朱雀さんの愛情表現76
朱雀が震えだした。
すぐ前の 目先のこと、それも不意打ちでありえないことに出会うと
パニック状態になることがあるが朱雀の場合はケタが違うし、
思案の前にまず行動にでるので恐ろしい
150センチ足らずのきゃしゃな体は見せかけというか単なる罠で、ヘビー級のボクサー並みの
パンチが振り向きざまに白虎のみぞおちに入った。
ついでにボデイブローも入った気がしたが定かではない
とにかく異様に興奮した朱雀もわかっていないのだろう。
油断していた白虎は悶絶し、夕食のカツカレーを噴出しながら、よろよろとうしろに下がった。
チカチカと点滅する脳内でいつも思うがこういう時に感じるのは肉体的苦痛よりも
なぜ何のために、こういう苦しみを受けなければならないのかという精神的苦しみかつ
「白虎殿うそですよ、うそですよねえ」
などとボロボロなみだを流す朱雀はまるでメロドラマの理不尽な目にばかり合う美少女よりかわいく
かつイタイタしいので、理不尽な目にあっているのは自分なのも忘れて
薄れゆく意識のなか(やっぱりかわいいなあ)などと思ってしまう自分が痛い
「ちょっとお止め」
婆様の声がして今度は体中に急激に電気が走ったような激痛がしてぎゃっと叫んで転がった。
「婆さまなんとかしてください、ナマコをうちの旦那のナマコをおみせしますから」
(いったいなんでそんな話になる)
朱雀の脳内で何がおこっているのか知らないが強いショックに耐えられないのかいつも
支離滅裂なことがおこる。
「そんなことよりさっつさっとおかえり」婆様が一括した。
「でも、今電気を通しとき、浅瀬の生き物のようにうごいたんです
何かの薬になるかもしれません」
まだわあわあ泣きながら言った。
「そんなことは後でいいから」
(さすが婆様だ)
「じゃあ、帰ります」朱雀がやっと落ち着いてきたらしく言った。
「ちょっとまってお前運転できないだろう」婆様が言った。
「しょうがないでしょううっうううう、非常事態です私が運転します」
こないだ初めて運転したあと大事故をおこし、まだフラッシュバックが起こるし
はなはだしく錯乱している。
(それはだめだ、半分沈んだタイタニックに乗るより恐ろしい)
だが声が出ない。
せめてタケコプター、いやナマコプターを・・・・・




