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朱雀さんの愛情表現㊺
薄闇に傍若無人に見えて、きれいにそろったちいさな、黒い点があらわれた
葛の葉が放ったオレンジの光めがけてまっすぐに飛んでくる。
それは、スズメの大群だった。
明らかに、喜びにあふれて、無邪気にかたりあって競争でやってくる姿は
遠足の子供たちが自由時間になったように無邪気で罪がない。
おぼちゃんの周りはあっという間にスズメだらけになった。
「くすぐったいよう」おぼちゃんが笑う
下を見ると婆様がショットガンをもってグルグル回っているのが見える。
「もう大丈夫」葛の葉が言った。
「なんで?」スズメにまとわりつかれてうれしさが伝染したおぼちゃんが笑いながら言った
「婆様は優しいから、動物は打てないのよ」葛葉は言ったが、途端に胃がせりあがってきた。
やっぱりと思いつつ自分で作ってきた。
サニタリー袋に吐いたが吐き気は止まらない
スズメたちも自分のほうには近寄ってこない
吐き気はいつまでも止まらなかった。
(やっぱり、婆様はまた予感が当たった)
それでも、どうやら婆様の結界は抜けたようだ