原因すら究明しないって、どうなのよ?」
「次に! この白い機体がありす君が搭乗する二号機。天空のファンタジスタ、ツインストーム!」
「テメー、人命がかかってる案件までスルーしてんじゃねえ! てゆうか、お前スルーしてばっかりだよな」
「完成を記念して一般公開したところ、某国の軍事基地に配備されたアノ可変式輸送ヘリと間違えられて、近隣住民から苦情の電話が殺到した悲劇の機体!」
「安易なパクリをするからだろうが! 作ってる最中に止める奴はいなかったのかよ!」
「最後に、この黒い機体が三号機。大地の暴君、グランドカイザー! テスト走行の画像をインスタグラムにアップしたところ、某アメコミヒーローが乗る某モービルにクリソツだと指摘を受け、版権会社に訴えられた狂気の機体!」
「それダメなやつじゃん! ガチで問題になるやつじゃん! 全面モザイクかけなきゃ、一般公開すらできないじゃん!」
「以上が、スーパータイヘーンスリーの大まかな機体説明だ。時間の関係で少し駆け足だったが、概要は理解してもらえたと思う」
だが、ヤスオはハカセには目もくれない。
「あのさあ、ありす。俺、ちょっとさっきから微妙に気になってんだけど、このオッサンがくどいほど言ってるスーパーとか、タイヘーンとか、もしかして、ホンマモンのモノホン?」
「ん? ホンマモンって?」
「いや、だからさあ、この三機のメカって、本当に動いたり空飛んだり合体して巨大ロボットになっちゃったりして、スーパーな破壊力を持ってたり、持ってなかったりするのかなあって」
「今更なにおかしなこと言ってんだよ。さっきからそう言ってんじゃん。そうじゃなかったら、一体なんだと思ってたの?」
「いや、てっきりよくできた原寸大オブジェとか、金だけは腐るほど持ってる頭のネジが緩んだオッサンが道楽でやってるソレナニ迷百景的なものかと」
「そんなわけないでしょ。スーパータイヘーンスリーは正真正銘の地球も滅ぼしかねないデンジャラス仕様の人類最終絶対防衛兵器だよ。設計したボクが言うんだから間違いないよ」
「……マジで?」
ヤスオの背中に嫌な汗が流れると同時に、けたたましいサイレンが格納庫内に鳴り響いた。
今回の話で荒死郎がネーミングに関して物申してますが、実は兵器にスーパーと付くのは結構ポピュラーなのだそうです。実は筆者も最近見たシン・ゴジラにスーパーピューマというヘリが出てたの見て、ちょっと不安になってたのですが、その不安は的中していたようです。
なので、あのセリフは荒死郎の個人的な見解とでも解釈していただければ幸いです。
兵器開発関係者の皆様は拙作のことなど、どうぞお気になさらず、心おきなく兵器にスーパーと付けてあげて下さい。この場を借りて謝罪申し上げます。
なお、ご指摘下さった結城 藍人様、ありがとうございます! ちなみに本作に結城川というセクシーアイドルが登場してますが他意はありません。完全なかぶりです。なんかもう、変なところで色々とごめんなさい。つい、最近気付きました。
宣伝になってしまいますが、結城様の巨大ロボットモノ、「これって何か違うんじゃね!? 〜神鋼魔像ブレバティ〜」は、こちらになります。
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本作に興味を持たれた方ならハマること請け合いですよ。