朱雀さんの愛情表現65
なんだかすっかり毒気を抜かれて、海のそこを漂っている
白い霧が立たちこめたような部屋から抜けでた。
白虎は何もすることがなくなった子供のような気持ちで
立ち尽くし、それから文句をいいに来たことを思い出したが、もうどこを探しても自分の中に怒りは見
つからなかった。
しょうがないので,
新聞でも熟読しようと思ったがあることに気付いて立ち止まった。
「稽古場をのぞけ」と葛の葉が言っていたな、稽古場は道場だが半分は体育館のようにになっている
そこからかすかに音楽が聞こえてくる
そっと覗くと朱雀がいて、見たこともないような真剣な表情で踊っていた
細い足と手が優雅だが素早くに空気を切り裂きそこから音楽が速くなると、回転しながら動き出した
顔には楽し気な笑みが浮かんでいる。
それは白虎の気持ちを打ち抜き、華やかさをとりもどさせるのに十分だったが、戦闘妖怪がこんな
に近くにいる人の気配に気づかないのはあり得ないので、危険だと思った。
それほど夢中になっているのだろう
そこでやっと自分に気づき「白虎殿」と言って駆け寄ってきた。
「嫌ですよみちゃ」にこにこ笑うと血まみれの他殺用の斧が、ピンクのふちどりの金の斧に代わって
いるみたいで嬉しかったが、やはり周りにも注意しなければいけないというと
「そうですね」と深刻な顔になって、笑顔が消えてしまったので後悔して
「覗かないからわしが見張っておこうか?」とちょっとふざけた調子で言うと
「大丈夫です、結界を張ってもらいますから」といったので
「そうか、そのほうが安全じゃもんな」といってきびすをかえそうとすると、袖を引っ張られた
振り返って見ると、下を向いて朱雀が袖を引っ張っている。
「あの時間があればなんですけど・・・・」
「うん?」
「暑いからアイスノンとか氷とか買ってきますから」そこで言葉を切って自分の顔を見た。
「やっぱり 見ていてほしいんです、あなたに・・・」
前にも聞いた忘れがたかった言葉、勢いだったが本心から出た言葉だ
白虎は、時が一気に巻き戻るのを感じ、度外れに感動して昔言った言葉を言った。
「ずっと見ています」
朱雀は今まで閉ざしていた扉を一気に解放したような晴れ晴れとした笑みを浮かべ
「おぽえていてくれたんですね」と言った。
白虎は一気に、穏やかで、正常な気持ちになってうなづいた
そしてこれが現実で、自分がとんでもなく幸せなことを思い出した。




