朱雀さんの愛情表現73 愛狐家の朝食
清明様にはほんとはもっと聞いてほしいことがある。
でも何を言っても嫌がらせにとられてしまうわね
思いながら、屑の葉は野菜を切った。
氷のキューブに、アイスティーを入れる、これを炭酸水でわってアイスティーのソーダ
冷たいゼリーのコンソメスープ
たまには、和風以外の料理もいい、作るのも楽しいし、バルサミコとオリーブオイル隠し味はマスタード
のドレッシングを、薄く切った鯛と野菜にかけて鯛のカルパチョ
コールドチキンのサンドイッチ
朱雀のお祝いと言って青龍たちもよんであるので天使さんのために、コールドロ-ストビーフも作った。
朱雀にはご褒美に大好きな桃の濃厚なジュースというよりスープみたいに濃いやつ
スライスしたアーモンドをのせてミキサーからいい香りがする。
最近薬をやめているので体調がいいし、最後になるかもしれないのでなるべく丁寧に分量もきちんと
はかって・・・・
気分のいいことはまだほかにもあった。
水晶球がはっきり見えたことでこれは世界が安全なことを意味する。
当分戦争もなさそうで世界はまだ大丈夫だろう。
戦争があったとき食卓は簡素で自分たちだけで、生活を構築しなければ
ならなかった。
そこには何の天恵もなく、隠者のような生活だった。
最も蔵で一人でいた時よりずっとましだったけど、どんなに質素な食卓でも
みんな文句を言わなかったし、常に冗談や時にはもめごとも欠かさずあってにぎやかだった。
あの人が死んだあと戦争はどんどん激しくなってたくさんあった蔵もどんどん大砲で壊されたので
葛の葉はどんどん奥の蔵に逃げ込まなければならなかった。
あの人の好きだった、朧おぼろの春の夜も台無しになってしまったし
あの人はあれを見なかっただけよかったかもしれない
あのなつかしい空蝉は、あの人の記憶の中ではきれいなまま、私はどうだったのだろう。
それから、それからだまた私が見える人間にあったのは
そこまで考えたとき玄関から天使さんの声がした。
葛の葉は割烹着を脱いで出迎えに行った。
「なんで、朝なんだ、パーティって・・・」
青龍がぶつぶつ言った。
「まあ、そういわないで、涼しくて食べやすいものばかりだから天使さんにはローストビーフを
焼きましたの、ちゃんと冷やしてありますわ、コールドローストビーフです、お好きですか?」
「本当ですか、もちろん好きですよ?すごいな懐かしい」
ローストビーフはイギリスのごちそうだ
天使さんが大声を出した。
みんな集まってきて葛の葉が料理を運ぶたびに歓声が起こった
にぎやかな朝食、葛の葉もうれしくて笑った
無益な、もの思いも今日で最後だろう
もう思い残すことはない