朱雀さんの愛情表現㊹
「おぼちゃん、急いで」店を出ると葛葉は
( 霧の塀 霧の森、青葉黒く染まり茂って辻を隠したまえ)
急いで呪文を唱えて走って、車の形に戻ったおぼちゃんに乗り込んだ。
「はやくはやく、婆様の結界を抜けないと」
屑の葉がいうとおぼちゃんも緊張した顔になって
「わかったつかまって」言いながらいつもの3倍くらいの速さで空に上がった。
胃がぐっとせりあがったがこらえて
窓の御簾を挙げて何やら乳白色の小さな粒を投げながら
「ちゅんちゅんつらつらちんちゅんらるるる」
「なにそれ」
おぼちゃんが言ったとどうじにそれはぱっとはじけて小さな発行するオレンジ色の小さな光になった
「しい、大声を出しちゃだめよ」
それと同時にショットガンを持った婆様が
「このメギツネが」と言いながら店から出てきた。
あまりにひどい取引に怒り狂っている。
「うわあ」おぼちゃんが小さく叫んだ
だが、店の前をぐるぐる回っている。
「大丈夫、おぼちゃん婆様しか見えない道を作っておいたから・・・・」
「でも、婆様ならすぐ見破るよ」おぼちゃんが言った。
案の定、婆様はすぐ見破ったようで、
「性悪の一休さんかい、この橋 わたれ わたれ 詐欺かい わたったら真ん中に落とし穴があるん
だろう」
言いながらこっちに銃を向けた。
その時、濃淡になった炭のような空にちらちら散ったオレンジの光に向かって騒々し
く何かが向かってきた。
「よし、おぼちゃん、大丈夫よ、援軍が来た」
と言って葛の葉が笑った。