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朱雀さんの愛情表現94
朱雀の悲鳴が聞こえた時
白虎は、走って小屋の中に入ろうとしたがその手を強くつかんだものがある。
振り返ると雪礫姫が腕を尋常ではない力でつかんでいる。
そして白虎の目を見据えて言った。
「いいかい、相手の血液には、毒がある気をつけて」
それだけいって手を離した。
白虎はうなづいて戸を開け唖然とした。
中には毒々しい紫色の大きなくもがいて後ろに、老人の死体を引きずっている。
くもは後ろを向いていて、後ろの壁には朱雀が針金のような糸で張り付けられていた。
それを見た時
一瞬、目の前に炎が燃え立って赤くなるほどの怒りを覚えた。
朱雀のあの悲痛な声を聴くのも初めてだったが、青ざめてすがるように自分を
見た表情も初めてだった。
お前を許さない
必ずこの償い(つぐない)はさせてやる。
と思いながら、刀を抜きかまえた。