朱雀さんの愛情表現78
全身の細胞が防衛本能で刺激を受けてひりひりしているような感覚で何とか動こうとしているにも
かかわらず体がよろいで固められたみたいに動かない
朱雀は自分のわきに手を入れ「大丈夫です、リラックスしてください」などと言いながら
体をひきずっていき助手席に乗せて、婆様に何やら説明している。
こんな状態でリラックスできるほど自分は無神経ではないが体のだるさと
心が共犯関係を結んだように重くなっていく
「大丈夫、屑の葉の行き先はわかっているんだ」と言いながら婆様が車に乗り込み
途端にガクンガクンと体が大幅に揺れがくる。
「白虎殿、シートベルトと舌をかまないように」などと言いながらかいがいしく
ベルトを引っ張り、さるぐつわを噛ましてくれたりするが親切が結果的に
嫌がらせに転がるのはもう明らかというか慣れてしまった。
もう、自分を強制終了してしまったほうがいいのではないか?
と思ったら以外にも車は快調に流れに乗って走りだした。
婆様が小さな体で椅子を思いっきり前にだしハンドルによっかかって運転しているので
外から見たら自動操縦または何かにとりつかれた車に見えるだろうが、何とかいけるのでは
ないだろうか?
「白虎殿、大丈夫ですよ、婆様は普通の妖怪じゃないんですから」
と朱雀が横で武器を調べながら笑って言った。
そういえば婆様の正体を知らないが、恐ろしいほどのおいしい料理が恐ろしいスピードで出てくる
というのは聞いたことがある。
もしかしたら何かの神なのか、その器用さが生きているのか
この世界は何もかもが見かけによらないというのを一番身をもって知っているのは自分ではないか
と思ったのも刹那、一般道を下りガシャガチャ子砂利の敷いてある道にそれて
何か威嚇的な文句、脅迫的な呪文などが書かれた。
道に入ってから雲行きが怪しくなってきた。
自分の顔がどす黒く変色していくのを見つけた朱雀が
「大丈夫ですか?なにか飲みますか?」などと聞いてくるがもう答える気力もないと思いな
がら婆様を見て再び総毛だった。
何やららんらんとした目に複雑怪奇な表情を浮かべハンドルにかじりついている。
そこまではいい
運転しながら何かをラッパのみしている、あれはどう見てもウィスキー
「朱雀、用意はいいかい」婆様がエンジンをフォンフォン空ぶかししながら言った。
「はい、婆様」朱雀が自分を振り返ってサンルーフを全開にした。
そして自分を振り返って「白虎殿のことは命に代えてもお守りします」と言って
ショットガンを構えながらサンルーフをよじ登って言った。