第拾弐話 安寧との決別、破局の調べ
「そんなことより大変だよ! 隣の極楽楽座にとんでもない敵が襲来してきたんだ。どんな敵かって? 知りたい? 本当に? ショックで死んじゃうかもしれないから、心の準備はしといてよね。なんと! その敵ってのはスーパーロボットなんだ。インド人もびっくりだよ。インドムービーならみんなで歌って踊るとこだよ。ちょっと待ってて、今、映像に出すからね」
スパイマンはそう言うと手首に装着された機械を操作し、拳を突き出し、なにもない空間に映像を映し出した。そこには極楽楽座の上空に浮かぶクイーンミダラの姿があった。
「信じられん。我々以外にスーパーロボットを完成させた組織がいるとは。これは紛れもなくスーパーロボット。記念すべき起動第一号の座をかっさらうとは許すまじ。しかし見たところ、肝心の合体変形機構はなさそうだ。まだ我々が鼻の差で勝っているな」
動揺を隠せないハカセとは対照的に、ヤスオは冷静に映像を見やる。
「なあ、これ、映像が全然動いてないんだけど、ライブ映像を生配信してるわけじゃねえの?」
「そうしたいのは山々なんだけど、この機械じゃ動画は撮影できないんだ。これは数分前に僕が撮影した画像だよ」
「使えねえな。静止画でも連写してスライドアニメにする機能すらねえのか。もう普通にスマホで撮影しろよ」
ありすが映像を指差しながらクイーンミダラの正体を聞く。
「で? このスーパーロボットって、一体何者なの? 諜報部の報告ではボクたち以外でスパロボの開発に着手した国や組織はなかったはずだよ?」
「おい、安易に略すな。色々問題になるだろ。ここは面倒でもスーパーロボットって言っとけ」
ヤスオがありすをたしなめる間、スパイマンが身振り手振りで説明に入る。
「それじゃ、手短に説明するね。このスーパーロボットはどこの国家や組織にも所属していない。つまり、地球外から飛来したものだ。性能は未知数だけど、地球の軍事力を総動員しても、多分太刀打ちできないだろう。ワオ! 絶望的だね」
「お前のその軽いノリで説明を受けても全く危機感が湧かないんだが。んで、コイツの目的は? やっぱ地球の侵略か?」
「そんな生易しいもんじゃない。こいつの名前はクイーンミダラ。僕たちとは別次元に存在する高次元宇宙意識思念体、女王ベリエザスって奴が僕たちの三次元宇宙に実体化させたものだ。目的は僕ら人類文明の根絶。そして滅亡だ」
「マジか? やっぱ地球人が快楽を貪り、天然資源を吸い上げて欲望の限りを尽くしてるからとかいう理由で、この星を救うためとかなんとか言って攻めてきたのか? ううん、改めて理由を考えると、それもやむなしという気になってきたぞ。てゆうか、諜報部凄えな。もうそんなことまで掴んでんのか。高次元宇宙ナントカって、どうやって調べたんだ?」
「いや、調べるまでもなく、世界中の情報ネットワークがハッキングを受けている。とんでもないテクノロジーだよ。そのすべてに女王ベリエザスのブログ的なものが開設されてるんだ」
スパイマンが機械を操作し、映像がクイーンミダラから女王ベリエザスの公式ブログの画面に切り替わる。




