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第弐拾話 荒死郎まかりとおる

「か、鴨葱ですと? 誰ですそれは。私は通りすがりの一般人ですよ? なにを仰いますやら」

「なに急に裏声で違うキャラ作ってんだよ。お前鴨葱だろ。さっきまで出てたワイドショーと全く同じスーツにアニメのネクタイしてんじゃん。おまけに襟元に付いてんの、それ議員バッヂだろ。後ろの風景も動いてるし、大方さっき乗り込んでた公用車から連絡してるってとこか?」

 悪態をつくヤスオをハカセが制止する。 

「やめんか馬鹿者。このお方をどなたと心得る。恐れ多くも現職の超議院議員、鴨葱正太郎先生にあらせられるぞ。控えい! 控えんか!」

「ほらみろ。やっぱりお前鴨葱じゃねえか。なにがXだ。すっとぼけやがって」

「お前、モノホンの馬鹿だな! せっかく俺がキャラまで作って、ちょっと切り抜けれそうな流れだったのに、全部台無しだよ。お前、もう今年中の博士号の取得はないからな。ノーベル賞級の大発見してもありえないと思っとけよ!」

「なんだよオッサン、人にハカセとか呼ばせといて博士ですらなかったのかよ。経歴詐称じゃねえか」

「こら! 滅多なことを言うんじゃない! ハカセはあくまで愛称だからセーフなんだ。それでお金とか稼いだこともないからグレーですらないんだ。人聞きの悪い!」

 ヤスオとハカセが口論しているとXの怒号が飛んだ。

「いい加減にしろ! お前が博士かどうかなんてこっちはどうだっていいんだ! とにかく、あのロボットがなにをしでかそうが知ったことじゃない。下手に動くんじゃないぞ」

「待てコラ。宇宙から正体不明の巨大ロボットが侵攻してきたんだぞ。そんでもってこっちにも合体巨大ロボがある! こんなに燃えるシチュエーションでなにもするなって、そんなのありかよ! 男の子なら、ここはやっぱり合法的に街を破壊しつつ、巨大ロボット同士の肉弾戦てやつをを心ゆくまで楽しんでみたいじゃねえかよ!」

「だからそれがまずい、つってんだよ! ひとの話を聞けやこのハゲ! おい権護! なんだこの小僧は。さっきから天下国家のために尽忠報国する国会議員様に向かって反抗的な態度ばっかりとりやがって! お前もロボッ特区の総支配人なら、従業員の教育はきちんとやっとけ!」

「なんだとこの腐れ族議員が! この天才エースパイロットの破天荒死郎様が大人しくしてりゃつけ上がりやがって! じゃあ言わしてもらうが、さっきのワイドショーのぶら下がり会見、ありゃなんだ! なにも言わずに立ち去りやがって。あれが一番、国民感情逆撫でするのが分かんねえのかよ。ああいうときは、まあーそのー、ミゾウユウの事態なんでありますんであります、くらいのひと言でも言っときゃ、好感度がぐっと上がるんだよ」

「やかましい! 好感度を気にして議員がやれるか。どうせお前等国民は批判だけして感謝なんかしないんだろ! だったら黙って税金だけ納めてりゃいいんだ」

「もう頭にきた! それが手前の言い分ならこっちにも考えがあるぞ。俺の舎弟やご近所に呼びかけて、庶民党には金輪際投票させねえ! 支持率調査でも支持しないと答えさせてやる!」

「え? ちょっ、なにそれ? そりゃちょっと大人気ないんじゃないんですか? そんなプロ市民みたいな真似、ガチでシャレになんないからマジやめて。誰にも褒めてもらえないもんだから、仕方なく自画自賛するしかない政治家の気持ちとか考えたことありますう? そういう弱みでも握ったような国民の態度が議員を不正や汚職に走らせる一因になってる部分もあると思うんですけどお!」

「なんできなり女子大生みたいな口調で被害者ヅラしてんだ! 手前ら公僕は読んで字のごとく国民のしもべだろうが! 滅私奉公して踏みつけられて使い捨てにされるのは当然なんだよ。それが嫌なら最初から立候補なんかするんじゃねえ。他にやりたい奴は行列作って順番待ってるんだからよ! 被害妄想も甚だしいわ」

 すると突然ハカセがヤスオを羽交い絞めにした。

「申し訳ございませぬ。面目次第もございませぬ。なにぶん世間を知らぬ若造ゆえ、無礼な言動を偉いものと勘違いしておるのです。こんな若造、相手にしてはXの名折れにござる。ここは広いお心で受け止めてやってくだされ。二度とこんなことがないよう、みどもがこやつに改造手術を施しておきますゆえ、平にご容赦下され」

 そう言うとハカセは床にひれ伏しヤスオの後頭部を掴み、二人して額を何度も割れんばかりに打ち付けた。

「確かにな。私も少々熱くなっていたようだ。今回のことは大目に見てやる。用件は伝えたぞ。血気に逸って軽はずみな真似をするんじゃないぞ。以上だ」

 Xは一方的に通信を切った。ハカセが床に顔をつけたまま唇を噛む。

「なにが以上だ、だ。口利きごときが偉ぶりやがって。どうせ議員なんざ落選したらただの人だろうが。今に見ていろ。このハカセにとっては貴様なんぞ踏み台のひとつに過ぎないんだよ。いつか必ず下克上を果たして、俺の草履取りをさせてやる」

「うわっ、タチ悪っ。やっぱこのオッサン信用できねえわ。正直引くわー。今から鴨葱に謝罪したくなってきたぞ」

 ヤスオがハカセの面従腹背に閉口していると、後ろからありすと鬼椿が声をかけた。


挿絵(By みてみん)

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