朱雀さんの愛情表現61
それにしても、なんで自分は怒れないんだろう
白虎は思いながら台所に戻った。
まあ、何でもありのこの世界で良妻とか求めるのが間違いで、家を守ってもらう必要はないし
ずれてはいるがすれてはいないし・・・・
元の世界に戻れない以上じぶんを信頼し頼ってくれるものがいないのは極めて心細いだろう
それにしても、なんで当然のように大勢がへそくりの場所や自分も知らないほくろの位置まで知っているのか?
それは不思議だが、世間のたいてい人は、いろんなことを見てみぬふりをして順調で円満に暮らし
ている。
と自分を納得させながら台所に入ると誰もいず、お茶を入れようとすると
「白虎おおおおおお」か細い声がした。
声をたどると青龍が床に倒れている。
「むいてくれえ」と言って自分のほうに
声の聞こえるほうを向くとテーブルの下であおむけになった
青龍が言う。
「お前は、何をいっとるんじゃ」
「脱皮、だびばび」また弱弱しく言った
「だび、って燃やせばいいのか?ちょうどごみをもやそうとしてたんじゃ」
「お前、もしかして冗談を言ってるのか?」
「いやべつに・・・」
「苦しんでいるのがわからんのか、黒鬼なまこ、朱雀から聞いただろう、脱皮だ、脱皮」
ひゅうしゅひしゅひっしゅと変な呼吸音を立てながら青龍が言った。
「なんだか大変じゃな、苦しいのか葛の葉殿は?」
「あいつは夜行性だから寝てしまった。」
「清明様は?」
「口もききたくないって部屋に入ってしまった。ひどくね?お前は違うよな みすてないでええ」
「どうすれはいいんじゃ?」
「俺の部屋につれててくれぇ」
「わかったわかった」と言って引きずり出すと
沈殿したものが爆発した、ような、ホラー映画のようなヒロインが追いつめられて出すような
声で絶叫した。
「があぎゃあああああああああああ」
「ちちちょっまて」とっさに口をふさいで周りを見た。
台所のテーブルの下から引っ張り出した、青龍はあおむけで断末魔のような声を上げ自分は
口元を抑えている。
こんな絵を見られたら、と思ったら視線を感じた。
やっぱりカメラが仕掛けられている。
雨ニモマケズ
風ニモマケズ
一日にバーボン1本を飲み、バファロー1頭を食べる全裸のテキサス野郎
それだけならばまだいいが、さらに恐ろしいネーミングがつくだろう




