朱雀さんの愛情表現⑨
船着き場には何事もなくついた
「いいか、言っておくが俺は関係ないからな、余計なことはすんなよ、亡者にはかまうな
話すことは考えて来たな?」
改めて念を押しておく
朱雀も素直にうなづいた。
荒廃した建物が並んでいる、急に光が陰あたりが暗くなった
「船が着いたんだ、急げ」俺たちは急いで車を降りた。
ついでに車にいたずらをされないように幻術をかけた
そのままにしておいたら傷だらけにされてしまうか盗まれてしまう
かげった空をみあげたら、黒檀のような大きな船がゆっくりと降りてくる
死者を運ぶ船だ
船着き場にはいろいろなものが待機しているがすぐ大混乱になるだろう
死者の中には納得できないのが大勢いる。
地獄に行くことが納得できない物、死んだこと自体が納得できない物
俺たちは走った。
チカチカと点滅する看板が見える。
カフェと読めるがひどく頼りなく消えたりついたりしている。
大雑把に壁が塗り替えらえているがかえってみすぼらしく見える
この中に婆様は一人で長いこと暮らしているが気に病むことはない
たくさんの魔ネコと薬の調合と料理、魔法の研究
いつも忙しそうで幸せに見えるし実際そうだ
「忙しいことこそ幸せ」婆様は言う
気を付けなければいけないのはここを訪れる客のほうだ
忙しいこと
婆様の幸せの為に無駄に大変な目にあい振り回されてしまう
相手は小さな老婆だが強靭な爪と牙を隠している
ただ、本当に弱い者や困っている者にはやさしい。
弱い者いじめはしない度量があるが、気分でひどいいたずらをすることがある
ドアには鍵がかかっていた。
「婆様 開けてくれ俺だ 青龍だ」
ドアをたたいて言った
「おやおや、遅かったね」
猫を肩に乗せた老婆が顔を出した。