第参拾伍話 見えない焦燥
その頃、地上ではありすの操る二号機とクイーンミダラが交戦していた。
「これ以上好きにはさせないんだからね!」
二号機が光弾を躱し、カウンターでミサイルを撃ち込む。着弾と同時に爆発。
「チッ」
ありすが舌打ちする。ミサイルが直撃してもクイーンミダラは微動だにしない。同時に反撃で倍以上の光弾が飛んでくるが紙一重で全弾回避。流れ弾が周囲の建物を破壊する。二号機は一撃離脱で距離をとった。
「んもー。なんなのよ、あのブンブンうるさい蝿みたいなのは。さっきからチクチク攻撃してくるけど、こっちの攻撃が全然当たんないじゃないのよ」
クイーンミダラを操るベリエザスもまた、二号機の機動力に手をこまねいていた。
「大変申し上げにくいのですが、それはベリエザス様の技量に問題があると思われます。未来予測スキルをキャンセルして、わざわざ地球人のスペックに合わせて戦っているのですから。敵の技量が上の場合、当然結果に反映されます」
「分かってるわよう、それくらい。大体この地球人って連中の肉体が扱い辛いんだからしょうがないでしょ。しかもなんなのよ、このコクピットの煩雑さは。あちこちにレバーやボタンがあるわ、モニターには訳分かんない表示がされてるわで操作しにくいったらありゃしない」
「でもこの星のテクノロジーではそのインターフェースが限界なんですから致し方ないかと。ならいっそのこと思考で操作しますか? それならすぐに落せると思いますが」
「でも向こうもほぼ同じ条件でやってんでしょ? そんなチートに頼るような真似をこの私にしろっての?」
「まあ、このスーパーロボットの存在自体が言い訳のきかないチートなんですけどね。でも、妙ですね。敵のスペックもこの星の文明レベルでは存在しえないオーバーテクノロジーです。さっきからスキャンしてるんですが、不明な部分も多々あります。普通ではありえないことなんですけどね」
「なにさっきからブツクサ言ってんのよ。どうせ向こうの攻撃はこっちに当たりっこないんだし、要は落としゃあいいのよ」
「はいはい。ベリエザス様はそうでしょうね。確かに、我々の負けは万分の一もありませんけどね。でも、なーんか気になるんですよねえ」
「細かいこと気にすんのねえ。マインドダウンがくるわよ。ん? なんかこのレーダーっぽいもんが警告を発してるんだけど」
「ああ、それは恐らく敵の増援ですね。海上に展開した艦隊から艦砲射撃がきてます。今までとは段違いの威力ですよ。あう」
ワットアネントが言い終わらぬうちに防衛隊のミサイルがクイーンミダラに命中。辺りを爆煙が包み、轟音と共にその巨体が地面に沈んだ。




